「魔笛」は、ご存じのとおり、モーツァルトが生涯の最後に完成させたオペラです。

モーツァルト晩年の最高傑作という評価もあります。

当時の貴族にはあまり好まれなかったという話もありますが。

大まかなストーリーは分かりやすいおとぎ話ということもあり、大衆にはかなりの人気を博しました。

今回は、モーツァルト作曲のオペラ「魔笛」のあらすじを、分かりやすく説明しました。

魔笛の全体のあらすじを簡単にまとめると?

オペラ魔笛の全体のあらすじを、思いっきり簡単にまとめると、

「王子のタミーノが試練を乗りこえ、夜の女王の娘パミーナと結ばれる」

「たまたまタミーノの従者となった鳥刺しのパパゲーノも、パパゲーナと結ばれる」

と、なります。

登場人物をまとめると、

  • タミーノ:王子
  • パミーナ:夜の女王の娘
  • パパゲーノ:鳥刺しの男
  • パパゲーナ:パパゲーノと結婚することを託された女性
  • 夜の女王:夜を支配する女王/実は太陽の支配権を奪おうと企む悪者
  • ザラストロ:太陽の支配権を受け継いだ大祭司
  • モノスタトス:奴隷の頭領

となります。

では、ストーリーをもう少し詳しく説明します。
以下のような物語となります。

舞台は、古代のエジプト。

ある日のこと、王子のタミーノは、夜の女王の3人の侍女に出会います。
3人の侍女はタミーノに、ザラストロという悪人からパミーナを取り戻してほしいと頼みます。

パミーナの肖像画を見たタミーノは、パミーナに一目惚れ。

タミーノはパミーナを救い出すことを決意し、ザラストロの城へ向かいます。

たまたま通りかかった鳥刺しのパパゲーノも、タミーノの従者となり、嫌々ながら旅に同行することになりました。

このとき、タミーノは魔法の笛を、パパゲーノは魔法の鈴を授かります。

魔法の笛と鈴の力を借り、何とかタミーノがザラストロのもとに到着。

ここで、タミーノはパミーナと初めて出会い、2人は一目で恋に落ちます。

パミーナを救い出そうとするタミーノですが。

実は、ザラストロは偉大な祭司であり、世界を我が物にしようと企む夜の女王からパミーナを保護していたのでした。

ザラストロは、タミーノがパミーナを得るための試練を受ける資格があることを認め、その試練をタミーノに与えます。

魔法の笛の力も借り、見事に試練を乗りこえたタミーノは、パミーナと結ばれることになりました。

また、パパゲーノも、魔法の鈴の力を借り、試練を突破。
パパゲーナという、念願のお嫁さんを得ることができました。

しかし、夜の女王は、当然これに激怒。
ザラストロの神殿に攻め入ろうとします。

ところが、夜の女王は雷にうたれて、地獄に落ちてしまいました。

こうして、災いは去り。
皆が神々のオリシスとイシスを称えて、幕を閉じるのでした。

大まかなストーリーは、以上のとおりです。

続いて、以下でさらに詳細なあらすじを紹介します。

第1幕のあらすじ

王子タミーノが大蛇に襲われ、気を失いました。

そこに夜の女王に使える3人の侍女が現れ、大蛇を倒します。

侍女たちは、夜の女王に報告しにいきます。

ここで、鳥刺しのパパゲーノが登場。

パパゲーノは、正気を取り戻したタミーノの問いに、大蛇を倒したのは自分であるとウソをつきます。

すると、3人の侍女が再び現れ、ウソをついたパパゲーノの口に鍵をしました。

侍女たちはタミーノに、大蛇を倒したのは自分たちであると告げ、夜の女王の娘パミーナの肖像画を見せます。

タミーノは一瞬にしてパミーナに心を奪われます。

3人の侍女はタミーノに、ザラストロという悪人がパミーナをさらったので、パミーナを救い出してほしいと頼みます。

タミーノはこの頼みを受け入れます。

ここで、夜の女王が登場。

改めてタミーノに、パミーナの救出を頼みました。

夜の女王が立ち去ったあと、3人の侍女はパパゲーノの口の鍵をはずし、タミーノのお供を命じます。

そして、タミーノには魔法の笛を、パパゲーノには魔法の鈴を授けます。

こうして、タミーノはザラストロの元へ向かうこととなりました。

場面が変わって、ザラストロの城のとある部屋。

奴隷の頭領のムーア人のモノスタトスが登場。

逃げ出そうとしたパミーナをとらえ、部屋に連れてきました。

この場面で、部屋の窓からパパゲーノが入ってきます。

パパゲーノとモノスタトスはお互い、その容貌にビックリ!

