「喉元過ぎれば熱さを忘れる(のどもとすぎればあつさをわすれる)」ということわざがあります。

人間のすぐ忘れてしまう性質を表した言葉です。

否定的なニュアンスを含んでおり、好ましくない状況で使われるのが一般的です。

この記事では、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の意味と使い方、類義語や対義語まで詳しく紹介しています。

喉元過ぎれば熱さを忘れるの意味と由来は?

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とは、「直面している困難や苦痛が終わると、その苦しさや教訓をすぐに忘れてしまう」という意味です。

これは、人が困難な状況を乗り越えた後、その経験から得た教訓を忘れがちであるという人間の性質を表しています。

例えば、困ったときに助けてもらった恩を忘れたり、病気が治った後に健康の大切さを忘れてしまうような状況を指します。

由来については、詳しいことは分かっていないようです。

ですが、江戸時代中期に人気を博した「いろはかるた」に採用されており、それ以前から広く知られた表現であったと考えられます。

喉元過ぎれば熱さを忘れるの使い方をご紹介

続いて、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の使い方として、5つの例文を紹介します。

  • 彼は病気で苦しんでいた時は健康の大切さを語っていたが、回復するとまた不摂生を始めた。まさに喉元過ぎれば熱さを忘れるだ。
  • 彼女の就職活動中、色々と手助けをしたが、職を得てからは感謝の言葉も連絡もなくなった。喉元過ぎれば熱さを忘れると言うが、簡単に恩を忘れてしまうと思うと、少し悲しい。
  • 友人は事故に遭ってから安全運転を心がけていたけれど、時間が経つとまたスピードを出すようになった。喉元過ぎれば熱さを忘れるとは、このことを言うんだろう。
  • 喉元過ぎれば熱さを忘れるとよく言われるので、気を付けていたが、同じことを繰り返してしまった。昨年の失敗から学んだはずだったのに、今年も同じミスをしてしまった。
  • 経済危機が去った後、多くの企業が危機管理の重要性を忘れ、再び無謀な投資を始めた。これが喉元過ぎれば熱さを忘れるの現実の例だ。

喉元過ぎれば熱さを忘れるの類義語をご紹介

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のよく似た意味を持つ表現として、以下の3つを紹介します。

病治りて医師忘る(やまいなおりてくすしわする)

病気が治った後に、その病気を治療してくれた医師のことを忘れてしまうことから、困難が解消されるとその恩恵を与えた人や物のことを忘れがちになる人間の性質を表しています。

雨晴れて笠を忘る(あめはれてかさをわする)

雨が止んだ後に傘や笠を忘れてしまうことから、問題が解決するとその時に役立ったものや対策を忘れる人の習性を指摘しています。

魚を得て筌を忘る(うおをえてうけをわする)

文字通りには、魚を捕まえた後に、それを捕まえるのに使った筌(うけ、魚を捕るための道具)を忘れるという意味です。

そこから、目的を達成した後にその達成のために使った手段や道具を忘れる人の傾向を示しています。

喉元過ぎれば熱さを忘れるの対義語をご紹介

次に、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の反対の意味を持つ表現も3つご紹介します。

羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)

文字通りには、熱い汁物(羹)で口をやけどした経験から、冷たい料理(膾)でさえも吹いて冷ますという意味です。

そこから、一度の失敗や苦い経験から慎重になることを表すようになりました。

一宿一飯の恩義(いっしゅくいっぱんのおんぎ)

たとえ短い間でも受けた恩は忘れずに感謝するべきだという意味で、小さな恩も大切にする心を表すことわざです。

蛇に咬まれて朽ち縄に怖じる(へびにかまれてくちなわにおじる)

一度蛇に咬まれた経験から、たとえ朽ちた縄でも恐れるという意味で、一度の悪い経験が強い印象を残し、その後も過剰なほど慎重になることを表します。

まとめ

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざは、困難が過ぎ去るとすぐにその教訓を忘れがちな人間の性質を表しています。

確かに、辛い思い出などは忘れてしまう方がよい時もあります。

ただ、何らかの教訓を得たときは、それを忘れずに活かすことが大切になりますね。

過去の経験から学び、それを忘れずにいることの重要性を再認識していただければ幸いです。