「策士策に溺れる(さくしさくにおぼれる)」ということわざがあります。
策略を練る人が、その策略によって逆に失敗することを意味します。
この記事では、「策士策に溺れる」の意味と由来、例文について詳しく説明しています。
策士策に溺れるの意味は?
「策士策に溺れる」という言葉は、「策を巡らす者が、自分の巧みな策略によって逆に破滅する」という意味です。
つまり、自分で考えた複雑な計画や策略が、結果的に自分自身に不利に働く状況を表しています。
特に、策略に長けた人物が、自身の策略によって、かえって失敗するときによく使われます。
策士策に溺れるの由来は?
「策士策に溺れる」の由来ついては、詳しいことは分かっていません。
一説には、三国志の時代に、諸葛亮孔明が曹操の緻密な戦略を逆手に取って打ち破った際に発した言葉が起源とされています。
孔明は劉備に迎えられ、蜀の軍師として多くの戦いに参加しましたが、この言葉がどの戦いで、どのような状況で発せられたかについては、明確な記録は存在しません。
ただ、三国志の小説や伝記物語では、「策士策に溺れる」という言葉をよく見かけます。
横山光輝さんの漫画「三国志」にも、孔明が曹操の戦略を見破って、返り討ちにしたときに、「策士策に溺れる」と表現されていました。
日本では、「策士」という言葉は明治時代以降に人物評としてよく使われるようになりましたが、その起源に関する具体的な使用例は少ないようです。
「策士」という用語は、策略を巧みに操る人々、つまり計略を好む人々を指す評価として用いられます。
このように評される人物は、しばしば策略を過度に用いる傾向にあります。
この背景から、「策士策に溺れる」という表現は、策略を巧みに扱う人々が、自らの策略によって逆に失敗することを示しています。
そして、そのような人々を皮肉る場合や、過剰な自信を戒める際に使われることがあります。
また、「策士策に倒れる」とも表現されます。
策略に長けた人は、予想外の攻撃を仕掛けたり、相手の計画を逆手に取ったりすることがあります。
しかし、策略に没頭しすぎると、基本的なことを見落とし、物事の本質を見失ったり、自己の策略に酔いしれて視野が狭まり、結果として相手の策略に簡単にはまることもあるということです。
策士策に溺れるの使い方は?
「策士策に溺れる」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 策士策に溺れるというように、マーケティングマネージャーは、競合他社を出し抜くために複雑な宣伝戦略を立てたが、その計画が逆効果となり、消費者の信頼を失ってしまった。
- 彼女は選挙キャンペーンで巧妙な戦術を駆使したが、有権者には不誠実と受け取られ、支持を失う結果となった。まさに策士策に溺れる状況である。
- 策士策に溺れるという言葉もあるので、シンプルで実行可能な作戦を立て、慎重に試合を進めることにした。
- 図工の授業で、彼は複雑すぎるアート作品を試みたが、策士策に溺れるで、結果は誰にも理解されないものとなった。
- 恋愛で複雑な策略を使っても、相手を遠ざけてしまうだけだ。策士策に溺れるのではなく、誠実さが大切だ。
策士策に溺れるの類義語は?
「策士策に溺れる」の類語表現として、以下の3つを紹介します、
才子才に倒れる(さいしさいにたおれる)
非常に才能がある人が、その才能ゆえに失敗するという状況を表します。
才能があるがゆえに過信してしまい、結果的に失敗や災難に見舞われることを意味しています。
泳ぎ上手は川で死ぬ(およぎじょうずはかわでしぬ)
泳ぎが上手な人が、その自信過剰から油断して川で溺れ死ぬことを指します。
つまり、ある分野での高い技能や自信が過信につながり、最終的にはその技能が原因で失敗することを暗示しています。
善く泳ぐ者は溺れ、善く騎る者は堕つ(よくおよぐものはおぼれ、よくのるものはおつ)
このことわざも、特定の技能が高い人が、その技能によって逆に危険な状況に陥ることを示しています。
泳ぎが上手な人が溺れたり、馬術が得意な人が落馬するなど、自分の得意分野で予期せぬ失敗をすることを意味します。
まとめ
「策士策に溺れる」という言葉は、策略を巡らす者が自らの策略によって逆に失敗するという意味です。
成功への道を歩むためには、自己過信を避け、現実的なアプローチを取ることが肝心です。
特に優秀な人ほど、このような状況に陥りやすいため、常に慎重さを心掛けることが大切になりますね。