シロアリの寿命はどれくらいかご存知でしょうか。

シロアリも昆虫なので、長くても数年くらいと考えるのが普通だと思います。

ですが、これは半分正解で、半分間違いです。

確かに、働きアリの寿命はあまり長くはありません。

ところが、女王アリや王アリは、とんでもなく長い寿命を誇る生き物なんです。

この記事では、シロアリはどれだけ長く生きるのか、また、女王アリや働きアリの寿命の違いについて詳しく説明しています。

シロアリの寿命は?

結論から言うと、シロアリは50年生きることがあります。

シロアリの寿命は種類や役割によって異なりますが、特に長生きするのが、ヤマトシロアリの王です。

その寿命が50年以上に及ぶことがあるということです。

女王アリも25年以上生きることがあり、自分のクローンを作る能力を持っています。

一方、兵隊アリは約10年、働きアリは約5年の寿命を持ちます。

京都大学の実験室では、シロアリが20年間飼育された記録があり、自然環境ではさらに長生きすると考えられています。

このため、シロアリの被害に遭った場合、彼らが20年以上にわたって家を食い続ける可能性があります。

しかも、最近の研究では、ヤマトシロアリの女王アリはクローンを生み出す能力により、遺伝的に不死であるとも言われています。

また、王アリの寿命が100年に達する可能性も指摘されています。

一般的に昆虫の寿命は平均して約2ヶ月程度と短いとされていますが、シロアリはその例外になります。

シロアリが50年生きるとすると、昆虫の平均寿命の約300倍になります😅

とんでもなく長生きというのが分かりますね。

シロアリが長生きなのはなぜ?

シロアリの王アリや女王アリが長寿である理由は、彼らの生息環境と食生活に隠されています。

彼らは地下深く、木の根の中心部の硬い部分に住んでおり、その場所へ近づくほど兵隊アリによる警備が強化されます。

これにより、王アリの居場所は容易に特定されるようになっています。

王アリの住む場所は低酸素状態に保たれており、これが長寿に役立っています。

というのは、酸素濃度が低い環境では、老化を促進する活性酸素の生成が抑えられるためです。

シロアリは酸素をあまり使わない代謝機能を持っており、王アリや女王アリはほとんど運動せず、エネルギーを節約しながら長期間生存することができるんです。

また、シロアリの王は、他のシロアリとは異なり、木を直接食べることができません。

その代わり、働きアリが生産する特別な食物によって生きています。

この食物は、研究者たちによって「ロイヤルフード」と名付けられており、働きアリが唾液腺で生成し、吐き出して作るものです。

ロイヤルフードは、働きアリから王に直接口移しで与えられます。

このロイヤルフードは白色で、栄養価が非常に高く、シロアリの王はこれを食べ続けることで50年もの長寿を保つことができるというわけです。

ちなみに、ハチの女王はローヤルゼリーを食べても寿命が約5年程度になります。
これを考えると、ロイヤルフードの栄養価の高さが分かりますね。

現在、ロイヤルフードの成分については日本の大学で積極的に研究されており、未知の成分が含まれている可能性や、美容や滋養強壮に効果がある成分が含まれていることが示唆されています。

これらの成分に関する詳細な研究が進められた結果、世界で初めてシロアリのロイヤルフードの成分が明らかにされ、国際学術誌に掲載されることとなります。

2023年の7月のことで、日本が世界に誇る大きな発見となりました。

働きアリは長生きしない?

シロアリの社会では、女王アリや王アリが長い寿命を持つのに対し、働きアリの寿命は比較的短く、一般的な昆虫と同じく数ヶ月から数年程度です。

もちろん、働きアリの寿命が短く、女王アリが長寿なのは、アリの世界全般に共通することです。
また、ミツバチなど一部のハチ類にも同じような現象が見られます。

ただ、シロアリの場合、王アリや女王アリと、働きアリの寿命の差がとても大きいというのが特徴です。

これまでの考え方では、女王アリが長生きするのは栄養豊富な食事を摂っているからとされていましたが、働きアリが短命なのは他の要因も影響していることが明らかになっています。

最近の研究で、働きアリの遺伝子の活動が年齢と共に変わることが分かりました。

特に老齢の働きアリでは、トランスポゾンと呼ばれる遺伝子要素が多く見られます。

トランスポゾンは細胞の老化を促進する作用を持ち、その数が多くなると、人間も遺伝子が本来の機能を発揮できず、疾患の原因になることがあります。

したがって、働きアリは栄養不足だけでなく、年齢によって細胞を保護する機能が低下している可能性があるということです。

女王アリや王アリ、兵アリではこのトランスポゾンの増加を抑える機能が維持されていますが、働きアリではこの機能が失われているため、寿命が短くなると考えられます。

さらに、働きアリは年を取るにつれて身体的な消耗が進むことも確認されています。

早い話が、激しい労働によって、身をすり減らしているということです。

これは、自然界が、効率が落ちる老齢の働きアリを早期に淘汰することで、シロアリ社会の効率を高めている可能性があると考えられています。

何とも悲しい話で、自然界の厳しいルールを痛感させられますね。

個々の生物が持つ役割が全体のバランスを保つために重要であり、それが時には厳しい現実をもたらすものです。

まとめ

シロアリの寿命は他の昆虫に比べて、とても長いことが分かります。

ただ、全てのシロアリが長寿というわけではなく、王アリや女王アリに限られます。

特に働きアリの寿命は短いもので、シロアリ社会全体のために犠牲になっていると考えられます。

全体のバランスを保つために、個々のアリの役割が決まっていると言えそうですが、そこには自然界での厳しいルールが存在します。

また、女王アリが自分のクローンを作る能力を持っているというのも興味深い話です。

これから、シロアリの実態についてさらに詳しいことが明らかになるのが期待されますね。