「株を守りて兎を待つ」という故事成語があります。
日常会話ではあまり使うことはないので、その意味が分からないということがあると思います。
ですが、古典や歴史書、文学作品などで見かけることはありますし、ビジネスシーンで使われることもあります。
この記事では、株を守りて兎を待つの意味と由来、さらに例文から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
株を守りて兎を待つの意味は?
「株を守りて兎を待つ」という故事成語は、四字熟語の「守株待兎(しゅしゅたいと)」と同じ意味で、その訓読という形になります。
守株待兎は略して「守株」とも言います。
たまたまうまくいったことに味をしめて、同じ方法で再び成功しようとする態度を表します。
「一度の成功に満足して、同じことを繰り返すのは賢明ではない」という意味です。
また、古い習慣に固執し、時代の変化に対応できないことのたとえでもあります。
偶然の成功を必然と勘違いする愚かさや、時代の変化に対応できない姿勢を戒めるために使われます。
常に時代の変化を受け入れ、柔軟に対応することの大切さを教えてくれる言葉ですね。
株を守りて兎を待つの由来は?
「株を守りて兎を待つ」は、中国の古典である「韓非子」という書物に由来します。
時代は春秋時代で、宋という国の農民のお話がもとになっています。
ある日、農夫が畑を耕していた時、偶然、近くの木の切り株にウサギがぶつかって死んでしまいました。
この幸運に味をしめた農夫は、以後、農具を捨てて、同じ切り株でウサギが再びぶつかるのを待ち続けました。
しかし、ウサギは二度と現れず、農夫は国中の笑い者になりました。
この話は、偶然の成功を当てにして同じ方法で再び成功しようとする愚かさを象徴しています。
そのため、時代の変化に対応せず、古い方法に固執することを戒める言葉になったというわけです。
なお、「守株待兎」と「守株」も、この話が由来になっています。
株を守りて兎を待つの類語をご紹介
次に、「株を守りて兎を待つ」の類義語を紹介します。
先ほど紹介したように、守株待兎と守株は、「株を守りて兎を待つ」と同じ故事から来ており、意味も同じです。
ここでは、その他の表現を3つあげてみました。
二匹目の泥鰌(どじょう)
偶然の成功を再び期待することの愚かさを表します。
一度成功したことを再現しようとして、同じ方法や場所で同じ結果を期待するが、実際にはうまくいかない状況を指します。
琴柱に膠す(きんちゅうにこうす)
琴の柱に膠(のり)を塗るような無駄な行為をすることを意味し、無意味な努力や固執を表す言葉です。
舟に刻みて剣を求む(ふねにきざみてけんをもとむ)
船に印をつけて落とした剣の位置を覚えておくという話から来ています。
状況の変化に対応せず、古い方法に固執することを指す言葉です。
これらの言葉は、古い方法や考え、偶然の成功を再び期待することの愚かさを象徴し、時代の変化や新しい方法を受け入れない態度を表すものです。
株を守りて兎を待つの対義語をご紹介
続いて、株を守りて兎を待つの対義語も3つ紹介いたします。
臨機応変(りんきおうへん)
状況に応じて柔軟に対応することを意味します。
固定された方法にとらわれず、必要に応じて方法を変えることの重要性を示しています。
時勢を読む(じせいをよむ)
現在の状況や流れを正確に理解し、それに応じて行動することを意味します。
創意工夫(そういくふう)
新しいアイデアや方法を考え出し、実践することを意味します。
創造的かつ独創的な思考で問題解決を図ることを強調し、柔軟な思考と革新的なアプローチを重視する言葉です。
株を守りて兎を待つの使い方を例文でご紹介
「株を守りて兎を待つ」の使い方を、以下の5つの例文でご紹介します。
普段はあまり使うことはないかもしれませんが、ビジネスシーンで使われることがあるので、知っておくと便利だと思います。
これらの例文は、「株を守りて兎を待つ」という故事成語を、ビジネスや個人の成長、戦略の策定など、様々な状況での使い方を示しています。
まとめ
「株を守りて兎を待つ」という故事成語は、偶然の成功に固執し、時代の変化に対応できない態度を戒める言葉です。
ビジネスや日常生活での学びや成長において、重要な教訓を提供してくれます。
特に変化が激しい現代においては、常に新しいアプローチを考え、柔軟に対応することが大切になりますね。