「折り紙(おりがみ)をつける」という慣用句があります。
強く保証することを意味する言葉ですが、それを強調するのに「折り紙」という表現を用いるのは興味深いですね。
なぜこの用語が選ばれたのか、その背景が気になります。
この記事では、「折り紙をつける」の意味と語源、使い方から類義語や英語表現なども詳しく紹介しています。
折り紙をつけるの意味は?
「折り紙をつける」という表現は、人物や物事の価値が信頼できると保証することを意味します。
簡単に、「確かである」とか「明らかである」といった言葉で表されますが、それだけでは伝わりにくい価値の高さを、より説得力ある形で保証する際に用いられます。
単に「優れている」と言う以上に、その信頼性や価値の高さを強調し、強い確信を伝えることができます。
これを一歩進めて、「折り紙付き」という言い回しもあります。
こちらもよく使われる表現ですが、人物や物が既に認められた品質や実力を持っていることを示しています。
折り紙をつけるの語源は?
「折り紙をつける」の意味は上記のとおりですが、保証するのに、なぜ折り紙なのだろう?と疑問に思うかもしれません。
実は、ここでの「折り紙」は、一般的に知られている趣味や芸術としての折り紙とは異なる意味合いを持っています。
というのも、「折り紙をつける」という表現の背景には、古くから続く日本の伝統が関係しているんです。
具体的には、文書を半分に折ったものを指し、平安時代末期から使われ始めた公文書や贈物のリストに用いられたことに由来します。
江戸時代には、この折り紙が美術品や刀剣などの品質を保証する鑑定書として用いられるようになりました。
これらの文書は、物の真偽や価値を証明するために折って保管されていたようです。
そこから、人や物の優れた価値や信頼性を保証する表現として「折り紙をつける」という言葉が生まれたというわけです。
折り紙をつけるの例文をご紹介
折り紙をつけるの例文を以下に5つ紹介します。
- 古美術商から買った掛け軸には、専門家が時代物であることを証明する折り紙をつけてもらった。
- 彼の料理の腕前は地域でも評判で、食材の選定から調理法に至るまで、プロが折り紙をつけるほどだ。
- ガーデニングの腕前に関しては、近所で彼女の技術に折り紙をつける人は多い。彼女の庭はいつ見ても美しい。
- あの新しいカフェのコーヒーは、有名なバリスタが折り紙をつけるほどの味わいだと聞いたので、一度行ってみたい。
- そのスマートフォンアプリの使い勝手には、多くのテクノロジー評論家が折り紙をつけている。利用者の満足度も非常に高い。
折り紙をつけるの類義語をご紹介
「折り紙をつける」の類義語として、以下の2つを紹介します。
太鼓判を押す(たいこばんをおす)
大きな印章(太鼓判)を押すという意味からきています。
古くから、太鼓判は重要な契約書や文書に捺印する際に用いられ、その事柄や品物が非常に価値があること、または承認や同意を強く示す際に用いられました。
現代では、何かを強く推奨し、その価値を保証する意味で使われます。
お墨付きを与える(おすみつきをあたえる)
これもまた、何かを強く推薦し、その確実性や信用性を公に認める際に用いられる表現です。
お墨付きとは、権力者が墨で書いた印や記号のことです。
室町時代から江戸時代にかけて、武士が主君から特定の権利や地位を授かる際に、その確認として用いられた文書に、特定の記号や署名の代わりに墨書きされた花押が起源とされています。
領地や重要な地位の信頼性や正当性を公に証明する行為に関連して用いられました。
現代においては、何らかの事柄や人物の信頼性や認可を示す場面で用いられ、主に信頼性や承認の保証に焦点を当てた用法で活用されています。
折り紙をつけるの対義語をご紹介
「折り紙をつける」の直接的な対義語をあげるのは難しいですが、「信用できない」や「疑いがある」というような意味の言葉が考えられます。
- 信頼を裏切る
- 信用を失墜させる
- 評価を下げる
- 不信を買う
- 疑問を呈する
- 疑問を投げかける
- 異議を唱える
- 烙印(らくいん)を押す
といった表現が対義語に近いでしょう。
折り紙をつけるの英語表現をご紹介
折り紙をつけるの英語表現としては、“guarantee” “vouch for”などがあげられます。
人や物の価値、品質、または信頼性を保証するときに使われます。
例文を紹介すると
(徹底的な評価の後、この品物が本物であり、最高品質であることに折り紙をつけます)
(彼女とはいくつかのプロジェクトで共に働いた経験があり、彼女の卓越したスキルと信頼性には折り紙をつけれる)
となります。
まとめ
「折り紙をつける」は、人や物の価値を強く保証するという意味を持ちます。
「折り紙付き」という言葉もよく使われるので、セットで覚えておくと便利ですね。
ただ、折り紙とはいっても、私たちが想像する普通の折り紙とは異なる背景があります。
この表現の由来を知ることで、より適切な使い方ができるようになるでしょう。