「ぐうの音(ね)も出ない」という慣用句があります。
簡単に言うと、言い返すことができない状態を意味します。
ただ、「ぐうの音」は何の音を指しているのか、あまり知られていないようです。
実は、一般的に思い浮かべるような音ではなかったりします。
この記事では、「ぐうの音も出ない」の意味と語源、例文から類義語や英語表現まで詳しく紹介しています。
ぐうの音も出ないの意味は?
「ぐうの音も出ない」とは、完全に言い返せない、または反論が全くできない状況を表します。
ここでの「音」は「ね」と読みます。
文字通りに解釈すると、「ぐう」という音さえ出せないほど、相手の言い分や行動に対して完全に納得してしまったり、反論できない状態を意味します。
議論や競争などで、相手の優位性や正当性を認めざるを得ない時に使われます。
ぐうの音も出ないの語源は?
「ぐうの音も出ない」の「ぐう」という音は、息が詰まるような状況や、何かが喉に詰まって苦しい時に出る声のことを指します。
このような状況にあっても声が出ないということから、「ぐうの音も出ない」という言葉が生まれました。
つまり、言葉にできないほど完全に打ちのめされている状態を表しているということです。
「ぐう」と聞くと、真っ先に思いつくのは、お腹が鳴る音かもしれませんね。
ですが、この場合の「ぐう」はそうではなく、息が詰まったときの声という意味です。
ぐうの音も出ないの使い方は?
「ぐうの音も出ない」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 彼の提案はあまりにも完璧で、会議で反対意見を持っていた私もぐうの音も出なかった。
- チームメイトのプレゼンテーションは非の打ち所がなく、プロジェクトの批判を考えていた他のメンバーもぐうの音も出ない状態だった。
- ディベート大会で、相手チームのリーダーはこちらの論点を一つずつ丁寧に論破し、完全に圧倒した。結果、私たちは一言も反論できず、ぐうの音も出ないほど徹底的にやり込められた。
- 彼女の料理の腕前には疑問を持っていたが、実際には素晴らしいもので、その味を経験した後はぐうの音も出なくなった。
- 私たちのチームは地区大会で無敗を誇っていたが、決勝戦で対戦した相手チームは予想をはるかに超える実力を持っていた。彼らの前に全く歯が立たず、ぐうの音も出ないほど完全に圧倒されてしまった。
ぐうの音も出ないの類義語は?
「ぐうの音も出ない」の類語としては、言い返すことができない、反論できずにやり込められた状態を表す言葉が考えられます。
例として
- 返す言葉がない
- 反論の余地がない
- 手も足も出ない
- 全く敵(かな)わない
- ボコボコにされる
- コテンパンにされる
- ボロクソにやられる
などの表現があげられます。
ぐうの音も出ないの対義語は?
「ぐうの音も出ない」の対義語は、言い返す、やっつけるなどの意味を持つ言葉になりますが、特に強い反響を与えるニュアンスを持つ言葉が当てはまります。
以下にそのような意味を持つ表現を紹介します。
- 徹底的に打ちのめす
- 完膚(かんぷ)なきまでに打ち砕く
- 完膚(かんぷ)なきまでに叩きのめす
- 二度と立ち上がれないまでに打ち砕く
- 二度と立ち上がれないまでに叩きのめす
また、「ぐうの音も出ない」の類義語を言い換えて、「ボコボコにする」「コテンパンにやっつける」と言うこともできます。
ぐうの音も出ないの英語表現は?
「ぐうの音も出ない」の英語表現としては、be beatenやleft speechlessなどがあげられます。
どちらも、反論できないほど完全に圧倒されたり、言葉を失ったりする状況を表します。
ただし、be beatenは、完全に圧倒されるというニュアンスに少し欠けるという印象があります。
そこで、completelyを使って、be completely beatenとすると、「ぐうの音も出ない」という状況をうまく表現することができます。
それぞれの例文を紹介すると
(ディベートの最終ラウンドで、相手の完璧な議論に対して、私はぐうの音も出なかった。)
(チェスの試合中、相手が予想していなかった見事な一手を打ったとき、私は勝ち目がないと悟り、ぐうの音も出なかった。)
となります。
まとめ
「ぐうの音も出ない」とは、反論できないほど相手に圧倒される状況を指す表現です。
「ぐうの音」の意味を理解すると、言い返すことができないニュアンスがよく分かりますね。
ビジネスシーンを含む様々な場面で効果的に使えるため、語源を理解したうえで、適切な使用方法を身につけたいものです。