大勢の人数が集まって何かをする様子を、「寄(よ)ってたかって」と表現することがあります。

ただし、場面によって微妙にニュアンスが違ってくることがあるので、使うときは注意が必要になります。

この記事では、「寄ってたかって」の意味と使い方、類義語や英語表現まで詳しく紹介しています。

寄ってたかっての意味は?

「寄ってたかって」という表現は、「多くの人が集まって」や「多くの人が一つのことに取りかかる」様子を意味します。

ここでの「たかって」は、「集まって」という意味であり、多くの人が一か所に寄り集まる様子を示します。

基本的に、ポジティブな状況にもネガティブな状況にも用いられます。

ただし、「寄ってたかって攻める」とか「寄ってたかっていじめる」などの否定的な文脈で使用されることが多いです。

そもそも「たかる」という動詞は、「集まる」以外にも、力の弱い人から金品を奪う、あるいは何かをせがんで得るといった意味合いで使われることがあります。

例えば、「不良グループからたかられた」というような表現ですね。

このような背景から、「寄ってたかって」という言葉は否定的なイメージを持ちやすくなっています。

そのため、誤解を避け、よりポジティブな印象を与えたいときは、別の言葉を選ぶのが無難なことが多いです。

寄ってたかっての使い方をご紹介

「寄ってたかって」の使い方として、5つの例文を紹介します。

  1. 新しいクラスメイトは、休み時間になると他の生徒たちに寄ってたかってからかわれていた。
  2. 社内会議で、一つのミスを指摘された後、同僚たちが寄ってたかって批判の声を上げた。
  3. 相手に直接謝罪したにも関わらず、関係のない人たちが寄ってたかって文句を言ってくるのは、さすがにおかしいだろう。
  4. 最近は些細なコメント一つでも、言葉の端々を取り上げられ、ネット上で寄ってたかって叩かれることが増えた。
  5. 初戦でいきなり前回の優勝チームと当たり、私たちが寄ってたかっても勝てそうにない状況となった。
  6. 子猫が道に迷っているのを見つけたとき、近所の子どもたちが寄ってたかって世話をし始めた。

1~4はネガティブな例、5と6は特別な意味合いはなく、単に「大勢で」という意味での例となります。

寄ってたかっての類義語をご紹介

「寄ってたかって」の類義語は、「大勢で」という意味の言葉になりますが、数が多いことを利用するという否定形なニュアンスだと

  • 数に任せて
  • 数の力で
  • 人海戦術で
  • 衆を頼んで

などの表現が考えられます。

ネガティブな意味ではなく、普通に「大勢で」と言いたいときは

  • みんなで
  • 一緒に
  • 集団で
  • 総出で
  • 総がかりで
  • 寄り集まって

といった表現があげられます。

寄ってたかっての対義語をご紹介

「寄ってたかって」の対義語は、少ない人数でという意味の言葉になります。

  • 少数で
  • まばら
  • ちらほら

などの表現があげられるでしょう。

また、「自分自身で」とか「一人の力で」というような表現も、反対の意味に近くなりますね。

例えば

  • 自力で
  • 独力で
  • 自前で
  • 孤立無援
  • 孤軍奮闘

といった表現が考えられます。

寄ってたかっての英語表現をご紹介

「寄ってたかって」の英語表現として、まずネガティブな文脈ではgang up onという表現を使うことができます。

複数の人が少数の対象に対して共同で攻撃的な行動を取る様子を指します。

例文をあげると

After his minor error, the group on social media ganged up on him, relentlessly criticizing his actions.

(些細なミスの後、ソーシャルメディアの一団が彼に寄ってたかって、彼の行動を執拗に批判した。)

となります。

また、一般的な「大勢で」というニュアンスでは、gather aroundcome togetherなどの表現があげられます。

どちらも「集まる」という意味です。

例えば

At the party, everyone gathered around the musician as he began to play.

(パーティーで、音楽家が演奏を始めると、みんなが寄ってたかって彼の周りに集まった。)

というような形で使われます。

まとめ

「寄ってたかって」は、多数の人が一つの目的のために集まる様子を表す表現ですが、ネガティブな文脈でよく使用されます。

特に、集団による批判や攻撃の意味合いで使われることが多いため、文脈に応じた適切な使用が求められます。

一般的な「大勢で」という意味で使いたい場合は、「みんなで」や「一緒に」といった表現を選ぶと良いでしょう。

言葉の選択によって微妙にニュアンスが違ってくるので、誤解を招かないようにしたいですね。