「破竹の勢い(はちくのいきおい)」という慣用句があります。
猛烈な勢いで進むこと、急速に進展する様子を意味する言葉です。
日常生活でもよく使われる表現ですね。
この記事では、「破竹の勢い」の意味と由来、例文から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
破竹の勢いの意味は?
「破竹の勢い」とは、止めることができないほどの強い勢いや、急速な進展を意味する慣用句です。
竹が割れる際に一度割れ始めると止まらない様子から来ており、特に戦いや競争、ビジネスなどで圧倒的な強さや速さを示す場合に用いられます。
破竹の勢いの由来は?
「破竹の勢い」の起源は、中国の晋王朝(265年 – 420年)の時代に遡ります。
「晋書」に記された「杜預伝」によると、280年、西晋王朝の軍が南部の呉を攻めた際の出来事が元になっています。
当時、多くの指揮官が雨季を避けて撤退を提案した中、将軍杜預は「今の勢いを維持すれば、残りの戦いは竹を割るように容易に進むだろう」と主張しました。
彼の予測通り、晋は呉を滅ぼし、中国統一を成し遂げました。
この歴史的な出来事が、「破竹の勢い」という言葉の由来となったのです。
「破竹の勢い」の「竹」は、ご存じのとおり、自然界に生息する竹のことです。
竹は硬い節があるため、縦に割るのは容易ではありません。
しかし、一度最初の節を割ると、その後は素早く縦に割れていく性質があります。
この竹の特徴から、非常に強い勢いで物事が進展する様子を指す言葉として「破竹の勢い」が生まれたというわけです。
破竹の勢いの使い方をご紹介
「破竹の勢い」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 新製品の売り上げが破竹の勢いで伸びており、競合他社を大きく引き離している。
- 彼女のキャリアは破竹の勢いで進んでおり、わずか数年で部門のトップに立った。
- 彼の新作の小説は出版されて以来、破竹の勢いで人気が高まり、瞬く間にベストセラーリストのトップに躍り出た。
- 選挙戦が始まって以来、彼の支持率は破竹の勢いで上昇し、圧倒的なリードを保っている。
- チームはシーズン序盤から破竹の勢いで勝利を重ね、リーグでの優勝が確実視されている。
破竹の勢いの類義語をご紹介
「破竹の勢い」に似た意味を持つ言葉として、以下の3つの表現を紹介します。
飛ぶ鳥を落とす勢い(とぶとりをおとすいきおい)
非常に強大な力や勢いを持っている様子を指します。
文字通り、空を飛ぶ鳥でさえも落とすほどの力があるという意味から、圧倒的な強さや成功を表現するのに使われます。
日の出の勢い(ひのでのいきおい)
日の出のように急速に勢いを増す様子を表す言葉です。
太陽が昇るように、物事が急激に発展する様子や、新たな始まりに伴う勢いを示します。
堰を切ったよう(せきをきったよう)
何かが突然大量に流れ出る様子や、抑えられていたものが一気に解放される状況を指します。
堰(せき)とは、水の流れを調節するために川などに設けられるダムや堤防のことで、この堰が切られると、水が一気に流れ出る様子から転じて、感情や言葉、行動などが抑えきれずに突然溢れ出ることを比喩的に表現しています。
長い間抑えられていたものが一度に爆発するような状況や、急激な変化を描写する際に使われます。
破竹の勢いの対義語をご紹介
「破竹の勢い」と反対の意味を持つ表現も、以下に3つ紹介します。
衰退の一途をたどる(すいたいのいっとをたどる)
状況や状態が次第に悪くなり、回復の見込みが薄いことを意味します。
事業や組織、あるいは物事全般の勢いが衰え、徐々に弱まっていく様子を指します。
吹けば飛ぶような(ふけばとぶような)
非常に弱々しく、脆い状態を表す言葉です。
文字通り、軽く吹くだけで飛んでしまうほどの弱さを比喩的に表現しており、経済的、物理的、または精神的な脆弱さを指す場合に用いられます。
見る影もない(みるかげもない)
かつての勢いや状態が完全に失われ、以前の面影が全くないことを意味します。
成功や繁栄していた時期と比較して、現在はその痕跡すら見当たらないほど衰退している状況を表します。
まとめ
破竹の勢いは、止められないほどの強大な勢いや急速な進展を意味します。
多くの場合、ポジティブな意味で使われますが、勢いに乗じて油断しないことが大切ですね。
「破竹の勢いだったが~」という文脈で用いられるケースもよく見かけます。
また、勢いに乗るためにも、あるいは勢いがついたとしても、長期的な視野での地道な取り組みが、最終的な成果を左右することを忘れないようにしたいですね。