「まごうことなき」という慣用句があります。
間違えようがないほど明らかであることを意味します。
古典や昔話などでよく見かける表現ですが、日常会話でも時々使われます。
この記事では、「まごうことなき」の意味と例文から類義語まで詳しく紹介しています。
まごうことなきの意味は?
「まごうことなき」という表現は、他と混同する余地がなく、間違えようがない、つまりは明確なという意味合いを持ちます。
ひらがな表記だと、その意味をすぐに理解するのが難しいかもしれませんが。漢字を用いて説明することで、意味が分かりやすくなります。
「まごうことなき」を漢字で表すと、「紛うことなき(まがうことなき)」となります。
ここでの「紛う(まがう)」は、似ていることや混同しやすい状態を示し、「まごうことなき」はその否定形であるため、混同の余地がない、すなわち、誤りようのないという意味になります。
このように、漢字では「紛うことなき」と表記されるので、「まがうことなき」と発音しても問題ありません。
「まがうことなき」の音便化された形が「まごうことなき」になります。
話し言葉では「まごうことなき」のほうが発音しやすいこともあり、会話ではこちらが使われるのが一般的です。
さらに、元々は「紛う方なき」という漢字で表記されていたようです。
なので、これをそのまま発音した「まがうかたなき」「まごうかたなき」という言い回しも存在します。
派生した形が色々ありますが、これらはすべて適切な表現と認められています。
まごうことなきの使い方は?
「まごうことなき」の使い方として、例文を5つ紹介します。
- 彼は文学におけるまごうことなき天才であり、その文才は誰もが認めるところだ。
- 彼女の演技力はまごうことなきもので、役に完全になりきり、観る者を魅了し続けている。
- このお店の提供する料理はまごうことなき美味しさで、地域の多くの人々に愛され続けている。
- 彼の活躍はまごうことなきもので、彼なしでは今日の試合の勝利はあり得なかった。
- この事件における彼女の無実はまごうことなき事実であり、全ての証拠が彼女を擁護している。
まごうことなきの類義語は?
「まごうことなき」とよく似た意味を持つ表現として、次の3つを紹介します。
疑う余地がない(うたがうよちがない)
何かが非常に明白で、その真実性や正確性に対して疑問を持つ余地が全くない状況を指します。
事実がはっきりしていて、否定の余地がないことを意味します。
一目瞭然(いちもくりょうぜん)
物事が見ただけで明らかであることを示す表現です。
詳細な説明や考察を必要とせず、一見しただけで理解できるほど明確な状況を表します。
火を見るよりも明らか(ひをみるよりもあきらか)
何かが非常に明白で疑いようのない状態を強調する際に用います。
火を見ることの明白さに例えることで、その事実や状況がいかに明確であるかを表現しています。
まとめ
「まごうことなき」は間違えようがないほど明確な状況を指します。
漢字で「紛うことなき」と表記され、「まがうことなき」とも言えますが、漢字表記だと意味が分かりやすくなりますね。
「まがうかたなき」や「まごうかたなき」という言い回しもありますが、混乱することなく、すべて正しいと認識されています。
日常会話から学術的な文脈まで、幅広く用いることができ、明確さを強調する際に便利な表現だと言えます。