「疎明(そめい)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
日常で一般的に使われる場合は、「いいわけ」とか「弁明」という意味になります。
と言っても、最近はわざわざ、そんな意味で疎明なんて堅苦しい言葉を使うことはほぼないと思います(汗)
ですが、法律用語としては、「証明」と対比される言葉としてよく使われたりするんです。
では、法律用語の「疎明」は、どういう意味があるのでしょうか。
私が大学生のときに、大学の法律総論か何かの授業で、疎明という言葉を初めて知ったという記憶があります。
とはいえ、記憶が曖昧なので、いつ知ったのかについては定かではありません。
ただ、初めて疎明の解説を聞いたときは、今一つよく分からず、モヤっとしたものがありました。
おそらく、その当時の私と同じ状況にある方は多いと思います。
そこで、この記事では「証明」と比較しながら、「疎明」の意味について説明していきたいと思います。
ご参考になれば幸いです。
法律上の「証明」の意味とは?
まず、法律用語としての「証明」の意味するところを説明します。
定義としては、「ある事実について、裁判官が合理的な疑いをはさまない程度に、確信のある状態を得た状態、または、その状態に到達させるための証拠提出活動のこと」となります。
と、まあ、このように説明しても、ちょっと分かりにくいものと思います(汗)
なので、もっと簡潔に表現すると、「裁判の当事者や証人の提出した証拠によって、裁判官が事実認定について、まず間違いないと確信に至った状態にすること」となります。
ただ、これでも、今一つ分かりにくいかもしれません。
要するに、裁判官が100%とは言わないまでも、ほぼ間違いないと納得する状態になるということです。
この場合、100%確信するというのは、現実的に不可能です。
裁判官が、争われている事実やその現場を、直接見たり、聞いたりしないかぎり、100%確信することはあり得ないですよね。
ですので、一般的には、裁判官の確信の程度は、十中八九、80%~90%くらいと考えられています。
もちろん、この割合、パーセンテージについて、明確な定義があるわけではありません。
あくまで目安ということに、注意してください。
法律上の「疎明」の意味とは?
次に、法律用語としての「疎明」の意味するところを説明します。
「疎明」の定義としては、「ある事実について、裁判官が一応確からしいとの心証を得た状態、あるいは、その状態に到達させるための証拠提出活動のこと」とされています。
と、まあ、この定義も、あまりよく分からないかもしれません(汗)
要するに、「証明」のような確信までには至らないけれども、おおよそ確かだよねと納得する状態になるということです。
疎明も、確信の程度については、6割~7割くらいと考えられています。
証明よりも、納得する程度は少し低くてよいということになります。
もちろん、これも、あくまで目安ですので、ご注意ください。
また基本的に、裁判においては証明が原則となりますが、手続き上の事項などについては迅速に解決することが必要となるので、疎明でOK!というケースが法律で定められています。
仮差押えや仮処分などの保全手続きや破産手続きなどが、その例になります。
まとめ
以上、法律用語の疎明の意味について、解説してきました。
ここで、思いっきり簡潔にまとめると、
- 「疎明」は事実判定について、おおよそ確かだと納得する状態になること
- 「証明」は90%ほどの確信の状態であるのに対し、「疎明」は6割~8割ほどの確信で足りる
ということになります。