地球一周はどれくらいの距離なのか、ご存じでしょうか。
現代ではその距離をかなり正確に算出できますが、この成果の背後には、長い歴史を通じて人類が積み重ねてきた知識と努力があります。
この記事では、地球一周の距離とその計算に至るまでの歴史を解説しています。
さらに、具体的にイメージしやすいように、様々な乗り物を利用した場合の所要時間についても詳しく紹介しています。
地球一周は何キロ?
結論から言うと、地球一周の距離は約4万キロメートルです。
ただし、地球は完全に丸い形をしているわけではなく、わずかに楕円の形をしています。
そのため、地球一周の距離には二種類あります。
一つは赤道を基準にした距離で、もう一つは地球の極を結んだ距離です。
具体的な数値は
- 赤道周りの長さ:約40,075キロメートル
- 地球の南北を結ぶ長さ:約40,009キロメートル
となります。
地球は赤道部分がわずかに膨らんでおり、北極と南極を結ぶ距離はそれよりも少し短くなります。
地球の自転と太陽の周りの公転による遠心力により、このような形になりました。
最新の衛星測定技術により、上記の数値はかなり正確に求められているようです。
そして、赤道周りと極周りの距離の違いは1%未満であり、通常、地球一周の距離は約「4万キロメートル」と簡単に記憶されています。
なので、基本的に、地球一周の距離は約4万キロメートルと覚えておくと便利です。
また、よく話題に上がるテーマが、光の速さです。
光は1秒間に約30万キロメートルを進みます。
つまり、光は1秒間に地球を約7.5周するということになります。
地球一周を初めて計算したのは誰?
地球の周囲の長さを初めて計算した人物は、古代ギリシャの学者であり、エジプトの図書館長でもあったエラトステネスです。
彼が算出した計算結果は約46,000kmで、実際の数値より約15%大きいというところです。
エラトステネスは地球が球形であることを前提に、夏至の日にシエネ(現在のアスワン)で太陽が真上に来る現象と、アレクサンドリアで同時に観測した棒の影から地球の周囲の長さを計算しました。
彼の計算方法は、925km離れた二点間の太陽の角度差が7.2度であることから、地球一周を46,000kmと導き出しました。
この計算は、当時の技術で可能だった単純な観測に基づいており、現代においてもその創造性と精度で高く評価されています。
エラトステネスはこの成果により、現在では「測地学の父」と呼ばれているそうです。
しかも、エラトステネスが活躍したのは、紀元前200年ごろです。
日本では弥生時代に相当します。
コロンブスがアメリカ大陸を発見した時代には、地球の周囲が29,000km程度と考えられていました。
さらに、この時代でも、まだ地球は丸くて地続きになっているという考えは一般的ではありませんでした。
エラトステネスはそれよりずっと昔の時代に、地球は丸いと考え、それに基づいて一周の距離を測ったわけです。
このような時代背景を考えると、エラトステネスがとんでもない偉才ということが分かりますね。
地球一周の距離とメートル法の意外な関係は?
今まで述べてきたとおり、地球一周の長さは約4万キロメートルです。
この4万キロメートルという数値は、実は18世紀末に確立されたメートル法に由来します。
この時、1メートルは「赤道から北極までの距離の1千万分の1」として定められました。
つまり、赤道から北極までが約1万キロメートルなので、地球を一周する距離はその4倍、約4万キロメートルと計算できるわけです。
このメートルという単位が生まれたのは、フランスを含む世界各地で異なる長さの単位が使われていたという背景がありました。
地域ごとに様々な単位があったので、当時不便だったのはよく分かりますね。
そこで、フランス革命時に、新たな長さの単位として「メートル」が制定されました。
メートル法は、フランス革命の合理主義の象徴とも言えます。
ところが、このメートルという単位に対して反対の意見も多く、すぐには定着しなかったようです。
しかし、フランスだけでなく他の国々も様々な単位の違いに頭を悩ませていたため、国際的に統一された長さの単位を作ることが求められます。
そして、1889年にはメートル原器と呼ばれる基準が作られました。
この基準はパリに保管されており、各国はそのコピーを持っています。
ただし、1950年代に原器が微妙に変化していることが判明し、メートルの定義を見直す必要が出てきました。
その結果、クリプトンの光の波長を基準にした新しいメートルの定義が1960年に採用され、日本では翌年にこの新しい定義が正式に導入されました。
この新しい定義は、以前の基準とできるだけ合致するように細かく設定されたものとなります。
以上のようにメートルが制定されたわけですが、私たちが日常的に使っているメートルという単位に、このような背景があるとはとても興味深いですね。
地球一周するのにどれくらいかかる?
