「味を占める(あじをしめる)」という慣用句があります。
一般的に、悪い意味で用いられることが多いです。
では、ポジティブな場面で使わないかと言うと、決してそういうわけではありません。
この記事では、「味を占める」の意味と由来、例文から類義語や英語表現まで詳しく紹介しています。
味を占めるの意味は?
「味を占める」という表現は、一度得た快感や成功体験を忘れられず、再びその経験を望むことを意味します。
人は誰しも、一度の成功や楽しい経験から、同じ状況が再び訪れることを期待することがよくあります。
そんなときに、同じような行動を繰り返してしまうということです。
「味を占める」はネガティブな文脈で、繰り返し同じ行動をすることの無益さやリスクを警告する際に使われることが多いです。
ただし、「味を占める」という表現自体には元々否定的な意味はなく、ポジティブな状況でも用いられることがあります。
要するに、人が経験から得た快感や成功を追い求める心理を表し、再び同じ結果を期待させることを示していますが、それが必ずしも良い結果につながるわけではないことを示唆しているということです。
味を占めるの使い方をご紹介
「味を占める」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 盗みを働いて無事に逃れると、その成功体験に味を占めて、同じ過ちを繰り返す傾向にある。
- 彼は初めての株取引で大きな利益を得たことに味を占め、次も同じように大金を稼げると考えて無謀な投資を繰り返した。
- 彼女は一度試験をサボっても合格したために味を占め、勉強を怠るようになり、次第に成績が下がり始めた。
- 初めて参加したボランティアで感じた達成感に味を占め、地域活動に積極的に関わるようになった。
- ランニングを始めて1ヶ月で体調が良くなったことに味を占めて、健康的な生活を心がけるようになった。
1~3は否定的な文脈での使い方、4と5はポジティブな意味での使用例となります。
味を占めるの類義語をご紹介
「味を占める」に似た意味を持つ表現として、次の3つを紹介します
気をよくする
何かが順調に進んだり、他人からの好意的なコメントを受けて心地よい感情を覚える状態を指します。
ポジティブな経験によって心が満たされる瞬間を捉えています。
ただし、「気をよくする」が直接次の行動への期待を意味するわけではない点で、「味を占める」とは少しニュアンスが異なります。
二匹目の泥鰌(にひきめのどじょう)
一度成功した方法で再び利益を得ようとする心理を描写します
最初に成功を収めた人や物ごとを真似して後釜になろうとしても、必ずしも同じように成功するとは限らないという意味で、その態度を戒める意味合いを持ちます。
「柳の下の二匹目の泥鰌を狙う」とも言い、それを省略した形です。
株を守りて兎を待つ(かぶをまもりてうさぎをまつ)
一度偶然の幸運に恵まれた経験から、同じ場所で再び幸運が訪れるのをただ待っているが、努力や実行なしに成功が再び訪れるとは限らないという意味です。
偶然に頼って物事を成就しようとする態度を批判的に表現します。
味を占めるの対義語をご紹介
「味を占める」の対義語は、二度とやる気がしないという意味の表現が考えられます。
- 懲りる
- 懲り懲り(こりごり)
- うんざり
- 二度とご免
- 二度と勘弁
といった表現があげられます。
味を占めるの英語表現をご紹介
「味を占める」の英語表現は、“get a taste for”が最もふさわしいでしょう。
(勝利の味を占め、彼女はさらにトレーニングに打ち込むようになった。)
という形で使われます。
まとめ
「味を占める」は一度の成功や楽しい経験から、再びそれを望むことを意味します。
警告や皮肉の意味を込め、否定的な文脈で用いられることが多いです。
ですが、ポジティブな意味でも使われることがあるので、用途は幅広いと言えます。
言葉の背景を理解し、状況に応じた適切な使い方ができるようにしたいですね。