座っているときなどに、身体を揺らし続けることを、「貧乏ゆすり」と言います。

一般的には、行儀が悪いというイメージがあり、好ましくないものとされていますね。
そもそも、貧乏という言葉からして、良い印象はないと考えられます。

ですが、なぜ、貧乏ゆすりという言葉が出来たのでしょうか。

また、どうして無意識のうちに身体を揺らしてしまうのでしょうか。

さらに、最近の研究から、貧乏ゆすりに意外な効果があることも明らかになっているようです。

この記事では、貧乏ゆすりの語源と由来、身体を揺らしてしまう原因から、その意外な効果まで、詳しく説明しています。

貧乏ゆすりの由来は?

まず、貧乏ゆすりの語源・由来について紹介いたします。

貧乏ゆすりという言葉は江戸時代にまでさかのぼる歴史があり、その名前の由来にはいくつかの説があります。

一つの説は、貧しい人々が飢えや寒さに耐えかねて、体を小刻みに震えさせていた様子から来ているとされています。

また、足をゆすると貧乏神に取り憑かれるという迷信も、この言葉の背景にあると言われています。

さらに、貧乏人は落ち着きがなく、せかせか動き回っているように見えることからこの名前がついたという説や、江戸時代の高利貸しが、貧乏人から取り立てる時に、苛立って足を小刻みにゆすっていたことが由来という説もあります。

最も有力なのは、貧しい人々が飢えや寒さで体を震わせていた様子が由来という説ですが、実際のところ、詳しいことはハッキリしていないようです。

説は色々あるものの、これらの由来を知ると、「貧乏ゆすり」という言葉が、単なる無意識の癖だけでなく、歴史的背景を持つ言葉であることが分かりますね。

貧乏ゆすりをしてしまう原因は?

貧乏ゆすりは、多くの人にとって無意識のうちに行われる行動ですが、その原因は何なのでしょうか。

実は、貧乏ゆすりの背後にはいくつかの理由があるとされています。

まず、貧乏ゆすりはふくらはぎの筋肉が伸び縮みする反応として起こります。
ふくらはぎの筋肉は、足腰に滞りやすい血液を心臓へ送り返すポンプのような働きをしています。
この筋肉が動くことで、全身の血行が良くなるとされています。

また、貧乏ゆすりはストレスや不安感との関係が深いとも言われています。
緊張やストレスを感じると、無意識のうちに体を動かしてリラックスしようとする反応が働くため、貧乏ゆすりが発生することがあります。

これは固着反応と呼ばれ、ストレスを解消するための無意識の行動とされています。

さらに、座りっぱなしの状態で下半身の血流が滞ることを防ぐため、または心理的に不安になってしまい、それを解消するために貧乏ゆすりが起こることもあるようです。

このように、貧乏ゆすりは単なる悪い癖ではなく、体や心の反応として自然に生じることがあるわけです。

ちなみに、私の場合は、時間に追われて焦っているときなどに、貧乏ゆすりをしてしまうことがあります。

小さい頃はほとんどなかったのですが、年をとるに連れて無意識に足が動くことが多くなりました。
やはり、身体的にも心理的にも、ストレスを感じやすくなったのだと思います。

貧乏ゆすりの効果は?実は体にいいの?

貧乏ゆすりは一般的にあまり好ましい印象はありませんが、実は体に良い効果があることが分かっています。

貧乏ゆすりの原因として、先ほど述べたように、ふくらはぎの筋肉が伸び縮みする反応や、ストレスや不安感との関係が挙げられますが、これらの反応が意外な健康効果をもたらしているようです。

例えば、スマートフォンをいじっているときに無意識に行う貧乏ゆすりをしていたとしましょう。

この動作は、実はふくらはぎの筋肉を活発に動かし、血流を改善する効果があるそうです。
サーモグラフィーカメラで撮影した映像では、貧乏ゆすりを始めると足の温度が上昇し、筋肉の血行が良くなることが確認されています。

貧乏ゆすりが筋肉の血流を促進していることになりますが、まさにふくらはぎの筋肉が第2の心臓と呼ばれる由縁ですね。

また、ある研究では、貧乏ゆすりが病気の治療にも役立つことが示されています。
特に、変形性股関節症の股関節の軟骨が再生する効果が確認されているようです。

これは、関節軟骨が適度に動かし続けることで栄養が補給され、再生されるためと考えられています。

さらに、貧乏ゆすりは、ストレスを軽減させる効果があるという指摘もなされています。

貧乏ゆすりは、一定のリズムを刻むことで、セロトニンの分泌を促進すると考えられています。
セロトニンが、気持ちを安定させるための重要な神経伝達物質であることは、ご存じの方も多いと思います。

つまり、緊張やストレスを感じているときに無意識に貧乏ゆすりを行うことで、セロトニンの分泌量が増えるわけです。
そのため、心理的な安定やストレスの軽減に役立つ可能性もがあるということです。

以上のエピソードは、最近、テレビ番組やニュースでもよく見かけるようになりました。
NHKの特番や、フジテレビ系列の「ホンマでっか!?TV」で、貧乏ゆすりと健康との関係が取り上げられたのを見たことがあります。

健康についての効果は、ちょっとしたトリビアかと思いましたが、医学的にも実証されつつあるようです。
今後も、意外な効果が明らかになるかもしれませんね。

まとめ

貧乏ゆすりの由来については諸説ありますが、言葉の歴史は江戸時代にまでさかのぼる古いものであるということは一致しているようです。

貧乏ゆすりは、行儀が悪いものと思われがちですが、実は健康に良い効果を持つ行動として注目されています。
血流を改善したり、ストレスや不安感を軽減したりと。

これらの意外な効果を知ることで、今後は貧乏ゆすりを見る目も少し変わるかもしれませんね。