アホウドリという鳥の名前を聞いたことはあると思います。
ここでの「アホウ」とは、一般的に「愚かである」という意味の「阿保(アホウ)」を連想してしまいますね。
では、実際にはどういう意味なのでしょうか。
実は、アホウドリはその名前のイメージとは異なり、とても優れた飛行能力を持っている鳥なんです。
この記事では、アホウドリの名前の由来とその特徴を詳しく説明しています。
なぜアホウドリという名前なの?
まず「アホウドリ」の「アホウ」とは、そのまま「阿呆」、すなわち「アホ」という意味です。
アホはもちろん、「愚かである」という否定的な意味で、アホウドリは文字通り「阿保(アホウ)な鳥」ということになります。
では、なぜこのような名前が付けられたのかというと?
アホウドリは動きが遅くて、人間が近づいても逃げずに簡単に捕まえることができたためと言われています。
そんな単純な理由で、アホウな鳥という名前になってしまったということです。
ただし、実際にアホな鳥かというと、そういうわけではないようです。
アホウドリは地上では不器用に歩き、飛び立つ際には長い助走が必要なため、一度地面に降りた後は簡単には空へ戻れません。
また、アホウドリが繁殖する孤島では、もともと人間や肉食動物といった天敵が存在しなかったため、アホウドリは人間を脅威とは認識していないようです。
人間が巣の近くに寄ってきても、卵を守る行動に出るのみで、積極的に逃げたり攻撃したりすることはありません。
そのため、地上では簡単に捕らえられるということです。
このように、アホウドリが「アホ」と名付けられた背景には、単純にその不器用さや、人間に対する恐怖心のないことが影響しています。
実際には、長年にわたり適応してきた環境と生態の結果であって、たまたま、そういう事情があっただけのことなんです。
それを考えると、アホウドリにとっては何とも気の毒な話ですね。
アホウドリはどんな鳥?
続いて、アホウドリとはどんな鳥なのか、詳しく見ていきましょう。
アホウドリは、大きな翼を持つ海鳥で、日本の海鳥の中では最大級のサイズを誇ります。
身体的な特徴は
- 体長は約1メートル
- 体重は約3~5kg
- 翼を開くと、その長さは約2メートル
となり、特に長い翼は、大人の男性よりも大きい場合があります。
地上ではその真価を発揮しないですが、真の力は、広い空を自由に飛び回ることを見るとよく分かります。
飛行において、アホウドリはその長大な翼を使って海上の風を捉え、ほとんど羽ばたかずに長時間飛び続ける能力を持っています。
この飛び方はダイナミックソアリングと呼ばれ、海面近くの低速の風と高度が上がるにつれて速くなる風の差を利用しています。
アホウドリは、高速の上空の風に乗って距離を稼ぎつつ、海面に近づくにつれてゆっくりと下降し、海面近くで方向を変えて再び上昇する、という一連の動作を繰り返します。
これにより、アホウドリはエネルギーをほとんど使うことなく、広大な海を渡って移動することができるのです。
この卓越した飛行技術により、アホウドリは産卵や育児のため地上にいる時を除き、その生涯の大部分を海上で飛び回ります。
とりわけワタリアホウドリなどは、わずか10日から20日で約1万から2万キロメートルもの長距離を移動することができ、これは東京から福岡までの距離を1日で移動できるほどの驚異的な飛行能力を意味します。
このように、実はアホウドリは体格も大きく、飛行能力にも優れた鳥なんです。
また、アホウドリはその繁殖行動も特徴的です。
パートナーを見つけると、その相手と生涯を共にすることが多いのです。
長い間離ればなれになっても、繁殖期が来ると再び巡り会い、愛のダンスを繰り広げます。
このダンスは、相手との深い絆と忠誠心を示し、長く続くパートナーシップの基となります。
そんなアホウドリですが、生息地は太平洋の広い範囲分布し、特に日本周辺では伊豆諸島や小笠原諸島、さらには尖閣諸島周辺で見られます。
しかし、これらの生息地は、海洋汚染や過剰な漁業活動、さらには気候変動による海洋環境の変化など、多くの脅威に晒されています。
そのため、アホウドリの食料資源の減少や生息地の破壊を引き起こし、彼らの生存に影響を与えています。
現在、アホウドリは絶滅危惧種に指定されており、その生息数の保護と回復に向けた取り組みが進められているようです。
ゴルフのアルバトロスはアホウドリが由来?
日本ではアホウドリという気の毒な名前を付けられていますが、英語圏では「Albatross(アルバトロス)」と呼ばれています。
ええ、もうおわかりでしょう。
「アルバトロス」はゴルフの用語として使われていますね。
ゴルフにおける「アルバトロス」とは、ホールの基準打数よりも3打少ないスコアでカップインすることを指します。
これはホールインワンよりも難しいことでよく知られています。
達成率は約100万から200万分の1とも言われています。
ゴルフのスコアには他にも
- 「バーディー(鳥)」:規定打数より1打少ないスコア
- 「イーグル(鷹)」:規定打数より2打少ないスコア
がありますね。
とすると、「アホウドリ=アルバトロス」は、鷹よりもスゴイ!と考えられます。
アルバトロスを達成するには、長距離にわたる正確なショットが必要です。
その難易度から、広大な距離を飛ぶアホウドリの卓越した飛行能力が由来になっているようです。
まとめ
アホウドリは確かに「阿保」を意味する名前を持ちますが、これは単なる偶然から来ているようなものです。
実際には驚異的な飛行能力を誇る鳥で、英名のアルバトロスはゴルフではホールインワンより難しいスコアとして知られています。
ですが、現在は絶滅危惧種に指定され、その保護が急務となっているようです。
このような背景を知ると、アホウドリがこれからも空を舞い続けられるよう願う気持ちが強くなりますね。