ローマ教皇を選出する会議のことを「コンクラーベ」と言います。
また、日本語には「紺比べ・根競べ(こんくらべ)」という言葉があり、発音がよく似ています。
そのため、一部では、コンクラーベは根気のいる会議であるのが語源という説があるようです。
ところが、この説は間違いで、実は両者に全く関係がありません。
この記事では、コンクラーベと根比べの意味とそれぞれの語源について詳しく説明し、両者が関係のないことを明らかにしていきます。
コンクラーベとは?
コンクラーベとは、ローマ・カトリック教会の教皇を選出するために行われる非公開の会議のことです。
ラテン語の「cum clavis(鍵がかけられた)」から来ており、枢機卿たちが外部の干渉から完全に隔離された状態で教皇選挙を行うことを指します。
歴史的には、1268年にクレメンス4世が亡くなった後、教皇選挙が紛糾して2年以上も空位が続いたことがあり、この問題を解決するために枢機卿たちを閉じ込める形で選挙を行ったのが始まりです。
このときの選挙では、1271年から1276年まで在位したグレゴリウス10世が選出され、コンクラーベという用語も初めて使われたと言われています。
そして、コンクラーベは、1904年12月25日にピウス10世によって発布された憲章により、その手順が成文化されました。
これにより、教皇選出のプロセスが公式に規定され、より透明性と一貫性が確保されることとなります。
教皇を選出する権限を持つ枢機卿は80歳未満でなければならず、枢機卿の数は最大120人に制限されています。
これらの規定は、選挙の公正さを保ちつつ、効率的に新しい教皇が選ばれることを目指しています。
根比べ(根競べ)とは?
「根比べ」または「根競べ」と漢字で表記されますが、読み方は「こんくらべ」ですね。
「根」とは仏教で感覚や思考を引き起こす能力を指す言葉で、もともとは仏教語から来ています。
日本語では、この語が転じて忍耐力や気力、根気といった意味を持つようになりました。
人々がお互いの精神的な耐久力や根気を比較する際に使われ、「根比べ」や「根競べ」として表現されます。
特に個人の忍耐力や精神力が試される状況で用いられる言葉です。
また、「根を詰める」という表現もあり、こちらは精力や根気を集中させることを意味しますが、同じく仏語の「根」に由来します。
コンクラーベと根比べは関係ありません!
以上の説明から、「コンクラーベ」と「根比べ(根競べ」は何の関係もないということがお分かりいただけるかと思います。
コンクラーベはラテン語の「cum clavis(鍵がかけられた)」に由来し、ローマ・カトリック教会の教皇を選出するための非公開の会議を指します。
一方、「根比べ」や「根競べ」は仏教語の「根」から来ており、忍耐力や根気を比較する意味で使われます。
このように、両者は語源も意味も全く異なるというわけです。
確かに発音すると、とても似ているので、関係があるように思えますが、それぞれ異なる文化的背景を持つ独立した用語です。
発音が似ているのはただの偶然ということです。
まとめ
コンクラーベと根比べは発音がよく似ているので、両者は何らかの関係があると思われがちです。
特にコンクラーベが「根気のいる会議」という説は、とてもユニークではあります。
ですが、両者は発音が似ているだけで、意味も語源も異なります。
なので、それぞれの言葉が持つ独自の文脈を理解することが大切になりますね。