「千載一遇」という四字熟語があります。
「千載一遇のチャンス」という形でよく使われ、めったに出会えない貴重な機会を表す言葉です。
この記事では、「千載一遇」の意味と由来、例文を用いて使い方も詳しく説明しています。
千載一遇の意味は?
「千載一遇」は「せんざいいちぐう」と読みます。
とても珍しい、あるいは貴重な機会を意味する四字熟語です。
直訳すると「千年に一度の出会い」となります。
一生に一度かもしれない大切な機会や、逃してはならない貴重な瞬間を指すときに使われます。
千載一遇の由来は?
「千載一遇」は、東晋時代の著名な歴史家で文学者でもある袁宏によって記された「三国名臣序賛」に由来します。
「三国名臣序賛」は「三国志」に基づく作品で、魏、呉、蜀の三国時代の20人の著名な政治家や軍人を取り上げ、彼らの業績を讃えた内容となっています。
「三国名臣序賛」は、中国南北朝時代の南朝梁の昭明太子蕭統が著した「文選(もんぜん)」という詩集に収録されています。
ちょっとややこしいですが、「文選」は、春秋戦国時代から南朝梁に至るまでの131人の文学者による800以上の賦、詩、散文が含まれており、37の異なるカテゴリーに分けられています。
そして、「文選」の中に、袁宏によって記された「三国名臣序賛」が含まれており、三国時代の重要人物たちの業績を記録したものということです。
さて、「三国名臣序賛」には、「千載一遇、賢智之嘉会」という言葉が登場します。
これを現代語に訳すと、「千年に一度の出会いは、賢者と知識人の喜ばしい集いである」という意味になります。
詳しく解説すると、「載」は「年」と同じ意味を持ち、「千載」は千年を意味し、「遇」は偶然の出会いを指します。
したがって、「千載一遇」とは、千年に一度の貴重な機会を指す成語として理解されます。
この言葉は、三国志の時代の強国・魏の指導者である曹操と、彼を支え、成功へと導いた軍師・荀彧の関係を表しています。
三国志に詳しい方はよくご存じだと思います。
特に荀彧は、曹操が魏を建国するまでに大いに活躍した人物です。
多くの才能ある人物が、適切なリーダーに出会えずにその能力を発揮できないまま人生を終えることがありますが、曹操と荀彧は運命的な出会いを果たし、偉大な業績を達成しました。
ここから、千載一遇という言葉が生まれたというわけです。
千載一遇の使い方は?
続いて、「千載一遇」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 彼女は新作映画のヒロイン役のオーディションに合格し、千載一遇のチャンスを得た。彼女のキャリアは飛躍的に成長することになるだろう。
- 世界的に有名な指揮者に弟子入りできたのは、千載一遇の幸運だった。彼から学ぶことは計り知れない。
- 古書店でたまたま見つけた希少な初版の本は、千載一遇の発見だった。そんな本に出会えるとは思ってもみなかった。
- 彼女は急な病に倒れ、海外での研究プログラムへの参加という千載一遇のチャンスを逃してしまった。
- 彼はスタートアップ企業の投資家との偶然の出会いを千載一遇の好機と捉え、その後の成功への道を切り開いた。
千載一遇の類義語は?
「千載一遇」のよく似た意味を持つ表現として、以下の3つを紹介します。
盲亀の浮木(もうきのふぼく)
目の見えない亀が海中で偶然に浮木に出会うことを意味し、非常に稀な出来事や奇跡的な幸運を表します。
極めて低い確率で起こる幸運な出来事を指すときに使われます。
水母の骨にあう(くらげのほねにあう)
骨格を持たない水母が骨を持つという非常に珍しい、または不可能な出来事を指します。
ほとんど起こり得ないような稀な機会や出来事を指す際に用いられる言葉です。
曇華一現(どんげいちげん)
「曇華」とは、天上の花のことで、一現(いちげん)は「一度現れる」という意味です。
天上の花が一度だけ現れるという珍しい出来事を表し、非常にまれな機会や出来事を意味します。
千載一遇の対義語は?
「千載一遇」の反対の意味を持つ表現として、「日常茶飯事(にちじょうさはんじ)」があります。
文字通りには「日常の食事」という意味ですが、比喩的には「日常的によく起こる普通の出来事」を指します。
つまり、何の変哲もない、ありふれた、よくある事柄や状況を表すのに使われます。
特別ではなく、日々の生活の中で頻繁に見られるような出来事や現象を指す際に用いられます。
まとめ
「千載一遇」という四字熟語は、とても稀で貴重な機会を意味します。
日常生活で、そういった機会になかなか出会えるものではないと思います。
ですが、予期せぬチャンスが突然訪れることもあります。
そのときは、その瞬間を逃さず、自分の可能性を広げるために、常に努力して準備しおくことが大切ですね。