地球一周の距離が約4万キロメートルと聞いても、その実際の長さをイメージするのは難しいかもしれません。
そこで、実際に歩いたり、乗り物を利用したりする場合に、どれくらいの時間がかかるのかを具体的に紹介します。
歩いた場合
ひたすら歩いた場合は、結果として約417日かかります。
この時間は、距離を速度で割ることで求められます。
具体的には、平均的な歩行速度を時速4kmと仮定した場合、40,000kmを4km/hで割ると、必要な時間は10,000時間になります。
この10,000時間を24時間で割ると、約416.67日、つまり約417日が計算されます。
ただし、この計算は一切休まずに24時間連続で歩き続けるという非現実的な前提に基づいています。
当然ですが、こんなに休むことなく歩き続けることができる人はいないでしょう。
では、もう少し現実的な数値を考えてみます。
健康維持のために推奨される1日の歩行時間は約2時間とされています。
この推奨時間を基に、時速4kmで歩く場合の計算をしてみましょう。
1日に歩く距離は、時速4kmで2時間歩いた場合、以下のようになります。
地球一周の距離が約40,000kmであることを考慮すると、この距離を歩き終えるのに必要な日数は以下のように計算できます。
したがって、時速4kmで1日2時間歩くと仮定した場合、地球一周を歩き終えるのに約5,000日、つまり約13.7年が必要になります。
もちろん、こちらも理論上の計算です。
実際には連続して毎日同じ時間を歩くことは難しいので、参考値としてご理解ください。
船の場合
一般的な客船の平均速度を時速30kmと仮定します。
この場合、地球一周するのにかかる日数は、約55日~56日になります。
まず、必要な時間を計算すると
この時間を日数に換算すると
したがって、時速30kmで客船が休まずに航行する場合、理論上、地球一周を完了するのに約55.6日が必要になります。
実際に、世界一周クルーズには1ヶ月~2ケ月のコースがあり、人気があるようです。
一方、太平洋や大西洋をしっかりと周航する本格的な世界一周クルーズの場合は、100日ほどかかるようです。
自転車の場合
自動車で地球一周をすると、結果としては約28日かかることになります。
まず、自動車の平均速度を時速60kmと仮定します。
そして、必要な時間を計算します。
この時間を日数に換算すると、
したがって、時速60kmで休まずに自動車を運転する場合、理論上、地球一周を完了するのに約28日が必要になります。
こちらも運転に必要な休憩や給油、食事、睡眠などの時間を考慮していないため、実際にはもっと長い時間がかかることになります。
新幹線の場合
新幹線で地球一周した場合は、約5日~6日かかることになります。
まず、新幹線の平均速度を時速300kmと仮定します。
そして、必要な時間を計算すると、
この時間を日数に換算すると、
133.33時間÷24時間/日≒5.56日
したがって、時速300kmで新幹線が休まずに走行する場合、理論上、地球一周を完了するのに約5.5日が必要になります。
飛行機の場合
飛行機で地球一周をした場合、44時間~45時間かかることになります。
ここでは、商用ジェット機の平均巡航速度を時速900kmと仮定します。
必要な時間を計算すると
となります。
また、この時間を日数に換算すると
したがって、時速900kmで飛行機が休まずに飛行する場合、理論上、地球一周を完了するのに約44~45時間。
日数に換算すると、約1.85日、つまり約2日弱が必要になります。
光の場合
参考までに、光の速度で地球一周の距離、約40,000キロメートルを移動する場合の計算をしてみましょう。
光の速度は約299,792キロメートル/秒とされています。
必要な時間を計算すると
したがって、光の速度で移動する場合、地球一周を完了するのに約0.134秒が必要になります。
また、この0.1337秒を7.5倍すると、約1.00275秒になります。
光が1秒で、地球を約7周半するのが分かりますね。
まとめ
地球一周の距離は、約4万キロメートルです。
これが大きなポイントで、覚えておくと便利だと思います。
なかなか想像しにくい距離ですが、1日2時間歩けば、14年くらいかかるという計算になります。
最近は、クルーザーでの地球一周の旅が注目を集めています。
技術の進歩に伴い、これから地球一周の旅がもっと身近な体験になる可能性がありますね。