「立つ鳥跡を濁さず(たつとりあとをにごさず)」ということわざがあります。

立ち去るときに見苦しくないようきれいに後片付けをするという意味です。

この記事では、「立つ鳥跡を濁さず」の意味と由来、例文から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。

立つ鳥跡を濁さずの意味は?

「立つ鳥跡を濁さず」とは、立ち去る者が後に残る人々に迷惑や問題を残さないようにするべきだという教訓を表すことわざです。

何かを終える際には、後始末をきちんと行い、清潔にして去るべきだという意味が込められています。

立つ鳥跡を濁さずの由来は?

「立つ鳥」というのは、水鳥のことを指しています。

水鳥は、季節に応じて池や湖へやって来て、しばらくの間を過ごした後、新しい場所へと飛び立つ習慣があります。

そして、水鳥が移動した後の水辺は、草花や餌が乱れ散らかることなく、むしろ美しい状態で残されることが多いのです。

この整然とした行動パターンが、「立つ鳥跡を濁さず」ということわざの背景になっています。

すなわち、水鳥が水辺を離れる際に水面を清らかに保つ様子から生まれた言葉で、去る人は後の状態を美しく保つべきだという意味を持ちます。

さらに、去る際には美しく、そして潔く行動すべきという価値観を伝えるものとしても解釈されます。

立つ鳥跡を濁さずの使い方は?

「立つ鳥跡を濁さず」の使い方として、例文を5つ紹介します。

  • 会社を辞める際、彼は立つ鳥跡を濁さずの精神で、後任者に仕事を丁寧に引き継ぎ、全てのプロジェクトをきちんと終わらせてから退職した。
  • 引越しの日、彼女はアパートをピカピカに掃除して、立つ鳥跡を濁さずの心得を実践し、大家から感謝された。
  • 立つ鳥跡を濁さずと心に決め、卒業生は学校の図書室で借りた本を全て返却し、机の上も整理整頓してから学校を去った。
  • 彼女に対して多くの不満があったが、立つ鳥跡を濁さずというように、別れの際には余計な争いを避け、静かに関係を終わらせた。
  • 彼は立つ鳥跡を濁さずをモットーに、使用したキャンプサイトを完璧に清掃し、次に来る人たちのために自然を美しく保った。

立つ鳥跡を濁さずの類義語は?

「立つ鳥跡を濁さず」と似た意味を持つ言葉として、次の2つの表現を紹介します

原状回復(げんじょうかいふく)

使用した場所や物を利用前の状態に戻すことを意味します。

主に不動産やレンタル品などの分野で使われ、「立つ鳥跡を濁さず」と同様に、自分の行動が他者や環境に悪影響を与えないようにする責任感を表します。

具体的には、借りた部屋を退去する際に元の状態に修復することなどが該当します。

自分で蒔いた種は自分で刈る(じぶんでまいたたねは じぶんでかる)

自分の行動や決断の結果には自分自身が責任を持つべきだという意味です。

「立つ鳥跡を濁さず」と共通するのは、自己の行為に対する責任感ですが、こちらは特に自分の選択や行動が引き起こした結果を自分で受け入れ、対処することの重要性を強調しています。

例えば、問題を起こした場合には、その解決にも自らが積極的に取り組むべきだという意味が込められています。

立つ鳥跡を濁さずの対義語は?

続いて、「立つ鳥跡を濁さず」の対義語も次の3つを紹介します。

旅の恥はかき捨て(たびのはじはかきすて)

旅先や一時的な場所での失敗や恥ずかしい行動は気にすることなく忘れ去っても良いという考えを表します。

「立つ鳥跡を濁さず」とは対照的に、自分の後の状態や他人の評価に対する無関心さや責任の放棄を示唆しています。

去る際に後始末をせず、影響を考えずに行動する態度を正当化する言葉です。

後は野となれ山となれ(あとはのとなれやまとなれ)

自分が去った後のことはどうなっても構わない、という無責任な態度を示します。

「立つ鳥跡を濁さず」が後の状態をきれいに保つことを重んじるのに対し、この言葉は自分の行動の後の結果や影響に対して一切の責任を感じないことを意味しています。

後足で砂をかける(あとあしですなをかける)

去る際に意図的に問題を残したり、状況を悪化させたりする行動を指します。

猫が用を足した後に砂をかける行動から来ており、自分の後の環境や関係を意図的に悪化させることを示唆しています。

自分の去った後に混乱やトラブルを残すことを意味しているので、上記2つの表現よりさらに酷い去り方になるでしょう。

まとめ

「立つ鳥跡を濁さず」には、自分が去った後に清潔で整った状態を残す、あるいは引き際は美しくするべきという意味があります。

日本固有の美徳として尊重され、特にスポーツの国際試合などで日本のチームや観客が掃除をする様子が、世界中から称賛されることがありますね。

単なる清掃という意味だけでなく、相手への敬意と環境への配慮を示す行為として、この貴重な伝統を引き継ぎ、世界に誇れる美しい習慣として大切にしていきたいものです。