「2020年の干支はなに?」

と聞かれたら、「子(ねずみ)!」と答える方が多いと思います。

「2020年に生まれた人の干支は?」

となったときも、「子(ねずみ)!」と言う方が多いでしょう。

ですが、このときの干支というのは、実は間違いなんです。

正確には、干支ではなく十二支と言うんです。

「???」

混乱してしまう方もいらっしゃるでしょう。

今回は、干支と十二支の違いについて深く掘り下げていきたいと思います。

干支は十二支とは異なるもの

現代の日本では、干支というと一般的に「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12種類の動物のことを指しますよね。

ですが、これは正確には十二支と言われるもので、干支とは別のものなんです。
まあ、全くの間違いというわけではないのですが、十二支と干支は本来異なるものです。

干支というのは、十二支と十干というものを組み合わせたものです。

以下にそれぞれの違いについて説明していきます。

十二支とは?

十二支とは、古代の中国で暦や方位を表すのに用いられた「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12種類のことを指します。

現在は十二支に12種類の動物が割り当てられていますが、元々十二支は動物とは関係ないものでした。
いわば、十二支はただの記号、あるいは数詞のようなものです。

そこに12種類の動物が当てはめられることになり、現在のような十二支が成立しました。

なぜ12種類の動物を使ったのかについては諸説ありますが、人間にとってなじみのある動物を当てはめることで覚えやすくするためであったと一般的に考えられています。

十二支の読み方と割り当てられた動物をまとめると、以下の表のようになります。

十二支 音読み 訓読み 割り当てられた動物
ねずみ
チュウ うし 牛(うし)
イン とら 虎(とら)
ボウ うさぎ
シン しん 龍(りゅう)
蛇(へび)
うま 馬(うま)
ひつじ 羊(ひつじ)
シン さる 猿(さる)
ユウ とり 鳥(とり)
ジュツ いぬ 犬(いぬ)
ガイ 猪(いのしし)

日本では「亥」は「猪(いのしし)」を指しますが、中国では「豚(ぶた)」が当てはめられています。
その他にも、国や地域によって十二支の動物は異なるものがあります。

十干(じっかん)とはどのようなもの?

次に十干について説明します。

読み方は「じっかん」です。

十干は「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の10種類のことを指します。

元々は古代の中国で太陽の循環を数えるための数詞として使われていましたが、その後陰陽五行説で世界の事象を説明するための要素として考えられました。
それが十二支と同じように暦や方位を表すのに用いられ、後に日本にも伝わりました。

陰陽五行説は、

  • あらゆる事象は単独で存在するものではなく、全て「陰」と「陽」という相反する二つの気の働きによって存在し、それぞれが消長と盛衰をくりかえすとする考え方→陰陽説
  • 万物は「木・火・土・金・水」の5種類の要素によって成り立つとする考え方→五行説

の2つが統合されたものです。

5つの要素のそれぞれに陰と陽が割り当てられ、「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の10種類の要素があると考えられたわけです。

日本では陰陽説の陽が「兄」、陰が「弟」に変化しました。
このときの「兄」は「え」と読み、「弟」は「と」と読みます。
干支を「えと」と読むのは、これに由来しています。

十干の読み方と意味をまとめると、以下の表のようになります。

十干 音読み 訓読み 意味
コウ きのえ 木の兄
オツ きのと 木の弟
ヘイ ひのえ 火の兄
テイ ひのと 火の弟
つちのえ 土の兄
つちのと 土の弟
コウ かのえ 金の兄
シン かのと 金の弟
ジン みずのえ 水の兄
みずのと 水の弟

十干は現代の日本ではまず使われることのないものですが、そのなごりは今もなお残っています。

例えば、どちらが優れているのか判断できないという意味の「甲乙つけがたい」という慣用句がありますよね。
また、契約書などで当事者を「甲は~」「乙は~」として記載したりします。
その他にも、危険物取扱者などの資格では「甲種・乙種・丙種」という区分があります。

十干は元々は数詞で物の順番や優劣を表すものであることから、こういったところで使われていると考えることができます。

干支の正確な意味とは?

先述の通り、干支というのは十干と十二支が組み合わさったものです。
そのため、干支を「十干十二支(じっかんじゅうにし)」と言う場合もあります。

干支も十干や十二支と同じように、暦や方角を表すときに用いられてきました。

十干は10種類、十二支は12種類あるので、干支はその最小公倍数である60の種類があります。

1つ目が十干と十二支のそれぞれの最初を組み合わせた「甲子」
2つ目が「乙丑」
3つ目が「丙寅」…と続いていき、
60番目が十干と十二支のそれぞれの最後を合わせて「癸亥」となります。

干支を年にあてて使われる場合、60年を周期として一巡するので、61番目で最初の干支にもどりますよね。
なので、人間の年齢で60歳のことを「還暦」というわけです。

現代において、十二支は人の生まれた年によく使われますが、種類は全部で12です。
これに対して干支は60もの種類があるので、両者の数には大きな違いがありますね。

参考までに、2020年~2030年までの干支を以下の表でまとめています。

西暦 干支 音読み 訓読み
2020年 庚子 コウシ かのえね
2021年 辛丑 シンチュウ かのとのうし
2022年 壬寅 ジンイン みずのえとら
2023年 癸卯 キボウ みずのとのう
2024年 甲辰 コウシン きのえたつ
2025年 乙未 イツシ きのとみ
2026年 丙午 ヘイゴ ひのえうま
2027年 丁未 テイビ ひのとのひつじ
2028年 戊申 ボシン つちのえさる
2029年 己酉 キユウ つちのとのとり
2030年 庚戌 コウジュツ かのえいぬ