神棚にお供えものをするとき、どのように配置するか、ご存じでしょうか。
意外と知らないという方もいらっしゃると思います。
神棚のお供え物の配置と順番には一定の決まりがあります。
さすがに適当に置いてしまうと、神様に失礼ですよね。
しっかりと規則に従うことによって、神様のご加護を受けることができるというものです。
私の実家には結構立派な神棚があり、神道の専門家から直接教えてもらってお供えをしています。
この記事では、その経験から神棚のお供え物の配置方法をご紹介したいと思います。
神棚のお供え物の意味はどのようなもの?
神棚にお供えする食べ物や飲み物のことを「神饌(しんせん)」と言います。
まず、神棚にお供えする神饌にどのような意味があるのか、見ていきたいと思います。
それぞれ人間が生きていくうえで必要不可欠なものです。
お米
お米はニニギノミコトが人間界に天孫降臨するときに、天照大御神から授かったものと言われています。
ニニギという名前自体に「稲穂がにぎにぎしく育つ」「稲穂が豊かに実る」という意味があり、ニニギノミコトは元々は「稲穂の神様」であります。
稲穂が豊かに実るために、田植えをしてからお米ができるまで太陽の光を浴びていますよね。
いわば、お米は天照大御神のご加護があるようなもので、神聖な食物としての意味を持っています。
特に日本人にとっては古来から食の中心にありました。
そのため、お米は食べ物の尊さを象徴するものと考えられます。
そのお米を神様にお供えすることで、神様からいただいた食べ物に感謝するという意味があります。
お水
お水は人間が生きていくうえで必要不可欠なものです。
人間の身体の大部分は水でできており、成人男性の身体の約60%は水分でできていると言われています。
毎日水分を取らないと、人間は生きていくことはできませんよね。
人間だけでなくあらゆる生物に欠かせないものであり、生命の源ともいえるものです。
お水を神棚にお供えするのは、日々生きていることに感謝する意味があると考えられます。
お塩
お塩も人間が生きていくうえで欠かせないものです。
塩分を摂取しないと人間は病気になってしまいます。
もちろん、取りすぎはよくないものです。
けれども、必要最低限な量の塩分を摂取しないと身体のあちこちに異常をきたしてしまいます。
料理の味付けにもお塩はよく使われます。
調味料としては最も基本的なもので、料理に使われる様々な具材を調和させる働きがあります。
また、お塩には祓い清めの作用があるとされています。
これは、塩自体が腐るようなものではないことや、塩に殺菌作用や腐敗を防ぐ性質があることに由来するようです。
そのため、特に神道では古くから悪いものを祓い清めるためにお塩を使ってきました。
お塩をお供えする意味は、祓い清めの意味があるということです。
お酒
お酒は必ずしも人間が生きていくために必要なものではありませんよね。
ですが、日本では古来から祭事などでお酒が使われてきました。
そのときに神様に捧げるお酒のことを、「御神酒(おみき)」と言います。
では、なぜお酒が祭事などで使われるのかというと。
お酒は神様とのコミュニケーションの手段と考えられたからです。
お酒を飲んで酔うと気持ちが高揚し、普段とは異なる意識の状態になりますよね。
この変性した意識状態において、神様の領域に近づくことになり、神様と一体になると考えられたようです。
そのため、お酒はとても神聖な飲み物とされていました。
古くからお酒や酢、醤油を作る蔵元は各地の神社にお酒を納めていたという歴史があります。
このように、元々お酒は神様と深いつながりのある飲み物です。
お酒を神棚にお供えするのは、神様とのつながりを意識し、神様とコミュニケーションをとるという意味があると考えられます。
お米・お酒・お塩・お水を神棚にお供えするときの順番と配置方法
神棚のお供え物の配置方法について説明します。
基本的に神棚には三宝(さんぽう)あるいは折敷(おしき)を使って神饌をお供えします。
正月などにかがみ餅をそなえる台を見たことがあると思います。
三宝とはその台のことで、折敷とはその台の上の部分のお盆のことです。
まずは、お米とお酒とお塩とお水の4つをお供えするケースです。
- 神棚に向かって一番奥の中央にお米を置く
- 二列目の向かって右にお酒を1つ置く
- 二列目の向かって左にお酒をもう1つ置く
- 一番手前の三列目の向かって右にお塩を置く
- 一番手前の三列目の向かって左にお水を置く
図で示すと以下のようになります。
ただし、神棚の奥行が狭かったり、三宝を用いなかったりで、一列に並べるということもあるでしょう。
その場合は、
- 神棚に向かって中央寄りの右にお米を置く
- 神棚に向かって中央寄りの左にお酒を置く
- 神棚に向かって一番端の右側にお塩を置く
- 神棚に向かって一番端の左側にお水を置く
となります。
図で示すと以下のようになります。
一列に並べるときも、お酒を2つ用意してお米の左右に1つずつ置くという方法もあります。
お米・お塩・お水を神棚にお供えするときの順番と配置方法
次に、お米とお塩とお水の3つを神棚にお供えする場合について説明します。
神棚に奥行があり、三宝を用いる場合は、
- 神棚に向かって一番奥の中央にお米を置く
- 一番手前の二列目の向かって右にお塩を置く
- 一番手前の二列目の向かって左にお水を置く
図で示すと以下のようになります。
また、一列に並べる場合は、
- 神棚に向かって中央にお米を置く
- 神棚に向かって(お米の)右にお塩を置く
- 神棚に向かって(お米の)左にお水を置く
図で示すと以下のようになります。
お供え物を交換するときの目安はどのくらい?
神棚に神饌をお供えするとして、その交換頻度が気になると思います。
まず、お米とお塩とお水については、できれば毎日交換した方がよいです。
朝にお供えし、夕方から夜にかけてお供え物を下げるという形になります。
実際、私の実家では朝にお供えして夜に下げるという習慣を毎日続けています。
また、毎月の1日と15日に榊を交換するというのが一般的です。
このタイミングで、お酒も一緒に交換するケースが多いようです。
交換してお供えの終わった神饌は、そのまま人間がいただいてよいものです。
これを「お下がり(おさがり)」と言います。
お米は炊いて食べることができます。
お酒も飲んでよいものですし、料理酒として使うということもできます。
お塩とお水は捨ててもよいとされていますが、できれば自宅の玄関やお風呂、自宅付近の道路などを清めるために使うのが理想的です。
まとめ
以上、神棚のお供え物の配置方法を説明しました。
ただし、ここで述べている方法は一般的なものではありますが、神社や神道の宗派によって異なることがあります。
その点はご注意ください。
また、個人的な経験として、中途半端な気持ちで神棚を自宅に飾るのはよくないと考えています。
自宅に神棚を設置するなら、しっかりと専門家のアドバイスを受けて、毎日神様をお祀りするという気持ちが欠かせないでしょう。
そうしないと、神様のご加護を受けることはできず、逆にバチがあたってしまうということもありえると思います。
私の実家の両親が現在五体満足で暮らしていけてるのも、そういう心を持って神様をお祀りしているという面があると思います。
単純に神棚のお供え物の配置の仕方を覚えるだけでなく、神様をお祀りしているという心を込めて実践すべきですね。