「白羽の矢が立つ(しらはのやがたつ)」ということわざがあります。

何らかの役割に選ばれることを意味する言葉です。

よく知られている表現だと思います。

どういう時に使うのか、少し戸惑うことがあるかもしれませんが、良い意味でも悪い意味でも使うことができます。

この記事では、「白羽の矢が立つ」の意味と由来、例文から類義語まで詳しく紹介しています。

白羽の矢が立つの意味は?

「白羽の矢が立つ」という表現は、特定の人が選ばれる、または特定の物事が選択されることを意味します。

候補の中から特に目立つ、または適任とされる人や物が選ばれる状況を指します。

「白羽の矢が立つ」は、良い意味でも悪い意味でも使われます。

例えば、リーダーや代表者を選ぶ際に使われる場合は肯定的な意味で、一方で責任を負わされるなどの否定的な状況で用いられることもあります。

白羽の矢が立つの由来は?

「白羽の矢」という表現は、直訳すると「白い羽根を持つ矢」を意味します。

なぜ「白い羽根」なのかというと、これには日本の古い伝承が関わっています。

「白羽の矢が立つ」という言葉は、記紀神話に登場するヤマタノオロチの伝説に由来するとされています。

スサノオノミコトが、生贄になったクシナダヒメを助けるために、ヤマタノオロチを退治したという有名なお話ですね。

この伝説の背景には、古代の日本で、自然災害は神の怒りによって引き起こされるいう考えがあったようです。

そして、神々の怒りを鎮めるために、人身御供(ひとみごくう)という儀式が行われていました。

この儀式では、生きた人間(多くは少女)を神々への生贄として捧げることで、災害を防ごうとしていました。

このような背景の中で、人身御供の生贄を選ぶ際、村の代表者たちは選ばれた少女の家の屋根に白い羽の矢を立てることで、その選択が神の意志であるかのように見せかけたと言われています。

そのため、元々は「白羽の矢が立つ」は、ネガティブな意味を持っていたようです。

ところが、生贄に選ばれることは名誉とされたり、白羽の矢が川を流れてきて、それを家の軒下に挿した家で子どもが生まれたという話も登場します。

また、富岡八幡宮では白羽の矢を「開運吉事をもたらす矢」として、縁起の良いものとして扱っていました。

白いものが清らかさを象徴するという考え方もあり、時が経つにつれて、ネガティブな意味が薄れていったようです。

そして、現在では「特別に選ばれた」というポジティブな意味でも使われるようになったと考えられています。

白羽の矢が立つの使い方は?

「白羽の矢が立つ」の使い方として、5つの例文を紹介します。

  • 彼の実績が認められ、新しいプロジェクトのリーダーとして、白羽の矢が立った
  • 年間最優秀選手の選出で、彼のシーズンを通じた卓越したパフォーマンスが高く評価され、白羽の矢が立つことになった。
  • 学校の文化祭で、クラスの代表に誰を選ぶか話し合った結果、彼女のアイデアと情熱が認められ、白羽の矢が立った
  • 会社のリストラ計画で、私の部署が不振だったため、残念ながら白羽の矢が立ってしまった
  • 学校の清掃委員を決める際、誰も手を挙げなかったため、仕方なく彼が選ばれ、白羽の矢が立ってしまった

1~3の例文は肯定的な文脈での使い方です。

4と5は、ネガティブな意味で使われています。

白羽の矢が立つの類義語は?

「白羽の矢が立つ」に似た意味を持つ言葉として、「目をつける」「指名する」があります。

「白羽の矢が立つ」と同様に、特定の人物や物事を選ぶ、特に注目するという意味合いを持っています。

また、「抜擢する」という表現も似た意味を持ち、特に能力や資質が認められた人物を特定の役割や地位に選ぶ際に使われます。

これらの表現は、いずれも特定の人物や物事を選出する際に用いられることが多いです。

さらに、悪い意味での表現としては、「貧乏くじを引く(びんぼうくじをひく)」という慣用句があげられます。

まとめ

白羽の矢が立つとは、特定の人物や物事が選ばれることを意味します。

肯定的な意味でも、ネガティブな場面でも使われることがあり、その使い方は状況によって異なります。

元々は悪い意味で用いられたようですが、白が清らかさを象徴することもあり、徐々に良い意味でも使われるようになったようです。

日常生活でもよく用いられる表現なので、紹介した例文を通じて、使い方もご参照くださればと思います。