「帰心矢の如し(きしんやのごとし)」という慣用句があります。
故郷を想う強い気持ちを表す言葉です。
この記事では、「帰心矢の如し」の意味と使い方、類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
帰心矢の如しの意味は?
「帰心矢の如し」は、故郷やわが家に早く帰りたいという強い思いや、心が故郷に引かれる感情を表す日本のことわざです。
矢が放たれた後も射手の心に引かれるように帰ってくるという意味から来ており、人の心が故郷や愛する場所に強く引かれる様子を喩えています。
帰心矢の如しの使い方は?
続いて、「帰心矢の如し」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 留学から帰国した友人は、帰心矢の如しとなり、すぐに私たちとの再会を懐かしんだ。
- 帰心矢の如しというように、子供たちは夏休みになると、わくわくしながら祖父母の家へと向かう。
- 彼は長い出張から戻ると、帰心矢の如しとばかりに家族のもとへ急いだ。
- 終業のベルが鳴ると同時に、彼女は急いで帰路についた。彼女の心情は、まるで帰心矢の如しといった様子だった。
- 遠く離れた都会での生活にも慣れたが、帰心矢の如しという思いで過ごしており、心のどこかでいつも故郷の穏やかな風景が浮かんでいた。
帰心矢の如しの類義語は?
「帰心矢の如し」のよく似た意味を持つ表現として、「籠鳥の雲を恋う(ろうちょうのくもをこう)」があげられます。
自由を失った人が外の世界を憧れる心情を表しています。
直訳すると「籠の中の鳥が空の雲を恋う」となり、籠の中に閉じ込められた鳥が外の自由な空や雲を見て、外への渇望を感じる様子を喩えています。
制約や束縛の中にある人が外の自由や広い世界に対して抱く強い憧れや願望を、象徴的に表しています。
帰心矢の如しの対義語は?
「帰心矢の如し」の対義語としては、故郷に対する未練や憧れがなく、現在の場所や状況に満足している状態を表す言葉が該当します。
しかし、直接対応する明確な対義語は特に存在しないようです。
あえて言えば、「住めば都」や「人間至る所青山あり(にんげんいたるところせいざんあり)」が反対の意味を持っている言葉としてあげられます。
「住めば都」は、どこに住んでもその場所に慣れ親しみ、愛着を持つようになるという意味です。
「人間至る所青山あり」は、どこにいても心の持ちようで幸せを見出せるという意味で、故郷を離れる人々を励ますときによく使われる表現です。
それぞれの詳しい説明は、以下の記事を参照くださればと思います。
まとめ
「帰心矢の如し」という表現は、故郷や愛する場所への深い憧れと未練を象徴しています。
遠く離れた場所で生活していると、心が故郷に引かれるときはありますね。
すぐに新しい環境に適応できればいいですが、なかなか簡単にはいかないでしょう。
ただ、いつでも帰れる故郷があれば、心強いものだと思います。
できれば、そういう場所を増やしていきたいものですね。