ウロボロスの概略
ウロボロスは、ギリシア神話に登場する龍のことです。
しばしば、円形になって自分の尾っぽを自分の口でくわえている姿で描かれます。
ただし、ウロボロスの起源はギリシアではなく、アジアあるいはエジプトにあると一般的に考えられています。
実際に、古代のギリシアだけでなく世界各地でウロボロスの類型が見出されます。
また、具体的にギリシア神話でウロボロスに関する物語があるわけではなく、概念上の存在としてあるのみです。
では、ウロボロスが何を象徴しているのか?と言うと。
尾をくわえて円形になっている姿から、「終わりのないもの」「無限」「永遠」「再生」「不老不死」といった意味があるとされてきました。
例えば、天地創造神話で、世界の創造が完全無欠で一つであることを示すために用いられたりしています。
その他、有名どころでは、錬金術のモチーフですね。
錬金術で、永遠の時間を表すためにウロボロスの図が描かれています。
あと、個人的に面白いと思ったのは、古代から中世にかけての世界地図です。
大航海時代より以前は、地球は丸いとは考えられていませんでしたよね。
西の果ても東の果ても海があり、そこから先はどうなっているか分かっていませんでした。
そこで、世界地図の左右の一番端っこにウロボロスの絵を描いているものがあったりするんです。
これが意味するのは、おそらくは無限の海が続いているというような感じだと思います。
加えて、その先がとうなっているのかよく分からないので、恐怖の対象という意味合いもあったようです。
昔の人類は、よく分からないものや永遠に続くもの、恐怖の対象となったものなどにウロボロスをその象徴として使っていたということです。