「大船に乗る(おおぶねにのる)」という慣用句があります。
そのままの言葉通り、大きな船に乗ることで安心できる様子を意味します。
この記事では、「大船に乗る」の意味と語源、例文から類義語や英語表現まで詳しく紹介しています。
大船に乗るの意味は?
「大船に乗る」とは、安心して何かに頼ることができる状態を意味します。
大きな船は安定していて安全であることから来ており、何かがうまくいくことに対して強い信頼を置いている様子を示します。
何の心配もなく安心している状態を表しています。
大船に乗るの由来は?
「大船」という言葉は、そのまま「大きな船」という意味です。
大型の船は、小さな船舶に比べて海上での安定性が高く、転覆するリスクなどの事故発生率が低いです。
このため、波が高かったり風が強かったりしても、乗船中は比較的安心感を持てるわけです。
この背景から、「大船に乗る」という表現は、信頼できる支えがあることで、何の心配もなく安心して物事を任せることができる状況を比喩しています。
言葉の起源については正確なことは分かっていないようですが、江戸時代初期の俳人である井原西鶴が書いた「西鶴大矢数」(1681年)に
此ことく吹と思はぬ浮世かせ 心かすはって大舟にのる
という表現が見られます。
そのため、江戸時代にはすでに広く知られていた言葉と考えられます。
大船に乗るの使い方をご紹介
「大船に乗る」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- いつも頼りにしていた先輩が新しいプロジェクトのリーダーに選ばれたので、大船に乗る心地で仕事に取り組めそうだ。
- 気がかりだった緊急事案を彼が引き受けてくれることになり、大船に乗ったように、いつもの業務に専念することができた。
- 試合を前に緊張しているメンバーに対して、キャプテンは「僕がしっかりと舵を取るから、大船大船に乗ったつもりで任せてくれ。」と言った。
- この難しい時期に、社長が前向きなメッセージを発信してくれたので、社員一同大船に乗るような安心感を得られた。
- 技術的な問題に直面したが、チームにはその分野の専門家がいたので、大船に乗ったつもりで安心して任せることができた。
大船に乗るの類義語をご紹介
「大船に乗る」に似た意味を持つ言葉として、「親船に乗る(おやぶねにのる)」があげられます。
「大船に乗る」と同様に、何かに頼ることで安心感を得られる状況を表します。
親船は、小さな船を従えた大船のことで、小さな船がつながれて安全に航海する様子から来ています。
力強い支援や頼りがいのある存在に守られていることで、安心して任せられる、または心配事から解放されることを意味します。
その他、簡単に「安心できる」と言い換えることができますし、「気持ちが安らぐ」や「気持ちが落ち着く」といった表現も使えます。
大船に乗るの対義語をご紹介
「大船に乗る」の対義語として、以下の表現を紹介します。
地に足がつかない(ちにあしがつかない)
現実感がない状態や、不安定で落ち着かない心理状態を表す表現です。
安心感や確固たる基盤が欠けていることから、物事に対して自信が持てず、不安や心配が絶えない状況を意味します。
浮足立つ(うきあしだつ)
落ち着きがなくなり、興奮や不安でいらいらする様子を指します。
何かに対して心配事がある時や、不安定な状況に置かれた時に使われる表現です。
卵の殻で海を渡る(たまごのからでうみをわたる)
非常に危険で不安定な状況に身を置くことを意味する表現です。
とても不安定な状態で大きな困難に挑む様子を描いており、安全性や安心感が全く保証されていない状況を示します。
その他、簡単に「落ち着かない」や「気が気でない」「気もそぞろ」などと言い換えることができます。
大船に乗るの英語表現をご紹介
「大船に乗る」の英語表現としてふさわしいものには、“in good hands”や“in safe hands”があります。
どちらも、何か(または誰か)が信頼できる人々の管理や保護下にあることを示し、その状況や人物に対して安心して任せることができるという感覚を表します。
- You’re in good hands.
- He’s in safe hands.
という形で、「心配しないで大丈夫」→「大船に乗る」という意味になります。
まとめ
「大船に乗る」とは、何かに対して深い信頼を置き、安心して任せられる状態を意味します。
大きな船が安全に航行できる様子をイメージすると分かりやすいですね。
日常生活やビジネスシーンで信頼できる人物や状況に出会った時に使える表現です。
人生において、大船に乗るような信頼のおける人がそばにいると心強いですし、自分自身もそんな頼りがいのある存在になりたいものですね。