「青葉の候」という言葉は、初夏の季節を表す際に挨拶文でよく使われます。

ただ、具体的にどの時期を指すのかについては、あまり知られていないため、実際に使う際には少し戸惑うかもしれません。

そこで、この記事では、「青葉の候」がどのような時期を示すのか、その意味について詳しく解説し、さらに時候のあいさつとしてどのように用いるかについても、例文を交えて紹介しています。

青葉の候の意味は?

まず、「青葉の候」とは、「あおばのこう」と読みます。

意味としては、木々の葉が生い茂り、緑深い季節を迎えたことを示しています。

簡単に「青葉の季節が到来しました」と言っても問題ありません。

一般的に、暦の上での夏の初めを迎えることを知らせる挨拶として用いられます。

青葉の候の適切な時期は?

「青葉の候」を使う適切な時期は、5月から6月にかけてです。
特に夏の初めを象徴する季節の言葉として適しています。

夏という季節は、暦では立夏の日、すなわち5月5日頃から始まるとされています。
そのため、この時期から「青葉の候」を用いるのが適切になります。

「青葉」は、生い茂る緑の葉を思い起こさせ、清涼感あふれるイメージを持つ言葉です。

ただし、夏が深まり蒸し暑くなる時期に使うと、季節感が合わなくなってしまう可能性があります。

なので、季節感を重んじるなら、遅くとも6月末までの使用が推奨されます。

また、「青葉」と同じく初夏を象徴する言葉に「若葉」「新緑」がありますが、これらは時期や意味合いに微妙な違いがあります。

「若葉」は、春の終わりから初夏にかけて、木々が新しく芽吹き始める時期を指します。

木々がまだ若く、柔らかい緑の葉を展開し始める様子を捉えており、一年で最も生命力に満ちた時を表現しています。

通常、4月から5月にかけての期間に適しています。

「新緑」は、春から初夏にかけての時期、特に5月中旬から6月初旬にかけての景色を指し、木々が鮮やかな緑色に覆われる様子を表します。

この時期は、自然が最も活力に満ち、緑が豊かになる時であり、「青葉」と重なる部分がありますが、「新緑」はより広範囲の緑の成長を指す言葉として用いられます。

青葉の候の使い方をご紹介

「青葉の候」は、時候の挨拶の中でも特に礼儀正しい言い回しになります。

以下によく使われる文例を紹介いたします。

  1. 拝啓 「青葉の候」、貴社におかれましては、ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます
  2. 拝啓 「青葉の候」、貴社におかれましては、ますますご清栄のことと大慶至極に存じます
  3. 拝啓 「青葉の候」、貴社におかれましては、一段とご多忙のことと拝察申し上げます
  4. 拝啓 「青葉の候」、○○様におかれましては、一段とご清祥のことと存じ上げます。
  5. 拝啓 「青葉の候」、○○様ご一家におかれましては、ますますご壮健のこととお喜び申し上げます。
  6. 拝啓 「青葉の候」、皆様におかれましては、いよいよご活躍のこととお慶び申し上げます。

1~3は会社への文書の例、4~6は目上の人やプライベートで使う例となります。

以上の例文では、文書の始まりに使われる「拝啓」から始めたため、終わりは「敬具」で締めるのが適切です。

例えば

  • 青葉繁れる好季節、貴社のさらなるご繁栄を心から願っております。敬具
  • 初夏の涼やかな風が心地よいこの季節、穏やかな日々をお過ごしください。敬具
  • 季節の変わり目でございますので、くれぐれもお身体にはご留意ください。敬具

などなど。

これらは相手への思いやりを込めた結びの言葉として一般的に用いられます。

一方で、親しい関係の相手には、「拝啓」と「敬具」を省略し、直接時候の挨拶から入ることで、より親密で堅苦しくない印象の文章にすることもあります。

親しい間柄では、より親しみやすさを感じられるようにするのも一つの方法ということです。

まとめ

「青葉の候」という表現は、新緑が眩しい初夏の訪れを告げる時期を指します。

ただし、この言葉を使用する際には季節感を考慮する必要があります。

特に気温が上昇し始め、蒸し暑くなる時期に使うと、繊細な季節感が失われてしまいます。

そのため、挨拶文などで用いる場合、6月末をリミットと考え、それ以降は夏の深まりを表す言葉を選ぶのが望ましいです。

初夏の爽やかな風情を損なわないように、「青葉の候」を適切に活用できるようにしたいですね。