2人とも「化け物だ~」と叫び、逃げ出しました。

その後しばらくして、パパゲーノがパミーナのもとへ戻ります。

パパゲーノはパミーナに、王子タミーノがパミーナを助けるため、ここに向かっていると話しました。

2人は部屋を出ていき、タミーノと合流することになります。

場面が変わって、ザラストロの城を目指すタミーノ。

タミーノが魔法の笛を吹くと、それに呼応してパパゲーノの魔法の鈴が鳴ります。

鈴の鳴ったところに、パパゲーノとパミーナがいると分かり、タミーノは急いで向かいます。

しかし、パパゲーノとパミーナは、モノスタトスとその部下たちに捕まってしまいました。

万事休すという場面で、パパゲーノは試しに魔法の鈴を鳴らします。

すると、その音色はモノスタトスたちを魅了し、不思議なことに、彼らはその場を去っていきました。

ここで、城に帰ってきたザラストロが登場。

パミーナは、ザラストロに逃げようとしたことを謝ります。

さらに、モノスタトスが入場し、捕らえたタミーノと共に登場します。

ようやく、タミーノとパミーナの初めの出会い。

お互いが一目で恋に落ち、運命の人と感じます。

ザラストロは、タミーノとパミーナを試練の神殿に連れていくように命じます。

従者たちがザラストロを称えるなか、第1幕が終わりとなります。

第2幕のあらすじ

ザラストロと神官たちが登場。

ザラストロは、タミーノとパミーナが結ばれるのを神々が定め、そのための試練を受ける資格があることを認めます。

そして、タミーノとパパゲーノは試練を受けることになります。

パパゲーノは乗り気ではなかったものの、パパゲーナという可愛い女性と引き合わせてもらえると言われ、試練を受けることにしました。

試練は沈黙すること。
何もしゃべってはいけません。

例の3人の侍女たちがやってきて、タミーノとパパゲーノの沈黙を破ろうとしますが。
何とかここを乗り切り、沈黙を続けることができました。

続いて、場面が変わって、とある庭。

パミーナのもとに、夜の女王が訪れます。

夜の女王は、亡くなった夫(パミーナの父)が昼の世界の支配権をザラストロに譲ったことを打ち明けます。

そして、短剣をパミーナに渡し、ザラストロを殺害するように命じて、場を去ります。

夜の女王のアリア

この場面で、2番目の「夜の女王のアリア」が歌われます。
おそらく「魔笛」で最も有名な曲でしょう。

これを物陰から聞いていたのは、モノスタトス。

モノスタトスはパミーナを脅迫します。

しかし、ここでザラストロが登場。

ザラストロはモノスタトスを叱りつけ、これに反発したモノスタトスは、夜の女王のもとへ向かいます。

一方、パミーナに対しては、タミーノと愛し合い、敵を許すように諭します。

場面が変わって、タミーノとパパゲーノの試練。
とある広間に連れられ、沈黙の試練が続行。

途中、老婆が現れ、自分の恋人はパパゲーノという名前で、ここにいると告げます。

これを聞いたパパゲーノは意気消沈。
しゃべる気がおこらず、逆に沈黙することになります。

続いて、3人の童子が現れ、タミーノとパパゲーノに、魔法の笛と魔法の鈴を返します。

タミーノが笛を吹くと、パミーナが登場。

しかし、沈黙の試練でしゃべることができないタミーノに対し、パミーナは愛が冷めてしまったと勘違い。

パミーナは悲しんで場を去り、タミーノも無言で悲しみます。

やがて、試練終了の合図がなり、タミーノとパパゲーノは広間を出ていきます。

すると、ザラストロが登場。

ザラストロは、タミーノにさらなる試練があることを告げます。

