「毛頭ない」という慣用句があります。
強い否定を意味する言葉ですが、あらゆるものが対象となるわけではないので、注意する必要があります。
この記事では、「毛頭ない」の意味と使い方、類義語や対義語を詳しく紹介しています。
毛頭ないの意味は?
「毛頭ない」は「もうとうない」と読みます。
全くない、少しもないという意味で、否定を強調する表現です。
主に、人の感情や意志、確信などに関する事柄で用いられます。
注意したいのは、物理的な存在や状態を否定する場合には使われないということです。
例えば
というのは適切で、彼には悪意という感情や意志がなかったという意味です。
ですが
と表現するのは誤りです。
この場合の椅子のように、物理的な事象には「毛頭ない」を使うのは不適切ということです。
このような文脈では「全くない」や「一つもない」などの表現が適しています。
毛頭ないの語源は?
「毛頭」は文字通りには、頭髪の一番細い部分、つまり毛の先端を指します。
「ない」は、そのまま存在しないという意味です。
毛頭のような微小なものさえ存在しないということから、全くないという意味になります。
髪の毛の一番細かい部分でも、さらに薄くなっている部分がないということなので、否定する意味合いがかなり強調されているのが分かりますね。
また、毛頭が髪の毛の先っぽを意味するので、「毛頭ない」が頭髪が完全にない状態、いわゆる禿げ(ハゲ)を意味すると誤解されることがありますが、実際には「全くない」または「少しもない」という状況を指す言葉です。
いかにもハゲのことを指す言葉のように思えますが、間違いなので注意しましょう。
毛頭ないの例文をご紹介
毛頭ないの例文を以下に5つ紹介します。
先述のとおり、人に特定の感情や意志がないことを強調する表現で、物理的な事柄には使わない点に注意する必要があります。
- 彼女が提案したプロジェクト計画についての説明を聞いたが、その実現性やチームへの影響を考えると、共感できる部分は毛頭なかった。
- 学校のテストで1位を取った僕は、この先もトップの座を譲る気は毛頭ない。
- 昇進のチャンスを逃したが、現状に甘んじるつもりは毛頭ない。これを機にさらにスキルアップを図り、機会を逃さないようにしよう。
- 友人から「来週のパーティーに来るのかな?」と尋ねられたが、最近喧嘩したばかりで、そのパーティーに行く気は毛頭ない。
- チームが敗れても、諦めるつもりは毛頭ない。次の試合では、より一層の努力とチームワークで勝利を目指す。
毛頭ないの類義語をご紹介
「毛頭ない」の類義語としては、全くない、全然ないという意味の言葉が当てはまります。
- 毛ほどもない
- 更々(さらさら)ない
- これっぽっちもない
- 万に一つもない
- 微塵(みじん)もない
などの表現があげられます。
絶対にない!というような、かなり強い否定のニュアンスを強調する言葉です。
毛頭ないの対義語をご紹介
「毛頭ない」の対義語としては、何かが存在することを強調する表現があげられます。
そのような意味を持つ特別な慣用句というものはありませんが
- 必ずある
- 確実にある
- 間違いなくある
- 完全にある
というような言い回しが考えられます。
まとめ
「毛頭ない」とは、全くない、少しもないという意味の強い否定表現です。
文字通りには、髪の毛の先端のようなとても細かい部分さえも存在しないことを強調しますが、ハゲていることを意味する表現ではありません。
また、感情や意志に関連する事柄に対して用いられ、物理的な存在や状態を否定する際には使用しない点が重要です。
強い否定の力を効果的に伝えることができますが、適切な文脈で使用するよう注意が必要ですね。