「拍車をかける」という慣用句があります。
物事の進行をさらに速めることを意味します。
日常生活の様々な場合で使うことができる表現です。
この記事では、「拍車をかける」の意味と由来、例文から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
拍車をかけるの意味は?
「拍車をかける」は「はくしゃをかける」と読みます。
何かの進行や発展を促し、その速度や強度を増すことを意味します。
元々は馬に拍車を使って速度を上げさせることから来ており、転じて物事を加速させる、助長するという意味になりました。
良い意味でも、悪い意味でも用いられ、様々な場面で使うことができます。
また、「拍車がかかる」「拍車を加える」ということもあります。
拍車をかけるの由来は?
「拍車」とは、馬術において使用される装備の一つです。
乗り手のかかとに取り付けられた、歯車状の金属製の部品であり、馬の側腹に軽く触れさせることで馬を促し、その走行速度を増減させる役割を持ちます。
特に拍車を強く用いることで、馬はより速く走り始めることが可能です。
競馬などで、ゴール前によく騎手が鞭を使いますが、この行為と似ています。
これが転じて、「拍車をかける」という表現は、何かを加速させたり、勢いを増すための行動を指す比喩として用いられるようになりました。
また、単に速度を上げることだけでなく、あるプロセスや活動の勢いを強化する際にも広く使われる言葉となっています。
拍車をかけるの使い方をご紹介
「拍車をかける」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- プロジェクトの締め切りが迫っているため、チーム全員が作業に拍車をかけることにした。
- 彼女は自分のスキルアップに拍車をかけるため、オンライン講座に申し込んだ。
- 彼がとても興奮していたので、落ち着かせようと試みたが、逆に怒りに拍車をかけてしまった。
- 最近の成功が彼の自信に拍車をかけ、より大胆な目標を設定するようになった。
- 政府の新しい政策が経済活動に拍車をかけ、市場は活性化の兆しを見せ始めている。
拍車をかけるの類義語をご紹介
「拍車をかける」に似た意味を持つ言葉として、次の3つの表現を紹介します
火に油を注ぐ(ひにあぶらをそそぐ)
既に起こっている問題や状況に対して、さらに問題を悪化させるような行動を取ることを意味します。
文字通り火に油を注ぐと炎はより激しくなるように、何かが既に進行中の状況をさらに加速させる状態を指します。
特に悪い意味で使われる表現です。
追い風に乗る(おいかぜにのる)
状況や条件が自分にとって有利に働き、物事がスムーズに進むことを表します。
文字通り、背後から吹く風が船を助けて進行方向に進むように、何かが順調に進むための追加の助けや支援を受ける状況を指します。
こちらは良い意味で用いられるのが一般的です。
龍の水を得る如し(りゅうのみずをえるごとし)
最適な環境や条件を得て、本来の力を存分に発揮することを意味します。
中国の伝説において、龍は水を得ると最も力を発揮する生き物とされています。
そこから、人や物が自分の能力や特性を最大限に活かせる状況になったことを示します。
こちらも良い意味で用いられます
拍車をかけるの対義語をご紹介
「拍車をかける」と反対の意味を持つ表現も、以下に2つ紹介します。
水を差す(みずをさす)
何かが順調に進んでいるときに、その進行を妨げたり、勢いを弱めたりする行為を意味します。
文字通り、燃えている火に水をかけて消すように、物事の進展や熱意に対して否定的な影響を与えることを指します。
特に進行中のプロジェクトや計画に対して、外部からの批判や障害が生じた場合に使われます。
冷や水を浴びせる(ひやみずをあびせる)
人の熱意や期待に対して、急に否定的な意見や現実を提示し、その情熱や意欲を急速に冷ます行為を指します。
文字通り、暑い中で冷たい水を浴びせられると体が急激に冷えるように、人の情熱や活動の勢いを瞬時に弱めることを表します。
特に人が何かに対して楽観的である時や、大きな期待を持っている時に使われることが多いです。
まとめ
拍車をかけるは、物事の進行や発展を促し、その速度や強度を増す行為を意味します。
良い意味でも悪い意味でも用いられ、日常生活の様々な場面で使うことができる表現です。
使い勝手がよく、便利な言葉でもあるので、ぜひ使いこなしてくださればと思います。