「一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)」ということわざがあります。
一つの困難を乗り越えたのに、また別の災難に見まわれることを意味します。
日常生活でも、このような状況に出くわすことはありますね。
そのため、よく使われる表現でもあります。
この記事では、「一難去ってまた一難」の意味と由来、例文から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
一難去ってまた一難の意味は?
「一難去ってまた一難」とは、一つの困難や問題が解決したと思ったら、すぐに新たな困難が現れるという状況を表すことわざです。
つまり、問題が次から次へと絶えず起こることを意味します。
一難去ってまた一難の由来は?
「一難去ってまた一難」の由来については、明確な情報は存在しないようです。
中国に起源を持つ可能性はありますが、その具体的な証左などは見つかっていません。
文学の世界では、昭和初期にこの言葉が登場しているのが見て取れます。
また、「難」という文字は仏教で頻繁に使用され、特に八難(修行者が遭遇するとされる八つの障害)という概念があります。
このことから、仏教的な背景や思想が「一難去ってまた一難」という表現の成立に、何らかの形で影響を与えた可能性も考えられます。
一難去ってまた一難の使い方は?
「一難去ってまた一難」の使い方として、例文を5つ紹介します。
- 一難去ってまた一難というように、ようやく就職の難関をクリアしたと思ったら、今度は職場での人間関係に悩まされることになった。
- 新製品の開発で技術的な問題が解決されたと安堵したものの、市場での競争が激化してしまい、一難去ってまた一難の挑戦が待っていた。
- 彼女は病気から回復し健康を取り戻したが、その間に仕事のプロジェクトが山積みになり、一難去ってまた一難と感じざるを得なかった。
- 彼は大学入試を乗り越えた喜びもつかの間、大学生活の経済的な負担が新たな悩みとなり、一難去ってまた一難の連続であることを痛感した。
- 地元の友人との長い誤解を解いて仲直りしたばかりだったが、今度は職場の同僚と意見の食い違いからいさかいが起こり、一難去ってまた一難という状況に頭を悩ませている。
一難去ってまた一難の類義語は?
「一難去ってまた一難」とよく似た意味を持つ表現として、次の3つを紹介します。
泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)
すでに困難や不幸な状況にあるときに、さらに追い打ちをかけるような悪いことが起こる状況を表します。
文字通り、泣いている顔に蜂が刺すように、不運が重なる様子を描写しています。
弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)
弱っているところにさらに災いが重なる、という状況を表現しています。
すでに不運や困難な状況にあるときに、さらなる不幸や問題に見舞われることを意味します。
前門の虎、後門の狼(ぜんもんのとら、こうもんのおおかみ)
一方からの危険を避ければ、別の方向から別の危険が迫っているという状況を描いています。
どちらに進んでも避けられない困難や危険が待ち構えている様子を、虎と狼という二つの獰猛な動物を使って表しています。
一難去ってまた一難の対義語は?
「一難去ってまた一難」と反対の意味を持つ言葉も3つ紹介します。
棚から牡丹餅(たなからぼたもち)
何の努力もせずに意外な幸運が舞い込むことを表します。
まるで棚から勝手に美味しい牡丹餅が落ちてきたかのように、予期せぬ好運が訪れる様子を描いています。
努力や期待をしていないのに、突然の幸運が訪れることの喜びを表現しています。
鴨が葱を背負って来る(かもがねぎをしょってくる)
予想もしなかった幸運が自分のもとにやってくることを意味します。
鴨がネギを背負ってくる様子は、鴨鍋に必要な材料を持ってくるようなもので、思いがけない好機や利益が訪れる様子を表しています。
流れに棹さす(ながれにさおさす)
物事が順調に進むこと、または状況や運命の流れを自分の利益に合わせて上手く操ることを意味します。
川の流れに棹(さお)を差して、船を効率よく進めるように、スムーズに物事を進めることができる状況を比喩しています。
まとめ
「一難去ってまた一難」とは、一つの問題が解決されたと思ったらすぐに新たな問題が現れる、という状況を指す言葉です。
災難が続くというのは、しばしば私たちの主観的な感覚によるものだと思います。
とはいえ、昔から悪いことが続くという考えはありますし、実際に不可解なほど災難が連続することはありますね。
人生において困難が続くときがあるかもしれませんが、一つずつ冷静に対処していきたいものです。