「来年の事を言えば鬼が笑う(らいねんのことをいえばおにがわらう)」ということわざがあります。

将来の不確実なことを考えても仕方がないという意味です。

ただ、「なぜ鬼が笑うのか?」不思議に思うことがあるかもしれません。

その由来を知ると、なかなか面白いものがあります。

この記事では、「来年の事を言えば鬼が笑う」の意味と由来、使い方から類義語、対義語まで詳しく紹介しています。

来年の事を言えば鬼が笑うの意味は?

「来年の事を言えば鬼が笑う」ということわざは、将来のことを決めつけてあれこれ計画しても、予測不可能なことが起こりうるため、その計画が現実とは異なってしまうという意味です。

つまり、未来は不確かで予測が難しいため、先のことを決めつけるのは愚かであるという教訓を含んでいます。

「明日の事を言えば鬼が笑う」「三年先の事を言えば鬼が笑う」とも言われます。

なぜ鬼が笑う?その由来は?

「来年の事を言えば鬼が笑う」ということわざは、未来のことを話すと、普段は笑わない鬼でさえも笑ってしまうという意味を持っています。

このことわざの由来の一つに、古くから伝わる話があります。

鬼は人間の寿命を知る特別な力を持っていました。

ある日、鬼は人間が来年の計画や夢について熱心に語っているのを見かけました。

ところが、鬼はその人間がもうすぐ亡くなる運命にあることを知っていました。

その人間は自分が考えているような未来を迎えることができないのです。

鬼は人間が知らない現実を知っているため、人間が未来について語るのを聞いて、その愚かさを笑いました。

ここでの「笑う」とは、楽しさや喜びからではなく、人間の浅はかな考えや無知をあざ笑う意味で使われています。

普段、鬼という存在は、怖い、厳しい、または不機嫌な存在として描かれますよね。
なので、鬼が笑うというのは珍しいことです。

つまり、未来についての人間の話が、実現するはずもなく、意味のないことであり、その状況を目にした鬼でさえも嘲笑うという意味が込められているというわけです。

このことわざは、江戸時代末期に「上方いろはかるた」にも採用されており、幕末にはすでに広く知られていたようです。

ここでの「来年」という言葉は、文字通りの翌年だけでなく、より広い意味での未来や将来を象徴しています。

そして、「来年の事を言えば鬼が笑う」は、「未来のことは誰にも分からないから、めったなことを口にしたり、大きな計画を立てるのは良くない」という意味になりました。

来年の事を言えば鬼が笑うの使い方をご紹介

続いて、「来年の事を言えば鬼が笑う」の使い方として、5つの例文を紹介します。

  • 会議で「来年の売上は今年の倍になる」と上司が断言していたが、市場の状況は常に変わるもの。まさに来年の事を言えば鬼が笑うという状況だ。
  • 来年こそはジムに通って体を鍛えると毎年言っているが、実際にはなかなか続かない。これも来年の事を言えば鬼が笑うの良い例だ。
  • 来年の事を言えば鬼が笑うとは言うけれど、将来のことを考えるのは時には大切だ。ただ、あまりにも具体的な予測には注意が必要だね。
  • 友人が「来年は絶対に成功する」と自信満々に言っていたが、思い出すのは来年の事を言えば鬼が笑う。未来は予測不可能だから、謙虚な姿勢も大事だ。
  • 将来の計画について話すときは、いつも来年の事を言えば鬼が笑うという言葉が頭をよぎる。だけど、夢を持つこと自体は素晴らしいことだと思う。

来年の事を言えば鬼が笑うの類義語をご紹介

「来年の事を言えば鬼が笑う」のよく似た意味を持つ表現としては、以下の3つがあげられます。

捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)

まだ手に入れていないものや確定していないことについて、先走って計画や期待をすることの愚かさを表すことわざです。

現実になっていないことに対する過度な期待や計画は無意味であるという教訓が込められています。

明日は明日の風が吹く(あしたはあしたのかぜかふく)

未来のことは予測できないし、明日起こることは明日考えれば良いという意味です。

過度に心配するよりも、その時が来たら対応すればいいという考え方を示しています。

一寸先は闇(いっすんさきはやみ)

こちらも、未来は誰にも予測できないという意味を持っています。

どんなに計画を立てても、少し先のことさえ分からないという不確実性を表しています。

来年の事を言えば鬼が笑うの対義語をご紹介

「来年の事を言えば鬼が笑う」の反対の意味を持つ言葉として、「昔の事を言えば鬼が笑う(むかしのことをいえばおにがわらう)」があります。

過去の出来事や失敗についていつまでもくよくよと話していると、それがばかばかしくて滑稽に映るという意味です。

過去は変えられないので、過去のことにこだわりすぎるのは無意味であるという教訓を含んでいます。

つまり、過去を引きずるのではなく、現在や未来に目を向けるべきだという考え方を示しています。

まとめ

「来年の事を言えば鬼が笑う」は、未来の不確実性を示す日本のことわざです。

大きな夢や目標を持つことは大切ですが、目の前の小さなステップに集中することも重要です。

最初は小さな成果かもしれませんが、それが後に大きな成功につながっていくものです。

このバランスを保つことで、鬼に笑われることなく、日々の生活を過ごしていけるものだと思います。