「十年一日」という四字熟語があります。
長い年月が経っても、状態が変わらないという意味を持ちます。
否定的な意味合いで使われることが多いですが、場合によってはポジティブな意味で用いられることもあります。
この記事では、「十年一日」の意味と例文、類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
十年一日の意味は?
「十年一日」は「じゅうねんいちじつ」と読みます。
長い時間が経っても全く変化がないこと、または進歩が見られない状態を表します。
文字通りには「10年が1日のように」という意味で、時間が経過しても何も変わらないことを強調しています。
何かを長期間続けても成長や改善が見られない場合に使われることが多いです。
ただし、文脈によっては、長期間変わらずに一つのことに取り組み続ける、あるいは一つの状態を保ち続けるという忍耐や持続の意味合いで用いられることもあります。
この場合は、比較的ポジティブな使われ方と言えます。
十年一日の由来は?
十年一日の起源については、明確な記録はありません。
ただ、この表現がどのように使われてきたかについては、過去の文献からその使用例を見ることができます。
例えば、明治時代に活躍した小説家、嵯峨之屋御室が書いた「姉と弟」(1892年)では
家を守り、子どもを教育することに十年一日の如く励んでいる
という形で言及されています。
また、夏目漱石の名作「吾輩は猫である」においても
主人が顔を洗う様子は、いつもと変わらず十年一日の如くである
と表現されていることが確認できます。
これらの記述から、長期間にわたって変わらない状態や行動の一貫性を示す際に用いられてきたことが分かります。
十年一日の使い方は?
「十年一日」の使い方として、例文を5つ紹介します。
- 十年一日というように、彼は入社してから十年が経つが、その間の仕事のスキルはほとんど向上していない。
- この地域の開発計画は十年一日の如く停滞しており、住民からの不満が高まっている。
- 技術の進化が速い業界において、我が社の製品は競合他社に大きく遅れをとってしまった。まさに十年一日という状態だ。
- 彼女は健康と美容を保つため、十年一日の如く、毎日欠かさずに朝のランニングを続けている。
- その老舗の料理店は、変わらぬ味と質で十年一日のように、地元の人々に愛され続けている。
1~3の例文は、長い時間が経っても進歩や成長がないという意味で、4と5の例文は、長期間変わらずに取り組み続けるという肯定的な意味合いで使われています。
十年一日の類義語は?
「十年一日」とよく似た意味を持つ表現として、次の2つを紹介します。
旧態依然(きゅうたいいぜん)
物事が以前のままで全く新しくならない、または改善・進歩が見られない状態を指します。
主に否定的な意味合いで使われ、変化や革新が期待される状況で、何も変わっていないことを批判的に指摘する際に用いられます。
十年一日と同様に、時間が経過しても状況や状態が変わらないことを強調しますが、より公式な文脈や書き言葉で使用されることが多いです。
四六時中(しろくじちゅう)
文字通りには「四時も六時もずっと」という意味で、日夜休むことなくずっと何かをしている状態を表します。
ある行動や状態が絶え間なく続いていることを示す際に用いられます。
一貫して何かを続けているという点で、十年一日と共通した意味を持ち、努力や献身を肯定的に表現する際にも使われることがあります。
十年一日の対義語は?
「十年一日」と反対の意味を持つ言葉も2つ紹介します。
日進月歩(にっしんげっぽ)
日ごとに月ごとに着実に進歩していくことを意味します。
技術や学問、事業などが絶えず前進し、向上している状態を表すのに使われます。
「十年一日」が進歩のない状態を示すのに対して、「日進月歩」は持続的な改善や成長を強調する表現であり、ポジティブな進展を示唆しています。
一日千秋(いちじつせんしゅう)
一日が千年のように長く感じるほど、何かを心待ちにしている状態を表します。
楽しみや期待、あるいは切望するものへの強い思いを強調する際に用いられます。
「十年一日」が時間が短く感じられるという意味合いを持ちますが、「一日千秋」は時間が過ぎるのが遅く感じられるほどの強い期待や焦燥感を表しているため、その点で対照的な表現となります。
まとめ
十年一日は長い時間が経っても変化が見られない状態を指します。
主にネガティブな文脈で使用されますが、忍耐や一貫性を示す肯定的な意味合いで用いられることもあります。
場面や状況によって意味が変わるので、実際に使うときは気を付けるようにしたいですね。