「機運が高まる(きうんがたかまる)」という慣用句があります。
似ている言葉として、「気運が高まる」という表現もあります。
どちらも、物事の流れが強まる様子を表していますが、実は両者は微妙に意味合いが異なります。
この記事では、「機運が高まる」の意味、「気運」との違い、その他例文から類義語や英語表現まで詳しく紹介しています。
機運が高まるの意味は?
「機運が高まる」とは、ある出来事や物事を行う時期であることが強まる状態を表します。
ここで言う「機運」とは、事象が進行しやすい状況や、物事が動き出すための適切なチャンスを意味しています。
また、「高まる」とは、そのような状況やチャンスが次第に強くなり、事態が進展する方向に向かっていることを示します。
したがって、「機運が高まる」は、特定の動きや変化を起こす瞬間が強まっていることを示す表現となるわけです。
気運が高まるとはどう違う?
「機運が高まる」に似た言葉として、「気運が高まる」があります。
「機運」が「気運」に変わっただけですが、実は両者には微妙な意味の違いがあります。
「気運」と「機運」は、共に何かが進行する中で生じる流れや傾向を指す言葉ですが、その対象や視点において異なる意味合いを持ちます。
簡単に言ってしまえば
- 機運:チャンス/好機
- 気運:時流/時勢
と言い表すことができます。
まず、「機運」はより具体的な事象や目標に関連したチャンスや適切なタイミングを意味し、特定の行動や決断を行うための外的条件や環境の成熟度を示します。
これに対し、「気運」とは、社会全体の動向や風潮、あるいは集団の中で共有される意志や情熱を指し、広範な時代の流れや社会的なムードを表す言葉です。
例えば、「機運」という言葉は、「新プロジェクトを開始する機運が熟した」といった具体的な計画や行動に最適な時期や条件が整った状況を表現するのに適しており、目前の状況や外的な機会に注目します。
一方、「気運」という言葉は、「環境保護への気運が高まる」といった社会全体の関心事や、広く共有される価値観の変化を表現する際に用いられます。
つまり、集団や社会が一体となって何かを推進しようとする内的なエネルギーや意欲の高まりを指しています。
このように、機運」は特定の目標達成に向けたタイミングや機会を、「気運」は広い社会的背景や集団の心理を「それぞれ強調する点で区別されます。
ただ、これだけでは少し分かりにくいかもしれません。
具体的な例を考えてみましょうか。
例えば、新しい技術革新プロジェクトの立ち上げを例にとってみます。
この場合、「機運が高まる」と表現すると、市場環境や技術の成熟度、資金調達のチャンスなど、プロジェクトを成功させるための具体的な外的条件が整った状態を意味します。
そういった条件などがそろって、プロジェクトを開始するのに最適なタイミングが到来しているということです。
一方、「気運が高まる」という表現を用いると、そのプロジェクトに対する社会全体の関心や期待、参加を促す動きが活発になっている様子を指します。
例えば、エコロジー関連の技術であれば、環境保護への意識の高まりがそのプロジェクトへの関心や支援を後押しする形で、社会全体に広がる動きが見られるということです。
言い換えると、環境保護に対する意識が高まっているため、プロジェクトを始めるのはもはや避けられない流れになっているというニュアンスが含まれます。
ただし、文脈によっては、「機運」と「気運」のどちらを使っても、ほぼ同じ意味になることはあります。
ですが、一般的に「機運が高まる」はプロジェクトを前進させるための具体的な条件や環境の整備に焦点を当てるのに対し、「気運が高まる」はそのプロジェクトに対する社会的な期待や情熱、ムードの高まりを表すことで、両者の違いが明確になります。
機運が高まるの使い方は?
「機運が高まる」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 新技術の発展と市場の需要が一致したことで、業界全体で次世代通信技術への移行の機運が高まっている。
- 国際的な安全基準の改訂が進み、国内での新しい安全対策技術導入の機運が高まっている。
- 政府の補助金政策が発表された後、地域内で小規模ビジネスの創業支援プログラムを開始する機運が高まった。
- 新NISA制度の施行を受けて、個人投資家の間でも金融投資の機運が高まり、株式市場への新たな資金流入を促している。
- 最近の研究成果が公開されたことで、疾患治療のための先進的な医療技術開発への機運が高まっている。
機運が高まるの類義語は?
「機運が高まる」の類語としては、チャンスがやって来た、何かをするのに良い時期になったというような意味の言葉が考えられます。
- 好機到来(こうきとうらい):チャンスや絶好の機会が訪れること。目的を達成するための最適なタイミングが到来した状態を示します。
- 機が熟す(きがじゅくす):何かを行動に移すのに最適な状況や条件が整ったこと。準備が整い、行動を起こすべき時期が来たことを意味します。
- 好都合(こうつごう):事柄が自分の都合や目的に合っていること。計画や目的をスムーズに進めるのに適した状況や条件が揃っていること。
- 追い風が吹く:物事が順調に進むための外的な好条件が整った状態。目的達成に向けて有利な状況が生まれていること。
- 風向きが良い:状況や世間の動きが、自分やある目的にとって有利に進展していること。事態が望む方向に向かっている様子を表します。
以上のような表現があげられます。
機運が高まるの対義語は?
「機運が高まる」の対義語としては、チャンスを逃すや適切な時期ではないというような意味の言葉が考えられます。
- 時機(じき)が悪い:行動を起こすには不適切なタイミングであること。目的を達成するのに適した状況や条件が整っていないことを意味します。
- 間が悪い:物事を行うのに悪いタイミングであること。計画や行動を実行するにあたって、不利益な時期や瞬間に当たることを指します。
- 不都合(ふつごう)/b>:物事が計画や意向に合わない、都合が悪い状況。目的達成に向けて障害となるような条件や状況が存在することを指します。
- 風向きが悪くなる:物事が進む上で、外的条件が不利に変わること。支持や状況が、目標達成に向けて不利な方向に進展することを意味します。
- 形勢が不利になる:ある事態や競争において、自分の立場や状況が悪化すること。成功や勝利に向けた状況が悪くなり、困難が予想されることを意味します。
機運が高まるの英語表現は?
「機運が高まる」の意味に近い英語表現として、以下のようなものがあります。
- The momentum is building:物事が進展し、動き出す力が強まっている状態を示します
- There is growing momentum:The momentum is buildingとほぼ同じ意味で、物事が進展し、勢いが増している状況を示します。
- The time is ripe:何かを行うのに最適な時期や状況であることを意味します
- Conditions are favorable:条件や環境が、特定の行動やイベントを行うのに適していることを示します
- Opportunity knocks:機会が訪れており、行動を起こすには良いタイミングであることを示します
まとめ
「機運が高まる」は、特定の行動や決断を行う時期であることが強まる状態を示します。
「気運が高まる」も似たような意味を持ちますが、微妙にニュアンスが異なります。
日常生活でもビジネスシーンでも、何かをするのにふさわしい時期やタイミングというものはありますね。
その瞬間や時勢が強まり、流れに乗り遅れないようにしなければいけないときもあります。
そのような場面でうまく使いこなせるように、機運と気運の2つの言葉とその違いをしっかり覚えておきたいところです。