インドの天地創造神話はいくつもあるので、その全てを紹介するのはさすがにしんどいです…
というわけで、今回も1つだけ代表的なものをを紹介します。
巨人プルシャから世界ができたという創造神話がありましたが、
(詳しくはこちらをご覧ください→「インドの巨人解体神話」)
ここでも最初にプルシャが出てきます。
内容は以下の通りです。
世界の一切はプルシャのみでした。
彼は完全に孤独で、あたりを見回しても自分以外のものを見つけることができませんでした。
彼は最初に「ここに私がいる」と言いました。
そのため、彼は「私」という名前になりました。
こういうわけで、今日でも、たずねられた人は「私は~」と最初に述べて他の名前を告げることになりました。
彼はとても長い間自分自身と話をしていましたが、そのうち恐ろしくなりました。
そのため、人間は独りでいると恐ろしくなるというわけです。
しかし、彼は唯一の存在で他に誰もいないのだから、恐れる必要はないと自分を慰めることによって恐怖がおさまりました。
他方、彼は楽しくありませんでした。
なので、何人も独りでいると楽しくないのです。
そのうち、彼は別のものを欲しました。
そこで、彼は自分を二等分し、一方を男に他方を女にして夫と妻ができました。
彼は彼女を抱き、そこから人類が誕生しました。
その後、二人は牛、馬、ろば、山羊、羊のほかアリにいたるまで全てのものを創造しました。
さて、この創造神話にはいくつかバリエーションがあります。
プルシャが世界の創造主ということになりますが、プルシャがアートマンであると説明されたり、ブラフマー神の一表現、ヴィシュヌ神の一表現と考えられることもあります。