「キソウテンガイ」という植物をご存知でしょうか。
見間違いではなく、本当に「奇想天外」という名前なんです。
しかも、この植物の寿命は、何と1000年以上と言われています。
なぜ、こんなに長生きするのかについては、キソウテンガイの特徴にあります。
この記事では、キソウテンガイの長寿の秘密について詳しく説明しています。
また、この植物の特徴と、奇想天外という名前が付けられた理由についても解説していきます。
キソウテンガイとはどんな植物?
「キソウテンガイ」の元々の和名は「サバクオモト」で、中国のオモト植物に似ていることが名前の由来です。
ところが、日本では、その驚異的な特性から、「キソウテンガイ(奇想天外)」というユニークな名前で呼ばれるようになりました。
この名前は、正式な学名の「Welwitschia mirabilis」に含まれる「驚くべき」という意味のラテン語を訳したもので、1936年に命名されました。
「キソウテンガイ」は、世界三大珍植物の一つとされています。
生息地は、アフリカのアンゴラとナミビアに位置するナミブ砂漠のみとなっています。
裸子植物に分類されますが、一生でわずか2枚の葉だけを持つという特徴を持っています。
葉は中央で分かれているため、一見すると2枚以上に見えますが、実際には2枚だけです。
また、キソウテンガイの葉は最大で2メートルに達します。
一方で、葉の根元が成長し続けても、先端は枯れていくため、2mを超える長さになることはないそうです。
キソウテンガイはなぜ1000年以上も生きられる?
さて、この奇想天外という植物が、なぜ1000年以上生き続けるかというと、その秘密は、地下10メートルにまで達する大根状の根から水分を確保する能力にあります。
さらに、葉の気孔から湿気を吸収することもできます。
砂漠地帯といえども、地下10mにもなると、適度な水分が存在することが分かっています。
したがって、キソウテンガイは地下深くの水気を吸い上げることによって、生存することができるというわけです。
地上では2メートルの葉をつけ、地下では10メートルの根をはるという、とても巨大な植物になります。
全体を想像すると、ちょっと怖い気もしますが、奇想天外なこの特徴が、乾燥した砂漠で生き延びるための重要な能力になっているということですね。
また、キソウテンガイは非常に成長速度が遅い植物です。
種が発芽し、成長して種をつけるまでには約25年の時間が必要です。
その葉は年間わずか数ミリメートルのペースでしか伸びません。
この遅い成長速度も、キソウテンガイの長寿の要因の一つと考えられます。
ところが、この耐久性の高い植物も絶滅の危機に瀕しているそうです。
特に若い個体がほとんど見つからないため、その存続が心配されています。
このため、世界中の植物園でキソウテンガイの栽培が行われ、種の保全が図られています。
自然環境下で生育するキソウテンガイは、観光客による影響を防ぐため、石で囲まれて保護されていることもあるようです。
キソウテンガイは日本でも観れる?
前述した通り、キソウテンガイの絶滅を防ぐため、世界各地で栽培されています。
そして、実は日本でも観賞することができます。
日本でキソウテンガイを見ることができる植物園や博物館には、以下のような施設があります。
咲くやこの花館(大阪市鶴見区)
屋内植物園で、日本最大の温室と言われています。
ここで栽培されている奇想天外は、日本最大の雄花が咲いており、一般公開されている植物園のなかでは、ドイツのベルリン植物園に次いで大きな株だそうです。
筑波実験植物園(茨城県つくば市)
筑波実験植物園は、多様な植物が展示されており、キソウテンガイもその一つです。
小石川植物園(東京都文京区)
東京大学に属するこの植物園は、都心にありながら多種多様な植物を見ることができ、キソウテンガイも展示されています。
福岡市植物園(福岡県中央区)
福岡市植物園も、様々な植物の展示や自然教育の場として知られています。
四季折々の花々や珍しい植物が楽しめる施設です。
これらの施設では、キソウテンガイをはじめとする珍しい植物を見ることができるため、興味のある方には特に魅力的です。
ただし、展示内容は時期によって変わることがあるので、訪問前に最新情報をチェックすることをおススメします。
まとめ
1000年以上も生きること、またそのための生存戦略の特徴から「奇想天外(キソウテンガイ)」という名前が付けられたようです。
言葉遊びのようにも思えますが、奇想天外という名前によって、その特異な性質が強調されているものと思います。
やはり、1000年以上という長寿を誇り、通常の植物では育たない砂漠という場所で生きのびるするわけですしね。
また、キソウテンガイは日本の植物園などでも観賞することができます。
機会があれば、ぜひ訪れたいものですね。