「暖簾を下す」という慣用句があります。
お店などの営業時間が終了し、暖簾(のれん)を下ろすというそのままの意味ですが、現在ではやや異なった意味で用いられることがあります。
この記事では、「暖簾を下す」の意味と使い方、類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
暖簾を下すの意味は?
「暖簾を下す」は「のれんをおろす」と読みます。
店や事業などを閉じる、終了するという意味です。
もともとは、商店が営業を終える際に店頭の暖簾(のれん)を下ろすことから来ています。
なので、お店の営業時間が終了するというそのままの意味で用いられることもあります。
ですが、現在では、事業の終了や閉店を象徴的に表すことが多いです。
暖簾を下すの由来は?
暖簾(のれん)は、もともと風や光を遮るため、またはプライバシーを保護する目的で建物の入口に掛けられた布製の飾りです。
お店の中と外を自然に区切るものですが、飲食店や銭湯などで見かけることがあると思います。
暖簾は、店が開いている時には掲げられ、閉店時には取り外されることが一般的でした。
この慣習から、「暖簾を下す」という表現が生まれ、お店の営業時間が終了するという意味になります。
さらに、転じて、店舗の営業終了や事業の閉鎖を意味するようになりました。
暖簾を下すの例文をご紹介
「暖簾を下す」の使い方として、例文を5つ紹介します。
- 閉店時間は20時だが、大雨で客足が途絶えたので、今日は早めに暖簾を下ろすことにした。
- 長きにわたり地元の人々に親しまれてきたその小さな喫茶店も、オーナーの健康問題により、ついに暖簾を下す日が来てしまった。
- 新型ウイルスの影響で外出自粛が求められる中、売上が激減した多くの店が経営を維持できず、暖簾を下ろす悲しいニュースが続いている。
- 経済の低迷と新しいショッピングモールの開業に伴い、かつて賑わいを見せた商店街の多くの店舗が次々と暖簾を下し、町の風景も大きく変わった。
- 小規模な家族経営の工務店は、伯父の代で事業を終える予定だった。しかし、専門家に相談した結果、意外にも後継者が名乗りを上げてくれたため、幸いにも暖簾を下ろすことなく事業を継続することができた。
暖簾を下すの類義語をご紹介
「暖簾を下す」の類義語は、以下のようなものがあります。
看板を下ろす(かんばんをおろす)
事業や店舗を閉じる、営業を終了するという意味です。
文字通り、店舗や事業所の看板を取り外す行為から転じて、事業の終了や閉店を象徴的に表す表現として使われます。
事業を継続する意志がないことを示す際に用いられることが多いです。
店を畳む(みせをたたむ)
商売をやめて店を閉じることを意味します。
店舗の営業を停止し、事業を終了する状況を指す際に使われます。
店内の畳をたたむという文字通りの意味から転じて、事業の閉鎖や撤退を示す言葉として広く用いられています。
その他、事業を終えるという意味で
- 閉業する
- 廃業する
- 店仕舞(みせじまい)する
といった表現もあります。
暖簾を下すの対義語をご紹介
「暖簾を下す」の対義語としては、事業を始めるという意味の言葉が当てはまります。
- 開業する
- 起業する
- 事業を興す
- 創業する
- 会社を起ち上げる
などがあげられます。
まとめ
「暖簾を下ろす」とは、のれんを下ろす行為から、そのまま営業時間が終了するという意味を持ちますが、転じて、お店や会社の事業を終了ことを指します。
通常は、閉業、廃業という後者の意味で用いられることが多いです。
また、現在では中小企業の後継者問題などにより、黒字経営であっても事業を終了するケースが見られます。
暖簾を下ろさずに済むような、支援や仕組みの整備が望まれますね。