「閑古鳥が鳴く」という慣用句があります。

お店などにお客さんが訪れず、静かで寂しい様子を指します。

ビジネスの場面でよく使われる表現ですね。

この記事では、「閑古鳥が鳴く」の意味と由来、例文から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。

閑古鳥が鳴くの意味は?

「閑古鳥が鳴く」は「かんこどりがなく」と読みます。

店や施設などに客が全く来ない、非常に静かで寂しい様子を意味しています。

直訳すると「閑(ひま)な古(ふるい)鳥が鳴く」となり、文字通りには存在しない鳥が鳴いているような、人の気配がまったくない静けさを意味しています。

閑古鳥が鳴くの由来は?

「閑古鳥」とは、実は「カッコウ」のことです。

カッコウは、春の終わりごろに日本の本州中部以北に現れ、秋には去る渡り鳥です。

人里から離れた静かな山間部に生息するため、実際に目にする機会は少ないかもしれませんが、日本では広く知られています。

見た目は灰色で、鳩に似ています。

カッコウの鳴き声は、その学名にも影響を与えるほど独特で、昔から「呼子鳥」や「喚子鳥」とも呼ばれていました。

この鳴き声は、静かな山里で聞くと、人々に寂しさや切なさを感じさせたと言われています。

そのため、「閑」という字が使われ、「閑古鳥」という名前がつけられました。

江戸時代の俳人、松尾芭蕉も「嵯峨日記」で、カッコウの鳴き声を寂しさの象徴として詠んでいます。

これらの背景から、「閑古鳥が鳴く」という表現は、人通りが少なく寂れた状態、特に商売がさびれた様子を指すようになりました。

閑古鳥が鳴くの使い方をご紹介

「閑古鳥が鳴く」の使い方として、5つの例文を紹介します。

  • 新しいショッピングモールが開業してから、近くの小さな商店街では閑古鳥が鳴いている
  • かつては賑わいを見せていた遊園地も、今では閑古鳥が鳴くばかりで、その寂しさが際立っている。
  • 地元の祭りが中止になって以来、普段は人でにぎわうこの通りも、閑古鳥が鳴くような静けさが漂っている。
  • 一度は業界をリードしていたその企業も、今や閑古鳥が鳴く状態で、従業員の士気も下がっている。
  • 夏休みが終わり、観光客が去った海辺の町では、レストランやお土産屋さんに閑古鳥が鳴いている

閑古鳥が鳴くの類義語をご紹介

「閑古鳥が鳴く」に似た意味を持つ言葉として、「門前雀羅(もんぜんじゃくら)」があげられます。

「閑古鳥が鳴く」と同様に、人通りが少なく非常に静かな状況を表す日本の慣用句です。

文字通りには「門前に雀が羅(網)を張る」という意味で、門前が人通りがないほど静かで、雀が網を張っても邪魔されることがないほど人が通らない様子を表しています。

特に寺院や神社などの門前が閑散としている様子を描写するのに使われることが多いです。

閑古鳥が鳴くの対義語をご紹介

「閑古鳥が鳴く」と反対の意味を持つ表現を、以下に3つ紹介します。

千客万来(せんきゃくばんらい)

文字通りには「千の客が来る、万の客が来る」という意味で、非常に多くの人々が訪れることを表します。

商売やイベントなどで大勢の客が押し寄せる状況を指すことが多いです。

門前市を成す(もんぜんいちをなす)

寺院や神社の門前で市が立つほど多くの人々が集まる様子を指します。

活気があり、人々で賑わう場所を表現するのに使われます。

満員御礼(まんいんおんれい)

元々は演劇や映画などの公演で、客席が満席になった際に使われる言葉です。

「満席に感謝」という意味で、大勢の観客や客に恵まれた状況を示します。

広義には、非常に多くの人々が集まることを表すのにも用いられます。

まとめ

「閑古鳥が鳴く」とは、お店や施設が静かで人通りが少ない状況を表します。

カッコウの鳴き声が由来になっているのというのは、なかなか面白いものがありますね。

ビジネスシーンでもよく使われますが、できれば避けたい状況ではあります。

対義語となる、千客万来や満員御礼という状態がやはり好ましいものでしょう。