「命は義によりて軽し(いのちはぎによりてかるし)」ということわざがあります。

義のために命をかける覚悟を表した言葉です。

義というのは、古くから大切にされている価値観になります。

この記事では、「命は義によりて軽し」の意味と、使い方から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。

命は義によりて軽しの意味と由来は?

「命は義によりて軽し」とは、日本の武士道精神に基づく言葉で、直訳すると「義のためなら命も軽い」という意味です。

これは、正義や道徳、主君や家族、そして自分の信念のためには、自己の命を犠牲にすることも厭わないという武士の精神を表しています。

つまり、高い理念や義務を果たすことが、自己の生命よりも重要であるという考え方を示しています。

ここでの「義」とは、他者に対して遵守すべき正道や、物事の正当な理由を意味し、道徳や正義といった概念を含んでいます。

義は、儒教の根本的な教えである五常(仁、義、礼、智、信)の一つでもあります。

また、由来としては、中国の後漢時代に記された歴史文献「後漢書」朱穆伝に見られる「情為恩使命縁義軽」という記述に起源を持ちます。

「情は恩のために使い、命は義によって軽んじられる」という意味です。

命は義によりて軽しの例文をご紹介

続いて、「命は義によりて軽し」の使い方として、5つの例文を紹介します。

  • 火災現場で、消防士は迷わず炎の中へと飛び込んだ。命は義によりて軽しという信念のもと、彼は多くの命を救った。
  • かつての武士たちは、主君の命令一つで命を投げ出す覚悟を持っていた。彼らの存在は、命は義によりて軽しという古の精神が、実際にその時代に息づいていたことを物語っている。
  • 命は義によりて軽しとは言うものの、無謀な行動は避けるべきだ。何事も自身の能力と状況を正しく判断することから始まる。
  • 彼女は命は義によりて軽しという考えを胸に、伝染病が蔓延する地域に赴き、治療にあたった。
  • 歴史上の多くの革命家は、命は義によりて軽しという考えを持ち、理想のために生命をかけた。しかし、彼らの物語はまた、理想を追求する際には、その手段と結果の両方を慎重に考慮する必要があることも教えてくれる。

命は義によりて軽しの類義語をご紹介

「命は義によりて軽し」によく似た意味を持つ表現として、「命は鴻毛より軽し(いのちはこうもうよりかるし)」があげられます。

「鴻毛」とは大きな鳥の羽のことで、非常に軽いものを意味します。

「命は義によりて軽し」と同じように、重要な理念や目的のためには、自分の命を犠牲にすることもいとわないという考え方を示しています。

命は義によりて軽しの対義語をご紹介

「命は義によりて軽し」の反対の意味を持つ言葉も、以下に2つご紹介します。

命あっての物種(いのちあってのものだね)

どんなに価値あるものや目標があっても、まずは生命が最も大切であることを意味します。

生きていることが前提で、それがあって初めて他のすべてが意味を持つという考え方です。

命に過ぎたる宝なし(いのちにすぎたるたからなし)

生命以上に価値のあるものは何もないという意味です。

どんなに貴重な財宝や成功も、命がなければ意味がないという考えを示しています。

まとめ

「命は義によりて軽し」という言葉は、過去の時代において、義のために命を捧げる覚悟が深く尊重されていたことを物語っています。

現代社会では、安全と平和が最優先される生活が普通となり、このような過去の価値観は遠いものに感じられるかもしれません。

それでも、過去の歴史的な事例を忘れずに、命の尊さと義の重要性を認識することが大切ですね。

それによって、私たちの生活に新たな深みと意味をもたらすことができると思います。