「お目(め)こぼし」という表現があります。
時代劇などでよく使われる言葉です。
一見すると分かりにくい表現かもしれませんが、語源を知ると、その意味が理解しやすくなります。
この記事では、「お目こぼし」の意味と使い方、類義語や英語表現まで詳しく紹介しています。
お目こぼしの意味は?
「お目こぼし」とは、本来注意や罰を受けるべき行為を意図的に見過ごすことを指します。
行為が悪いものであることを認識しつつも、特定の理由からその行為を許す場合に用いられます。
例えば、規則違反を犯したが、特別な事情があるために罰を与えないといった状況です。
また、「お目こぼし」の「お」は、敬意を表すために付けられることがあり、より丁寧な表現となります。
相手に対する配慮や、ある状況下での寛容さを示す際に使われることが多いです。
お目こぼしの語源は?
「お目こぼし」は、「目から溢す(めからこぼす)」という意味の「目溢し」という言葉が語源となっています。
文字通りに解釈すると、目からこぼれるような状態を指します。
目からこぼれるということは、目に入らないということですよね。
そこから比喩的に、あえて見ないようにする、つまり意図的に見逃すという意味になりました。
この「目からこぼれる」という語源を知ると、意味が分かりやすくなりますね。
お目こぼしの使い方をご紹介
「お目こぼし」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 部長は、レポートの提出期限を守れなかった新入社員が熱心に働いているのを見て、今回だけはお目こぼしした。
- 彼女は遅刻をしてしまったが、先生は普段の行いを考慮してお目こぼしの処置を取った。
- 勤務時間の厳守は基本だが、緊急の家庭の事情で早退する場合、理解ある上司ならお目こぼししてくれることもある。
- 初めての過ちだったため、裁判官に情状酌量のお目こぼしを願い出たが、残念ながら受け入れられなかった。
- 急遽企画されたこのセッションのため、準備に至らない点があるかもしれません。手順についてスムーズに進まない場合がございますが、その際は何卒お目こぼしいただけますと幸いです。
お目こぼしの類義語をご紹介
「お目こぼし」の類義語は、見逃すという意味の名詞の言葉が当てはまります。
- 見て見ぬふり
- 見ないふり
- 知らぬ顔
- 不問
- 看過(かんか)
- 黙認
などの表現があげられます。
お目こぼしの対義語をご紹介
「お目こぼし」の直接的な対義語をあげるのは難しいですが、問題が大きくて見逃すことができないというニュアンスで、「問題視」が反対の意味に近いです。
特定の行動や状況を問題として取り上げ、注目や批判の対象にすることを意味します。
「お目こぼし」が何かを見逃すことを示すのに対し、「問題視」はその行為や状況を明確に指摘し、改善や対処を求める態度を取ります。
お目こぼしの英語表現をご紹介
「お目こぼし」の英語表現としては“leniency”や“indulgence”があげられます。
どちらも、寛大(な処置)という意味で
(状況を考慮して、先生は生徒の遅れた提出に対してお目こぼしをした。)
というような形で使うことができます。
また、動詞で“overlook”や“turn a blind eye”と表現することもでき
(上司は従業員が犯した小さなミスをお目こぼしすることにした。)
ということもできます。
まとめ
「お目こぼし」とは、本来注意すべき事項を意図的に見逃す行為を指します。
語源を知ることで、その意味がより分かりやすくなりますね。
簡単に「見逃す」や「見過ごす」と言うこともできますが、特に深い事情があるときなどに強調する意味合いが濃くなります。
普段の生活で頻繁に使われる表現というわけではないですが、特定の場面で用いることで、そのニュアンスをうまく伝えることができるでしょう。