節分の日に恵方巻きを食べる方は多いと思います。

一昔前は豆まきが当たり前でしたが、最近は恵方巻きの方が恒例の節分行事としてすっかり定着した感がありますね。

それくらいメジャーになった恵方巻きですが、恵方巻きを食べるときの方角が毎年変わるので、混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。

ですが、恵方の方角は一定の法則で決まっており、その結果を知ってしまえばとても簡単だったりします。

この記事では恵方の方角についてできるだけ分かりやすく説明していますので、ぜひ参考にしてください。

そもそも恵方とはどういう意味?

まず、恵方とは何なのかを説明します。

簡単に言ってしまえば、縁起の良い方角のことを指します。

古くは神道で正月の年神 (歳神「としがみ」) 様が来臨する方向とされました。
陰陽道が成立した後、現在では歳徳神(としとくじん)という神様がいらっしゃる場所で、幸福がもたらされる方角と言われています。

歳徳神に関しては色々と説があり、ここで詳しくは触れません。
日本では、スサノオノミコトヤマタノオロチを退治したときに、生け贄になっていたのを助けて結婚した櫛名田比売(くしなだひめ)と解釈されることが多いです。

十干とは何?

次に十干(じっかん)について簡単に説明します。

恵方はその年の十干によって決まります。

十干というのは、元々は古代中国に由来する陰陽五行説において、事象を説明するために使われた要素のことを言います。
十干は10種類あり、まとめたものが以下の表になります。

十干 音読み 訓読み
コウ きのえ
オツ きのと
ヘイ ひのえ
テイ ひのと
つちのえ
つちのと
コウ かのえ
シン かのと
ジン みずのえ
みずのと

この十干が暦に取り入れられ、10日を1組として1日ごとに十干の名前がそれぞれつけられました。
また、日にちだけでなく年にも用いられ、同じように10年を1組として1年ごとに十干の名前がつけられています。
いわば0~9の数字のようなものと考えると分かりやすいかと思います。

さらに、十干は方角を表すときにも使われました。
この場合は「干支(えと)」が関係するのですが、日本でおなじみの「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」は正しくは「十二支(じゅうにし)」と言います。
正確な意味での干支は十干十二支(じっかんじゅうにし)と呼ばれ、十干と十二支が組み合わさったものです。
※詳しくは「干支と十二支の違い」をご参照ください。

十干と十二支が組み合わされると、種類は60あり、60で周期が繰り返されますが、方位を表すときは一般的に24方位となります。
この辺の事情は八卦などもからんで複雑ですが、恵方を決めるときに元となる方角は24方位であると覚えておくだけでよいかと思います。

とても簡単!恵方の方角の決め方とは?

では、恵方はどのように決まるのでしょうか?

毎年方角が変わるので、ややこしく感じる方が多いかもしれません。
でも、結果を知ってしまえば、とても簡単です。

なので、ややこしい法則などは後回しにして、簡単に恵方が分かる方法を先にお伝えします。

恵方とされる方位は、実は以下の4つしかありません。

  • 「甲」の方角=東北東やや東
  • 「庚」の方角=西南西やや西
  • 「丙」の方角=南南東やや南
  • 「壬」の方角=北北西やや北



この4つの方角が10年周期で繰り返されるだけなんです。

さらに言えば、5年ごとに方角が一致します。

その結果、西暦の下1ケタの数字によって以下の表のように恵方が決まります。

西暦の下一桁 恵方
「0」と「5」
西南西やや西
「1」と「6」
南南東やや南
「2」と「7」
北北西やや北
「3」と「8」
南南東やや南
「4」と「9」
東北東やや東

上の表を見ていただくと分かると思いますが、下一桁が「1と6」の年と「3と8」の年が同じ方角になっていますよね。
5年で4つの方角を巡るので、1つの方角がダブることになります。
それが丙(南南東やや南)であり、5年の間に2回出てきて「1と6」「3と8」の年に振り分けられるということです。

そういうわけで、恵方の分類をさらに簡略化すると以下の表のようになります。

西暦の下一桁 恵方
「0」と「5」
西南西やや西
「1」と「6」と「3」と「8」
南南東やや南
「2」と「7」
北北西やや北
「4」と「9」
東北東やや東

これで、西暦の下一桁の数字によって毎年の恵方の方角が簡単に分かることになります。

ただし…

方角が分かっても、「東北東やや東」「西南西やや西」「南南東やや南」「北北西やや北」のそれぞれの「やや~」がどれくらいなのか気になるのではないでしょうか。

これは、16方位と24方位の誤差によって方角が微妙に違ってくることによります。

「東北東」「西南西」「南南東」「北北西」などは16方位による方角を指します。
これに対して、十干を用いる場合は上述した通り24方位となります。

16方位の場合、1つの方角の角度を計算すると、360度÷16で22.5度。
同じように24方位の1つの方角の角度を計算すると、360度÷24=15度。
つまり、16方位と24方位の誤差は22.5度-15度=7.5度となり、この差だけ角度がずれるということです。
したがって、「やや~」の意味するところは7.5度となります。

また、24方位の1つの方角の角度が15度なので、

  • 東北東やや東=東より15度北=東を向いた状態で15度左
  • 西南西やや西=西より15度南=西を向いた状態で15度左
  • 南南東やや南=南より15度東=南を向いた状態で15度左
  • 北北西やや北=北より15度西=北を向いた状態で15度左



となります。

ただ、上のように述べたところでイメージしにくいかもしれません。
そこで、参考までにそれぞれの恵方の方角を以下で図で表してみます。

西暦の下一桁が「0」と「5」のとき

「庚」の方角=西より15度南=西を向いた状態で15度左の方角

西暦の下一桁が「1」と「6」と「3」と「8」のとき

「丙」の方角=南より15度東=南を向いた状態で15度左の方角

西暦の下一桁が「2」と「7」のとき

「壬」の方角=北より15度西=北を向いた状態で15度左の方角

西暦の下一桁が「4」と「9」のとき

「甲」の方角=東より15度北=東を向いた状態で15度左の方角

より正確な恵方の位置を知りたいならアプリが便利!

以上、恵方の方角の決まり方についてお話してきましたが。

完全に正確な恵方の方角を調べたいなら、24方位の磁石などを使うのが便利です。

今では、スマートフォンのアプリで簡単に恵方の方角を知ることができます。

例えば、

  • 恵方コンパス
  • 恵方マピオン

などが有名です。

どちらも無料なので、どうしても正確な位置が知りたい!という方は使ってみるのもよいかと思います。

2020年の恵方は?

参考までに、2020年以降の恵方を表にまとめました。
ご参照くださいませ。

西暦 恵方
2020年
西より15度南
西を向いた状態で15度左の方角
2021年
南より15度東
南を向いた状態で15度左の方角
2022年
北より15度西
北を向いた状態で15度左の方角
2023年
南より15度東
南を向いた状態で15度左の方角
2024年
東より15度北
東を向いた状態で15度左の方角