パミーナも現れ、タミーノは再会することを誓います。

一方、パパゲーノはタミーノを見失って、迷子になってしまいます。

そこへ老婆が現れ、無理やり結婚の誓いをされられます。

すると、老婆は、パパゲーノと同じ格好をした可愛らしい娘・パパゲーナに変身。

ビックリするパパゲーノですが、一旦2人は引き離されます。

場面が変わって、とある小さな庭。

パミーナは悲しみのあまり、母から手渡された短剣で、自身の命を絶とうとします。

しかし、3人の童子に制止され、タミーノがパミーナを愛していることを告げます。

場面が変わって、タミーノが試練に挑戦するところ。

パミーナが現れ、タミーノの名を叫びます。

タミーノはパミーナと会うことを許され、会話のあと、2人で試練に挑戦することになります。

タミーノはパミーナは、火の試練と水の試練をこなし、全ての試練を乗りこえることができました。

場面が変わって、再び落ち込んでいるパパゲーノ。

パパゲーナと引き離され、やけくそになりますが。
3人の童子に諭され、魔法の鈴をならします。

すると、パパゲーナが可愛い娘の姿のまま現れ、2人は結ばれることになりました。

パパパの二重唱

ここで、パパパの二重唱が歌われます。
1980年代に、グリコのパナップというアイスクリームのCMで使われました。
懐かしいと思う方もいらっしゃるでしょう。

続いて、暗闇の中。

夜の女王は復讐に燃え、モノスタトスと結託し、ザラストロの城へ攻め入ろうとします。

しかし、雷が鳴り、暗闇から一転して、場が明るい光に包まれます。

夜の女王は破れたことを悟り、3人の侍女とモノスタトス共に消えてしまいました。

太陽が夜の闇を打ち砕いた瞬間でした。

そして、皆がオシリスの神とイシスの神に感謝の意を捧げます。

こうして、物語はハッピーエンドを迎え、幕が閉じるのでした。

感想

私は、スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン監督が制作した映画の「魔笛」を観ました。

いや~、ほんとに面白かったです。

実際に鑑賞するまでに、ある程度の予備知識はありました。

たまたま、魔笛の日本語訳の歌を習う機会があり、色々覚えていたんです。

例えば、パパゲーノの「鳥刺しの歌」の日本語訳の歌詞など、ほぼ覚えています。

「おいらはちょっとこの辺で、名物だ~よ、ホイサッサ。誰にでも知られた、鳥刺しの大将さ!」

という感じですね。

また、タミーノの魔法の笛と、パパゲーノの魔法の鈴が呼応する場面とか。

パパゲーノ「嬉し~や、我が合図~、彼に聞こえて~、応えたよ笛が~!勇みいさんで、た~だ、急いで急いで走れよ!さあ喜び~いさんで!今こそは!今こそは!た~だ急いで急いで、急いで急いで、急いで急いで…」

モノスタトス「急いで逃げてゆくか!ハッ、そ~れ捕らえたぞ!者ども出会えよ!モール人の意気思い知れ!モノスタトス知らんか!急げ、奴隷どもよ!それ、早くせよ!」

パミーナ「ああ、もうダメよ!」

モノスタトス「そ・れ・は・や・く・せ・よ!」

パパゲーノ「ものは試し~、勇気を出して!それ、鈴鳴れよ!高く鳴れよ、鳴れ!高く歌え、歌え!」

という場面とか。

あと、この直後の、魔法の鈴で奴隷たちが魅了されるときの日本語訳の歌も歌えます(笑)

そんなわけで、魔笛は、個人的にかなり思い入れのある作品です。

ただ、魔笛に限らずですが、オペラのDVDやブルーレイはかなり値段が高いんですよね。
普通に1万円以上はしますから。

それでも、とても面白い作品なので、機会があれば、ぜひご覧いただけたらと思います。