うなぎを食べるときに、よく山椒を振りかけますよね。

料理店でも、必ずと言っていいほど、うなぎと山椒はセットになっています。

では、何故うなぎに山椒を振りかけるのでしょうか。

そこに何か意味があるのでしょうか。

この記事では、そんな疑問に答えるべく、うなぎに山椒をかける理由について詳しく説明しています。

さらに、山椒そのものについての解説や、うなぎに山椒を効果的に使うためのヒントもお伝えしています。

うなぎに山椒をかける理由は?

何故うなぎに山椒をかけるのか、その理由を簡単にまとめると

  • うなぎの特有の臭みを消すため
  • 消化を助けるため
  • 抗菌作用があるため

の3つがあります。

1つずつ、丁寧に説明していきますね。

まず、人類がうなぎを食べ始めたのは非常に古く、新石器時代にさかのぼります。
新石器時代とされる遺跡からは、うなぎの骨が発見されています。

また、うなぎに山椒を使うようになったのは、室町時代と考えられています。

この頃に記された文献には、かば焼きとしてのうなぎの料理法が紹介され、「山椒をかけるも吉」という記載が見受けられます。

そのため、室町時代にはすでに山椒をかけるという習慣があったようです。

江戸時代になると、うなぎは庶民にも広く食べられるようになりましたが、この時代のうなぎは全てが自然界からのもので、土臭さを帯びていることがよくありました。

現在では、うなぎを食べる際には泥の味を気にすることなく楽しむことができます。

これは、出荷前の処理設備の向上と丁寧な泥抜き処理によるものです。

ですが、昔はそのような設備や技術がなく、捕獲されたばかりのうなぎが直接料理されていたため、泥臭さが強く残っていました。

しょうゆなどで味付けできればよいのですが、うなぎは脂肪分が多く、しょうゆを使っても薄味になりがちです。

そこで、山椒の手番です。
うなぎ特有の臭みや脂っこさを軽減するため、山椒がかけられるようになったということなんです。

山椒の清涼感ある風味により、うなぎの脂っこさを感じずに食事を楽しむことができます。

しかも、山椒は調味料としての役割だけでなく、健康面でのメリットもあるようです。

先ほど述べたとおり、うなぎは脂肪分が多いことで知られれいます。
そのため、体内で消化しにくく、胃の不快感や消化不良を起こす可能性があります。

ところが、山椒をかけると、そんなうなぎでも消化しやすくなります。

というのも、山椒には、消化機能をサポートし、胃腸の健康を促進する効果があるとされているからです。
漢方では、消化促進のために用いられることもあります。

こうした理由から、日本ではうなぎと山椒を組み合わせる習慣が根付いています。

この慣習は、単にうなぎの風味を高めるだけでなく、健康を意識した昔ながらの知恵が反映されていると考えられます。

さらに、うなぎは夏によく食べられることで知られていますが、食中毒のリスクが高まる季節でもあります。

山椒は消化を助けるだけでなく、抗菌効果も持っており、食べ物による中毒のリスクを減らす効果があるとされています。

この効能により、うなぎに山椒をかけることで安心して食べることができるというわけです。

以上のように、うなぎと山椒は切っても切れない関係にあり、今日でも欠かせない組み合わせになっています。

山椒とは具体的にどんな植物?

山椒といっても、具体的にどんな植物なのか、よく知らないという場合があるかもしれません。

山椒は、実はミカン科に属する落葉の低木で、独特の風味を持つ日本原産の植物です。

日本では非常に長い歴史を持ち、縄文時代から使用されていた国内最古の調味料の一つとされています。

一般的には、実の皮を乾燥させて粉末にしたものが使用されます。

春先の若葉は「木の芽」と呼ばれ、その香り高い風味は焼き魚や煮物、吸い物に加えられることがよくあります。

山椒の風味は刺激的で、独特のしびれるような辛さが特徴です。

これは中華料理で見られる花椒(ホワジャオ)と似ていますが、花椒はさらに強い香りと辛味があります。

山椒や花椒は、塩と混ぜて用いられることもあり、その特有の刺激は様々な料理に合わせやすいです。

餃子や卵焼き、味噌汁など、日常の料理にひと振りするだけで風味豊かになります。

うなぎに山椒をかけるときのコツは?

うなぎに山椒をかけるときは、まず個人の好みに合わせて少量から始めて徐々に量を調整するのがポイントとなります。

多すぎても、少なすぎても、うなぎを美味しく食べることはできませんよね。

食べる直前に山椒を振りかけることによって、香りが飛ぶことなく、うなぎの味を引き立てます。

挽きたての山椒を使用すると、新鮮な香りを最大限に引き出すことができます。

また、山椒の葉を利用することで、繊細な香りのバリエーションを加えることができます。

さらに、うなぎではなく、ご飯に山椒をかけるというのも1つの方法です。

山椒をうなぎの上に直接振りかけると、山椒の粒の食感が先行してしまい、うなぎ独自の食感を楽しめなくなる可能性があります。

ご飯にかけることで、うなぎの柔らかさと皮の弾力性を損なうことなく、その食感を最大限に味わうことができます。

その他、前述したように、山椒と塩を混ぜて用いると、特有の刺激によって風味が豊かになります。

まとめ

山椒には意外な効能がありました。

現在は設備や技術が整っているため、泥臭さを感じることなくうなぎを食べることができます。

それでも、山椒を加えることで、風味を豊かにし、消化を助け、食中毒も防ぐなど、その価値は依然として大きいです。

特に夏に食べることが多いので、うなぎと山椒のセットはやはり欠かせないものですね。