今の時代、ほとんどの方がスマホを持っているものと思います。
スマホがあれば、簡単に身の回りの出来事を写真で撮ったり、動画で撮影したりできますよね。
それこそ何でも撮影できてしまう時代です。

では、例えばですが、道を歩いていて可愛らしい子供を見かけたとしましょう。
可愛いので、スマホでその子の写真を撮ってしまおうと…

いや、ちょっと待ってください!

その行為は、場合によっては不法行為となり、損害賠償を請求される事態にもなりかねないんです。

何気ない写真の撮影でも、とんでもない危険が潜んでいます。
とても怖い話です。

相手の許可なく撮影するのは違法?

動画にしろ写真にしろ、相手が撮影されていることに気付いてなければ、トラブルになることはないでしょう。
時が過ぎても、その事実がバレないかぎりは。

なのですが…

たとえその行為が公にならなくとも、相手の許可なく無断で撮影した場合は、法律上肖像権の侵害にあたります。

では、肖像権とは何なのでしょうか?

簡単に言えば、個人が私生活において、自分の容姿をみだりに撮影されたり、撮影された写真や動画を勝手に公表されない権利ということになります。
肖像権は法律で明確に規定されているものではありませんが、憲法13条によってプライバシーの権利として保護されていると考えられています。

撮影した写真や動画をSNSなどにアップしなければ問題ないだろうと考える人もいるかもしれません。
ですが、それは撮影された相手がその事実を知らないだけであって、許可なく撮影してしまうと、その行為自体がまず間違いなく法律的に肖像権の侵害になってしまいます。

損害賠償を請求されることもある!

では、肖像権の侵害となった場合、その後どういう結果が待ち受けているのでしょうか?

先述の通り、肖像権は法律で規定されているものではないので、侵害する行為を行ったからといって警察に逮捕されたり、刑罰を科されたりするということはありません。
その行為だけでは刑事上の犯罪にはならないということです。

ですが、注意しなければいけない重大な事実があります。

それは、民事上の不法行為の責任が発生する、ということです。

つまり、撮影された相手がそれに気づき、データの消去などを求められたら、それに応じないといけません。
相手が撮影されたものをSNSなどにアップされているのを知ったなら、差し止めの請求をされることがありえます。
さらに、もし相手が精神的な苦痛や不安を感じたり、撮影されたことによって損害を被った場合は、その相手側から損害賠償や慰謝料を請求されることもありえます。

実際、次のような裁判沙汰になったケースがあります。
最高裁の判例ではありませんが、東京地方裁判所で2005年9月27日に判決されたものです。

高級ブランドの衣服を着て銀座界隈を歩いていた女性が、とあるファッション系のホームページに全身の写真を掲載されます。
掲載した側には何の悪意もなかったものの、女性の衣服の胸部に「SEX」というデザインが施さていたため、某掲示板サイトで誹謗中傷のコメントが書き込まれてしまいました。

そのことを友人から知らされた女性は、ホームページの運営者に写真の削除を要請します。
要請にしたがって写真は削除されたものの、その後も女性に対する誹謗中傷は止まりませんでした。

そこで、女性は精神的苦痛を被ったとしてホームページ運営側に損害賠償を請求。
裁判所は肖像権を侵害するものとして、この請求を認めました。



この判例のように、たとえ悪意がなかったとしても、肖像権の侵害として民事上の責任を問われることがあります。
特に現在、あるいはこれからも、SNSなどで簡単に動画や写真が拡散されるようになっているので、肖像権の侵害とそれに伴う損害賠償の請求が起こりうる事態が多くなるのは容易に想像できますね。

少し考えると分かることですが、とても怖いと思いませんか?

写真を撮るときは相手の許可を得ないといけません

他人の許可なくその人の写真や動画を撮ると肖像権の侵害となり、損害賠償を請求されてしまうことまでありうるという話ですが。
どんな状況においても肖像権の侵害となるというわけではなく、ケースバイケースで判断されるようです。
慰謝料の請求も認められるかどうかは、撮影されたことによって被った損害の程度によるでしょう。

また、もちろん撮影したことがこの先ずっとバレなければ、何のおとがめもないでしょう。
けれども、許可なしに他人を撮ったという行為そのものが不法行為になる可能性が高く、バレなければいいやという問題ではありません。
情報が広まりやすい今のご時世だと、ひょんなことからバレてしまうということもよくあることですし。
撮影したことが相手に知られると、盗撮と騒がれたり、プライバシーの侵害と追及されたりしても仕方のないことなんです。

なので、他人の写真や動画を撮るときは、必ず相手の許可を得るようにするべきです。
その相手が幼稚園児や小学生といった小さい子供の場合は、その親御さんに許可をもらうようにしましょう。
もし、親御さんからの許可が得られないようであれば、キッパリとあきらめましょう。

また、撮影の許可をもらったとしても、SNSなどで投稿する場合は、また別途許可が必要になります。
無断でSNSなどにアップしてしまうと、これまた肖像権の侵害となり、損害賠償の請求の対象となる場合があります。

それに、そもそもの話ですが、他人を撮影するときに許可を得るのは法律的にどうこうというより、マナーの問題でしょう。
スマホなどで気軽に身の回りの出来事を撮れるようになった時代においては、なおさらそういう配慮が必要だと思います。

自分の写真を撮られたり、自分の子供を撮影されたりしても意に介さない人もいるでしょうが、逆に不快に思ったり、嫌な気分になる人もいます。
管理人も小さな子供がいますが、自分の知らぬ間に写真に撮られたりすると、ちょっと恐怖をおぼえてしまいます。

というわけなので、他人を無断で撮影して問題を起こさないよう、十分すぎるくらい注意したいところです。