「貧乏くじを引く(びんぼうくじをひく)」という慣用句があります。
一口に言うと、不運な目にあうという意味で、日常会話でもよく使われますね、
この記事では、「貧乏くじを引く」の意味と使い方、類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
貧乏くじを引くの意味は?
「貧乏くじを引く」とは、不運な状況になったり、厄介な仕事や役割に当たることを意味します。
運や抽選によって、他の選択肢に比べて不利益や困難が伴う結果になることを指します。
貧乏くじを引くの由来は?
「貧乏くじを引く」の由来は正確なことは分かっていないようですが、江戸時代後期の諺語辞典「譬喩尽(たとえづくし)」(1786)に
と記載されており、江戸時代には広く知られていた表現だと考えられます。
「貧乏」は、現在でもよく知られている言葉ですが、資産が乏しく、経済的に苦しい状況を指します。
また、「くじ」は、「くじ引き」を意味し、何が誰に当たるかを運に委ねる方法です。
くじ引きも、現在でよく行われますね。
くじ引きは、選択がランダムに行われるため、古くから公平性を保つ手段として用いられてきました。
娯楽として行うには楽しいものですが、時には、誰もが避けたい役割を決めるために使われることもあります。
そして、そのような役目に当たると、自身の利益にはなりません。
つまり、「貧乏」な状況にたとえられます。
そこから、不本意ながらも不利な役割を引き受ける状況を表す言葉として、「貧乏くじを引く」という表現が生まれたというわけです。
貧乏くじを引くの例文をご紹介
「貧乏くじを引く」の使い方として、例文を5つ紹介します。
- 新入社員の中で、たまたま私が貧乏くじを引いて、一番大変なクライアントを担当することになった。
- 年末の大掃除で、みんなから避けられていた倉庫の整理が私の仕事になり、まさに貧乏くじを引いた気分だった。
- 彼は周りを思いやる優しい性格で、その結果、困難な仕事や面倒な役割を引き受けることが多く、いつも,b>貧乏くじを引いている。
- パーティーの準備で、料理と飾り付けを分担することになったが、彼女は約束の時間に遅れたため、貧乏くじを引き、後片付け全般を任されることになった。
- 休日出勤のローテーションで、どういうわけかいつも私が貧乏くじを引いて、大事な予定をキャンセルせざるを得なくなる。
貧乏くじを引くの類義語をご紹介
「貧乏くじを引く」の類義語は、以下のようなものがあります。
白羽の矢が立つ(しらはのやがたつ)
多くの中から特定の人が選ばれることを意味する表現です。
もともとは、羽の白い矢を使って特別な人を選ぶ古い習慣から来ています。
責任ある役割や任務が特定の人に割り当てられる状況を指すことが多く、ポジティブな意味合いで使われることがありますが、貧乏くじを引くと同様に、望まない役割を引き受けることを示す場合もあります。
お鉢が回る(おはちがまわる)
順番や機会が自分に回ってくることを意味し、特にやりたくない仕事や役割が自分に割り当てられる状況を表します。
仏教で食事の際にお鉢を順番に回していく慣習から来ており、不本意ながらも特定の役目を引き受けることを示す際に用いられます。
その他、不運なことが起こるという意味で
- ひどい目を見る
- 災難に巻き込まれる
- 憂き目を見る
- 羽目に陥る
- 不運な目に遭う
といった表現も、類語としてあげられます。
貧乏くじを引くの対義語をご紹介
「貧乏くじを引く」の直接的な対義語をあげるのは難しいですが、あえてあげるとすると、以下の表現がふさわしいでしょう。
棚から牡丹餅(たなからぼたもち)
予期せぬ幸運が自分に舞い込むことを意味することわざです。
努力や苦労をせずに、思いがけず良いことが起こる状況を表します。
貧乏くじを引くの正反対で、何の苦労もなく利益や幸運が手に入ることを喩えています。
鴨が葱を背負って来る(かもがねぎをしょってくる)
自分にとって都合の良いことが意外な形で起こることを指す言葉です。
何もしなくても利益や好機が自然と訪れる、まさに理想的な状況を描写します。
予期せぬ幸運や好機が自分のもとにやってくる様子を表現しています。
貧乏くじを引くの英語表現をご紹介
貧乏くじを引くに相当する英語表現としては、「draw the short straw」がふさわしいです。
この表現は、グループ内で不運な役割や最も望ましくない任務を引き受ける人を決めるために、文字通り短い藁(わら)を引く古い方法から来ています。
誰かが不利な状況や望まない仕事を引き受けることを示す際に用いられます。
(報告書を仕上げるために遅くまで残る人を決めた時、私が貧乏くじを引いて、結局残業することになった。)
という形で使われます。
まとめ
「貧乏くじを引く」とは、不運な状況や望ましくない役目に当たることを意味します。
ネガティブな意味合いで使われ、幸運からは程遠い状況です。
人生においても、こういう状況はよくありますね。
不運な目にあったときは、日常会話でも便利に使える表現です。