「先んずれば人を制す」ということわざがあります。

簡単に言うと、早く行動した者が他人より優位に立てるという意味です。

故事成語ですが、スポーツやビジネスシーンでも使われる表現です。

この記事では、「先んずれば人を制す」の意味と由来、例文や類義語なども詳しく紹介しています。

先んずれば人を制すの意味は?

「先んずれば人を制す」は「さきんずればひとをせいす」と読みます。

物事において他の人よりも先に行動や準備をすることで、優位に立ち競争相手を制御または打ち負かすことができるという意味です。

特に、先手を打つことの重要性を強調しています。

先んずれば人を制すの由来は?

「先んずれば人を制す」は、中国の有名な歴史書「史記」に由来します。

その中の「項羽本紀」に次のようなエピソードが収められています。

秦の始皇帝の死後、江西の住民が反乱を起こしました。

反乱に際し、会稽郡を統治していた殷通が、項梁に対して都に対する攻撃を提案し、積極的に行動するよう伝えます。

このときに、殷通は

先んずれば即ち人を制し、後るれば則ち人の制せらるる所と為る

と語りました。

日本語に訳すと、自らが積極的に先手を打つことで指揮を執る立場に立てるが、逆に遅れをとれば他人の指示に従う立場になるという意味になります。

これを短縮したものが、「先んずれば人を制す」です。

「制する」という言葉には、「支配する」「制覇する」といった意味があり、これは漢字の意味からも直感的に理解できますね。

現在も、スポーツやビジネスの世界で広く用いられる表現です。

先んずれば人を制すの例文をご紹介

「先んずれば人を制す」の使い方として、例文を5つ紹介します。

  • 新商品の市場投入で競合に差をつけるためには、先んずれば人を制す戦略が鍵となる。
  • 先んずれば人を制すというように、彼は毎朝早起きして勉強に取り組み、試験でトップの成績を収めた。
  • プロジェクトで成功を収めるには、先んずれば人を制すの精神で、他チームより一歩先を行くアイデアを常に考え出すことが重要になる。
  • 先んずれば人を制すを戦略にして、試合開始早々に積極的なオフェンスで先制点を狙い、相手チームを圧倒することで勝利を手に入れた。
  • デジタル変革の波に乗り遅れないためには、先んずれば人を制す姿勢で、新技術を積極的に取り入れることが企業の生き残りに不可欠だ。

先んずれば人を制すの類義語をご紹介

「先んずれば人を制す」とよく似た意味を持つ表現を以下に3つ紹介します。

機先を制する(きせんをせいする)

相手より先に行動を起こして有利な立場を確保することを意味します。

事態の展開を予測し、先手を打って対処することで、結果的に優位に立つ戦術を指します。

先手必勝(せんてひっしょう)

文字通り「先手を打つ者が勝つ」という意味のことわざで、先に行動することの重要性や有効性を強調しています。

計画や競争において、先に手を打つことで成功を手にすることができるという教訓を含んでいます。

早い者勝ち(はやいものがち)

先に行動または手を打つ者が望む結果や報酬を得ることができるという意味です。

リソースが限られている状況や、機会が限定的である場合に特に用いられ、迅速な行動が報われる状況を示しています。

先んずれば人を制すの対義語をご紹介

「先んずれば人を制す」と反対の意味を持つ表現も以下に2つ紹介します。

急いては事を仕損じる(せいてはことをしそんじる)

焦って物事を進めると失敗することがあるという意味を持ちます。

急ぎ過ぎると、かえって目的の達成が遅れたり、品質が落ちたりすることを警告しています。

計画的かつ慎重な行動の重要性を強調しています。

急がば回れ(いそがばまわれ)

目的を達成するためには、時には遠回りをすることが最短の道となる場合があるという教訓を含んでいます。

直接的な方法よりも少し時間がかかるかもしれないが、結局はより効率的で、問題を避けることができるという意味です。

急ぐことのリスクを避け、より確実な方法を選ぶべきという考えを示しています。

まとめ

「先んずれば人を制す」は、積極的に先手を打つことで競争相手を制するという意味を持ちます。

ただし、実際の状況によっては、速やかな行動が適切な場合と、慎重な行動が求められる場面があります。

大切なのは、その見極めを正確に行うことでしょう。

このバランスを理解し、適切な判断を下すようにしたいですね。