「暑さ寒さも彼岸まで(あつささむさもひがんまで)」ということわざがあります。

彼岸になると過ごしやすくなることから、人生の辛い局面でも時期がくれば良いことが訪れるという意味を持ちます。

この記事では、「暑さ寒さも彼岸まで」の意味と由来、例文から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。

暑さ寒さも彼岸までの意味は?

「暑さ寒さも彼岸まで」とは、厳しい暑さや寒さも春分の日や秋分の日を中心とした彼岸の時期までであれば和らぐという意味のことわざです。

季節の変わり目である彼岸を境に、気候が穏やかになることを表しています。

また、人生において、どんなに辛い状況でもそれが永遠に続くわけではなく、時期が来れば自然と和らぐという希望のメッセージが込められています。

暑さ寒さも彼岸までの由来は?

「彼岸(ひがん)」というのは、ご存じの通り、春分と秋分の日にあたります。

この時期は昼と夜の長さが等しくなる日として知られていますね。

春分を迎えると気温は徐々に上昇し始め、秋分の頃には涼しく快適な気候に変わります。

この自然のリズムに基づき、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉が生まれ、夏の終わりと冬の終わりを示す時期として、それぞれの彼岸が気候の転換点とされています。

この表現は、厳しい季節も一定の時期が過ぎれば和らぐという希望を込めたものであり、同時に人生の困難も時間が解決することを暗示しています。

彼岸に関しては、仏教の教えにおいて、死後の悟りの世界を意味する「彼岸」と、現世を指す「此岸(しがん)」とがあり、春分や秋分の日には、これら二つの世界がつながりやすいとされています。

「彼岸」は、文字通りには「向こう岸」を意味し、比喩的には悟りの境地、すなわち煩悩や苦しみのない究極の精神状態を指します。

そして、人間が生きるこの世が「此岸」で、苦の海であると考えられています。

此岸は煩悩に満ちた現世を象徴し、彼岸はその苦しみから解放された悟りの状態を指すというわけです。

この概念は、彼岸中日を含む七日間で行われる彼岸会や先祖供養の風習に反映されています。

江戸時代の文献「諺苑」にも記載されており、この時代には広く知られていた考え方だったようです。

暑さ寒さも彼岸までの使い方は?

「暑さ寒さも彼岸まで」の使い方として、例文を3つ紹介します。

  • 今年の夏は特に暑い日が続いているが、暑さ寒さも彼岸までと言うし、もう少しの辛抱で涼しい秋が訪れるだろう。
  • 大学受験の勉強で心が折れそうになることもあったが、暑さ寒さも彼岸までという言葉を思い出し、この辛さも試験が終われば終わると自分を励ました。
  • 最近は何かと不運が重なって落ち込むことが多かったが、暑さ寒さも彼岸までの言葉通り、ようやく運気が上向き始めたようだ。

暑さ寒さも彼岸までの類義語は?

「暑さ寒さも彼岸まで」と似た意味を持つ言葉として、次の2つの表現を紹介します

冬来たりなば春遠からじ(ふゆきたりなばはるとおからじ)

「冬が来れば春は遠くない」という意味を持ち、どんなに厳しい冬の時期も過ぎ去れば必ず温かい春が訪れることを象徴しています。

人生の困難や苦境も一時的なものであり、時間が経てば良い方向に変わることを暗示しています。

希望を失わずに耐え忍べば、やがて良い時期が訪れるという前向きなメッセージが込められています。

一陽来復(いちようらいふく)

文字通りには「一つの陽が再び戻ってくる」という意味で、冬至を過ぎて日照時間が少しずつ長くなり始めることから、物事が好転し始めることを象徴しています。

最も寒い冬が終わり、再び暖かさが戻ってくる自然のサイクルを指し、人生における困難や逆境が終わり、良い時期が訪れることの喩えとして用いられます。

この言葉も「暑さ寒さも彼岸まで」と同じく、どんなに暗い時期も過ぎ去り、新たな希望が見えてくることを教えてくれます。

暑さ寒さも彼岸までの対義語は?

「暑さ寒さも彼岸まで」の対義語として直接的な意味をもつ表現をあげるのは、少し難しいです。

「暑さ寒さも彼岸まで」が一時的な苦難や困難が過ぎ去ることを前向きに捉えていることを考えると、次の2つが反対の意味を持つ表現として近いでしょう。

泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)

「既に困難な状況にあるのに、さらに悪いことが重なる」という意味です。

つまり、一時的な苦難が過ぎ去るという希望のメッセージを持つ「暑さ寒さも彼岸まで」とは逆に、困難や不幸が続くことを表しています。

人生の逆境が続くことの不運や挫折感を色濃く描いており、一時的な苦しみが自然と解消されるという楽観的な視点とは対照的な悲観的な視点を提供しています。

一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)

一つの困難や問題が解決したと思ったら、すぐに新たな困難が現れるという状況を表しています。

困難が絶えず続くという悲観的な視点を示しています。

人生の逆境が次から次へと訪れることを暗示し、挑戦や困難が常に存在することを認識させる表現と言えるでしょう。

まとめ

「暑さ寒さも彼岸まで」は、季節の変わり目に訪れる自然のリズムを象徴すると同時に、人生の苦難も一時的なものであるという希望のメッセージを伝える言葉です。

彼岸を迎えると、厳しい暑さや寒さが和らぎ、過ごしやすい季節が訪れるように、人生においても困難な状況は永遠に続くわけではありません。

心が折れそうになるときもありますが、諦めずに耐え忍び、時には立ち向かう努力をすることで、必ず良い時期が訪れるものです。

希望を持って毎日を過ごすことの大切さを再認識させてくれる言葉ですね。