自分の父親や母親の姉や妹のことを「おば」と言いますよね。
親しみをこめて「おばさん」と呼ぶこともあると思います。
ただ、一口に「おば」と言っても、漢字にすると「叔母」と「伯母」の2通りがあり、表記が異なります。
スマホやパソコンで「おば」と入力すると、文字の変換候補として上のような表示が出てくるのを目にした方も多いでしょう。
そのため、どちらを使ったらよいのか戸惑ってしまうこともあるのではないでしょうか。
今回は「叔母」と「伯母」の違いについて分かりやすく説明しました。
ご参考にしていただければ幸いです。
伯母と叔母の違いは両親の姉か妹の違い
伯母と叔母の違いは、自分の父親または母親の姉であるか、妹であるかの違いです。
簡単に結論をまとめると、以下のようになります。
- 伯母:自分の父親または母親の姉
- 叔母:自分の父親または母親の妹
自分の両親を基準にして、その姉にあたる人物に「伯母」という漢字を使い、妹であれば「叔母」を使います。
このとき、父方であるか母方であるかは関係なく、父親の姉・母親の姉であれば伯母であり、父親の妹・母親の妹であれば叔母になります。
伯父と叔父の違いも同じ
伯母と叔母の違いが分かれば、伯父と叔父の違いも分かります。
伯母と叔母の使い分けが、そのまま伯父と叔父にも当てはまります。
つまり、
- 伯父:自分の父親または母親の兄
- 叔父:自分の父親または母親の弟
となるわけです。
もちろん、このときも父方であるか母方であるかは関係ありません。
義理のおばの場合はどうなる?
血はつながっていないけど、親戚として義理のおばさんがいますよね。
自分の両親の兄や弟の配偶者=奥さんのことです。
つまり、自分の伯父や叔父の妻にあたる人物です。
この場合も、
- 自分の父親または母親の兄の妻:伯母
- 自分の父親または母親の弟の妻:叔母
となります。
義理のおばさんでも、伯母と叔母が使われるわけです。
このとき、ややこしいのが年齢です。
自分の父親の兄の妻が自分の両親より年下でも「伯母」が使われ、自分の父親の弟の妻が自分の両親より年上でも「叔母」が使われます。
同じように、自分の母親の兄の妻が自分の両親より年下でも「伯母」が使われ、自分の母親の弟の妻が自分の両親より年上であれば「叔母」が使われます。
分かりやすくするために、例をあげてみます。
自分の父親の年齢が60歳、母親が58歳、父親の兄の妻(義理のおば)が55歳だとしましょう。
この場合、義理のおばは自分の両親より年下ですが、このおばは「伯母」になります。
自分の父親の年齢が60歳、母親が58歳、父親の弟の妻(義理のおば)が62歳だとします。
この場合、義理のおばは自分の両親より年上ですが、このおばは「叔母」になります。
自分の母親の兄弟の妻の場合も同じです。
もっと平たく言えば、自分の両親の兄の妻がどんな年齢であっても「伯母」が使われ、自分の両親の弟の妻がどんな年齢であっても「叔母」が使われます。
「兄の妻」なので「伯母」、「弟の妻」なので「叔母」となり、そこに年齢は関係しないということです。
具体的で個人的な話をすると、私の母の兄の妻は私の母より年下です。
ですが、この場合は私にとって「伯母」にあたるということになります。
「伯」と「叔」はどのような意味?
これまでの説明で、伯母と叔母の違いについてお分かりいただけたと思います。
では、そもそもなぜ伯母と叔母と使い分けるようになったのでしょうか?
その答えは、中国の儒教で使われた兄弟の順序を表す「伯仲叔季(はくちゅうしゅくき)」に由来するというものです。
- 最年長を「伯(はく)」
- 2番目を「仲(ちゅう)」
- 3番目を「叔(しゅく)」
- 最年少を「季(き)」
かつての中国では、上記のような兄弟の呼称がありました。
それが日本の文化にも取り入れられたと言われています。
今では4人も兄弟がいる家族はめずらしいですが、昔の中国では兄弟や姉妹がたくさんいる家族が一般的でした。
その兄弟の年長者から末っ子までを順序だてて、きっちりと区別していました。
このような「伯仲叔季」の名残りから、年上は伯母、年下には叔母と表記するようになったということです。
小母という表現もあります
以上は親戚関係にある「おば」の説明でしたが。
親戚関係にない赤の他人でも、親しみを込めて「おばさん」と呼んだりすることがありますよね。
例えば、自分の友達のお母さんのことを「○○君のおばさん」「○○ちゃんのおばさん」と呼ぶ子供がいます。
近所に住んでいる知り合いの女性のことを「おばさん」と呼ぶこともあります。
このときの「おば」にも漢字の表記があり、「小母」と書きます。
なので、「おばさん」と呼ぶときを漢字にすると、「小母さん」となります。
現在ではまず使うことのない漢字ですが、こういう表記も一応あります。
まとめ
伯母と叔母の使い分けについては、以下を覚えておけば大丈夫だと思います。
- 伯母:「自分の父親または母親の姉」「自分の父親または母親の兄の妻」
- 叔母:「自分の父親または母親の妹」「自分の父親または母親の弟の妻」
普段はあまり使わないかもしれませんが、冠婚葬祭などに出席すると目にする機会も多いと思います。
そのまま使い分けを覚えてしまえばよいのですが、私は記憶に定着させるまでに次のような覚え方をしました。
そこから姉の方が妹より年をとっているので、顔が白くなっている。
または、年をとっているので白髪が多い。
まあ、ほんと子供だましのような覚え方ですが(汗)
それでもイメージはしやすいので、すぐに思い出すことができました。
以来、間違えることはなかったです。
よろしければ、お試しくださいませ。