冬の星座としておなじみのオリオン座。
ほとんど誰もが見たことがあると思います。
でも、
「そもそオリオンって何者なの?」
「オリオンって何をした人なの?」
「なぜオリオン座ができたの?」
と、オリオンについてほとんど知らない方も多いと思います。
オリオンはギリシア神話に登場する人物ですが、その物語はとても奇妙なものだったりします。
この記事では、誰もが見たことはあるけど、その神話についてはあまり知られていないであろうオリオンについて説明したいと思います。
オリオンはどんな人物?
まず、オリオンがどんな人物だったのかについて説明します。
オリオンは、海神・ポセイドンとクレータ島の王ミノスの娘であるエウリュアレーとの間に生まれたと語られています。
ポセイドンの息子なので、血筋はよいと言えます。
一方で、大地の母ガイアから生まれた巨人族のティターンであるという説もあります。
オリオンの容姿は、とても大きな体格をしており、類まれな美しさを兼ね備えていました。
身体が大きいため、海の上を自由に歩くことができるとされています。
これも父親のポセイドンから授かった性質というわけです。
性格は日ごろから自由奔放で、荒々しく猛々しいところがあったようです。
身体が大きいということもあり、力もかなり強かったと語られています。
オリオンはどうやって生活していたのかというと、一言でいえば、狩人をしていたということになります。
その腕前は素晴らしいもので、世界一の狩人と言われるほどでした。
両目をつぶされてしまうオリオン
オリオンはある日、鹿を狩りにキオス島という島に立ち寄ります。
キオス島はオイノピオーンという王が統治しており、王にはメロペーという娘がいました。
オリオンはメロペーに一目惚れし、得意の狩りで島中の全ての野獣を退治して、その獲物をメロペーに贈り求婚しました。
ところが、王であるオイノピオーンはオリオンが気に入らず、何かにつけて結婚の承諾をはぐらかします。
いらだったオリオンは、とうとう力ずくでメロペーを自分のものにしようとします。
これに対してオイノピオーンは怒り、オリオンを始末しようと考えます。
ですが、相手は巨人で力が強く、普通に戦っても勝ち目がありません。
そこで、一計を案じたオイノピオーンは、オリオンを酒で酔わせ、その隙にオリオンの両目をつぶして海岸に放り出してしまいました。
いやはや、何ともおぞましい話ですね…(汗)
さて、目が見えなくなったオリオンですが、レームノス島にあるヘーパイストスの鍛冶場を目指すことになります。
キュクロープス(一つ目の巨人)の金槌の音を頼りに、何とか目的地にたどり着きます。
ヘーパイストスはオリオンを不憫に思い、ケーダリオーンという名前の弟子を彼に遣わし、太陽の館に行くようにはからいました。
オリオンはケーダリオーンを自分の肩に乗せ、東の方へ歩いていきます。
そうして、遂には太陽の神に出会い、その光で目を治すことができました。
オリオンの最期と星座になった経緯
その後、オリオンは狩猟の女神であるアルテミスと運命的な出会いをし、お互い恋に落ちて恋仲になります。
二人はクレタ島に移り住み、狩りをしながら仲むつまじく暮らしていました。
そんな様子から、二人は結婚するのではないかという噂が広まりました。
この噂を聞いたアルテミスの双子の兄であるアポロンは快く思わず、何度も彼女を叱りましたが、アルテミスは聞く耳を持ちません。
そこで、アポロンはオリオンを亡き者にしようと一計を案じます。
ある日、アポロンはオリオンの元にサソリを放ちます。
オリオンはこれに驚いて、海に逃げていきました。
海に逃げたオリオンは、頭だけ水の上に出しながら海を渡っていきました。
それを見計らったアポロンはアルテミスを呼び、
「いくらお前が弓の名手でも、あの海に浮かんでいる黒いものを射当てることはできまい」
と挑発します。
これに対して、アルテミスは射当てるのはたやすいことと、矢を放ちます。
矢は見事に命中します。
ですが、もうお分かりの通り、オリオンとは知らずに、彼を射抜いてしまったということです。
嘆き悲しんだアルテミスは、医師のアスクレピオスにオリオンを生き返らせるように頼みますが、冥府の王であるハーデスがそれを許しませんでした。
そこで、アルテミスは父であり最高神であるゼウスに、せめてオリオンを立派な姿で空にかかげてほしいと懇願します。
ゼウスはこの願いを受け入れ、オリオンを光り輝く星座にしたということです。
以上がオリオンが星座になった経緯ですが、実はオリオンの最期についてはこれ以外にもいくつか異なる話があります。
- オリオンが地上の野獣を全て射止めてみせる!と大言をはいたので、怒った大地女神がサソリを遣わして刺し殺した
- アルテミス自身に乱暴をはたらこうとしたので、彼女に殺された
- オリオンが暁の女神のエーオースに恋したので、嫉妬したアルテミスが射殺した
- 極北人の国から来た乙女に乱暴をはたらこうとしたので、女神に殺された
などなど。
オリオンの最期についての記述は統一されていませんが、いずれにしても残酷なお話ですね(^^;
また、オリオン座は冬の間に光り輝いて見える星座ですが、夏近くにさそり座が東の空から上ってくると、オリオン座は西の地平線へと沈んでいきます。
まるで、オリオンがサソリを恐れて逃げているように見えますが、これはオリオンの死のきっかけがサソリだったからとされています。