地球の最北端と最南端には、北極と南極があります。

北極も南極も地球の一部なので、どこかの国の領土と考えるのは自然なことでしょう。

では、この2つの地域はどの国に属するのでしょか。

この記事では、遠く離れた北極と南極の領有権にまつわる意外な事実をお伝えします。

北極はどの国に属する?

結論から言うと、実は北極は特定の国の領土には属していません。

というのも、北極というのは、地球が自転するときの中心軸、すなわち地軸が貫通している北端の地点を指しているだけだからです。

その地点にあるとされる氷の広がりが、一般に「北極」と呼ばれています。

しかし、実際には北極点には氷の島は存在せず、インターネットで検索すると出てくる氷の島のような画像は、実際には「氷の塊」に過ぎません。

地図上で見ると、北極には大陸は存在しないことが確認できます。

そして、北極は特定の国の領土ではなく、北極海に位置しています。

北極海はユーラシア大陸、グリーンランド、北アメリカ大陸に囲まれた海域を指し、北極はこの海域に含まれます。

もし北極海がどこかの国の領海であれば、理論上は北極もその国の領土となり得ます。

ところが、実際には北極はどの国からも200海里以上離れています。

国連海洋法条約(UNCLOS)によると、海は国の低潮線から12海里までを「領海」、12~24海里を「接続領域」、24~200海里を「排他的経済水域(EEZ)」と定め、200海里を超える部分は「公海」とされています。

公海はどの国にも属さず、すべての国が自由に利用できる海域です。

結果として、どの国からも200海里以上離れた北極を含む北極海は、どの国にも属さない公海となります。

ただし、北極を除く北極海の一部は、特定の国の領海となっている場合があります。

また、2008年には、デンマークのイルリサットで、北極海に面するカナダ、デンマーク(グリーンランドを含む)、ノルウェー、ロシア、アメリカ合衆国の5カ国が集まり、「イルリサット宣言」を発表しました。

この宣言では、北極地域の平和と安定を維持するため、既存の国際法、特に国連海洋法条約の枠組み内で問題を解決することが確認されました。

宣言により、5カ国は北極海の資源開発や環境保護に関して、協力し合うことを約束し、北極地域の管理と保護に関する責任を共有することに合意しています。

現在、日本もこのイルリサット宣言を支持しています。

南極はどの国に属する?

南極も結論から言うと、実はどの国の領土にも該当しません。

南極は、地球の南端に位置する南極点を中心とした地域および海域を含み、世界で5番目に大きな陸地である南極大陸を持っています。

そして、この南極大陸のことを一般に南極と呼びます。

南極大陸には領土を形成する陸地が存在するため、理論上は特定の国の領有が可能な状況にあります。

ですが、南極大陸は国際的に合意された特別な取り決めである「南極条約」によって管理されています。

この条約の存在により、南極大陸はいかなる国もその土地を領有することが禁止されています。

南極条約は、1959年に締結され、南極地域の平和的利用を目的としています。

条約の主な規定には、南極地域の軍事利用禁止、科学研究の自由と国際協力の促進、領土主張の禁止、核実験や放射性廃棄物の投棄禁止などがあります。

これにより、南極は科学的研究のための国際協力の場として保護され、平和的な目的に限定されて利用されているということです。

まとめ

北極と南極がどの国にも属さないのは、ちょっと驚きですね。

北極は広い氷の海で、国際法によって自由に使える公海とされています。

南極は、南極条約により、科学研究のために国々が協力して守る特別な場所になっています。

このような事実を知ることで、私たちの地球についてさらに理解が深まりますね。