「住めば都(すめばみやこ)」という慣用句があります。

日常会話でもよく使われる表現ですね。

ただ、人によって、あるいは場所によって、感じ方は異なってくるでしょう。

また、「住まば都」という違う意味の表現もあるので、注意が必要となります。

この記事では、「住めば都」の意味と使い方、類義語や対義語まで詳しく紹介しています。

住めば都の意味は?

「住めば都」は、どんな場所でも、そこに長く住むことで愛着がわき、良い所と感じるようになるという意味です。

環境に慣れ親しむことで、その場所の良さを自然と見出すことができると教えています。

ここでの「都」とは、かつて天皇が居住する宮城があった地域を指し、例えば奈良時代には奈良が、平安時代には京都が都でした。

都は国の中心地として、交通、物流、商業などが発展し、生活に便利な場所であることが多かったです。

現代では、交通や情報技術の発展により、都でなくても生活に不便を感じることは少なくなりましたが、昔はそうではありませんでした。

「住めば都」における「都」とは、文字通りの都市を意味するのではなく、「都のように快適な場所」という比喩です。

そして、「住めば都」とは、「どこに住んでも、そこが快適な生活の場になる」という意味になりました。

住めば都の例文をご紹介

続いて、「住めば都」の使い方として、5つの例文を紹介します。

  • 最初は田舎の静かさに馴染めなかったけれど、今では自然の美しさに癒され、住めば都と感じるようになった。
  • 住めば都というように、このオフィスビルに移ったときは、その古さが不満だったが、今ではビルの歴史を感じながらも仕事に集中できるようになった。
  • 子供の頃はこの街を出たいと思っていたが、大人になってからこの街の良さが分かるようになった。住めば都とは、まさにこのことだ。
  • この地域は交通の便が悪く、生活には不便を感じることが多い。とても住めば都とは言えない。
  • 住めば都と言うが、この町の人々の温かさにすぐに魅了された。最初からこの場所を愛するようになった。

住めば都の類義語をご紹介

「住めば都」によく似た意味を持つ表現として、「地獄も住処(じごくもすみか)」という言葉があります。

どんなに厳しい環境や苦しい状況でも、慣れ親しむことでそれが快適な場所に感じられるようになるという意味です。

文字通りには、地獄でさえも住んでいれば慣れてしまい、住処(住みやすい場所)になるということから、環境に対する人間の適応力や慣れの力を表しています。

住めば都の対義語をご紹介

「住めば都」の反対の意味を持つ表現として、「住まば都(すまばみやこ)」があげられます。

どこに住んでも満足できない、つまりどこに住んでも不満を感じるという意味です。
環境に対する不満や適応できない様子を指します。

「住めば都」と「住まば都」は発音が似ていて、よく間違えやすい表現です。

「め」が「ま」になるだけで、意味が正反対になるため注意が必要です。

「住めば都」は環境に慣れ親しむことの肯定的な側面を強調するのに対し、「住まば都」はどこに住んでも満足できないという否定的な側面を表しています。

まとめ

「住めば都」という言葉は、どこにいてもその場所の良さを見つけ、愛着が持てるようになることを教えてくれます。

人生は予期せぬ変化に満ちており、新しい環境に飛び込むことが避けられないこともあります。

私も、日本全国、東北から九州まで住んだことがあります。

最初はなかなか馴染めないものですが、しばらくすると、どこも居心地よく感じるようになりました。

もちろん、そうはいかないこともあるとは思います。

でも、どこであっても、新天地での生活に前向きな姿勢を持つことは大切ですね。

ただ、どうしても苦労が続くようであれば、引っ越すことも重要な選択肢になると思います。

昔より移動しやすい時代となったので、住む場所を変えることも、時には必要なことだと思います。