「断腸の思い」という慣用句があります。
文字通りには、はらわたがちぎれるような思いという意味で、とても辛いという感情を表します。
この記事では、「断腸の思い」の意味と由来、例文から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
断腸の思いの意味は?
「断腸の思い」は「だんちょうのおもい」と読みます。
文字通りには「腸が断たれるほどの思い」という意味で、耐えがたいほどの心の痛みや悲痛な感情を比喩的に表しています。
失恋や大切な人との死別、深い後悔など、心底からの悲しみや苦痛を伴う状況に使われることが多いです。
ただし、かなり強い感情表現なので、些細なことで大げさに用いるのは不適切と考えられます。
断腸の思いの由来は?
「断腸の思い」という表現は、「世説新語」という古代中国の逸話集に由来します。
その中に収められている「黜免」の章、第二十八話が起源とされています。
この話は、東晋時代の中国で起こった出来事を描いています。
晋の桓公が蜀を目指し、長江を船で遡行している最中、従者が小さなサルを捕えてきました。
その子サルを取り戻そうと、母サルは船を百里以上追跡し、最終的には船に飛び乗ることに成功しますが、その場で力尽きてしまいます。
従者が母サルの腹部を開いたところ、内臓が激しく損傷しているのを発見しました。
この悲しい物語から、「断腸の思い」という言葉は、極度の悲しみや苦痛を象徴する表現として使われるようになったというわけです。
断腸の思いの使い方は?
「断腸の思い」の使い方として、例文を5つ紹介します。
- 会社の倒産を決断した社長は、断腸の思いで、従業員たちにその旨を伝えた。
- 彼女は長年連れ添った愛犬を失い、その死を受け入れなければならなかった。まさに断腸の思いだった。
- 事故で大切な友人を亡くした彼は、断腸の思いでその現実と向き合い、悲しみを乗り越えようと努力している。
- 商品の値上げは断腸の思いだったが、原材料費の高騰により、その決定を顧客に受け入れてもらうしかなかった。
- 子どもの成長と共に家を出て行くのを見守るのは、親にとって断腸の思いであり、同時に誇りでもある。
断腸の思いの類義語は?
「断腸の思い」とよく似た意味を持つ表現として、次の3つを紹介します。
胸が張り裂けそうな
激しい感情によって心が耐えられないほど苦しいと感じる状態を表します。
愛する人との別れや、避けられない悲しい出来事に直面した時に使われることが多いです。
文字通り、胸が痛むほどの強い感情を感じている様子を描写します。
身を切るような
何かを失ったり、大切なものを手放す際に感じる、深い痛みや苦しみを比喩的に表します。
自分の一部を失うほどの辛さを伴う決断や、身近な人との関係が断たれる時などに用いられます。
苦渋の
選択や決断を迫られた際に、どの選択をしても心が痛むような、苦しい状況を指します。
特に避けたい選択をしなければならない時や、重大な決断を下す際の内心の葛藤や苦悩を表すのに適しています。
断腸の思いの対義語は?
断腸の思いの対義語としては、幸せや楽しいという感情を表す言葉が該当します。
- 心躍る
- 大喜び
- 歓喜
- 満足
- 至福
などが挙げられます。
まとめ
「断腸の思い」とは、耐え難いほどの心の痛みや悲痛な感情を表す表現です。
フォーマルな場で使われることはありますが、とても辛いという強い感情を表すので、日常生活ではあまり使うことはないかもしれません。
特にビジネスシーン用いるときは、注意が必要になりますね。