ウミガメの性別はどのように決まるか、ご存じでしょうか。
ウミガメは卵からふ化して産まれますが、卵が産み落とされた時点では性別は決まっていません。
実は、ウミガメの性別はその後の周りの温度によって決定されるんです。
かなり前から知られていた豆知識ですが、意外と知らなかったという方も多いのではないでしょうか。
今回は、その不思議な事実について迫りたいと思います。
ウミガメは温度が29℃より高いか低いかで性別が決まる
ウミガメの性別はふ化するときの温度で決まるということですが。
では、どのくらいの温度でオス、メスに分かれるのでしょうか?
ざっくりと目安となる基準をまとめると、以下の表のようになります。
温度 | 性別 |
---|---|
29℃未満 | オス |
29℃ | オスとメスが大体半分ずつ |
30℃以上 | オス |
このような温度によって性別が決定する仕組みを「温度依存性決定」と言います。
英語では「Temperature-dependent sex determination」となり、それぞれの頭文字をとって「TSD」とも呼ばれます。
ウミガメは土に産卵するので、そのときの土の温度によって性別が決定することになりますね。
なぜ温度によって性別が決まるのか?
なぜ温度によって性別が決まるのでしょうか?
その仕組みは以下のようになります。
まず、ウミガメは性染色体というものを持っていません。
そのため卵子が受精して産卵されても、それだけで性別が決まることがないんです。
では、何によってウミガメの性別が決まるのかというと。
元々ウミガメの体内にあったホルモンの作用ということになります。
しかも、このホルモンはメスの性ホルモンであり、オスのホルモンは存在しません。
オスについては、オスの性ホルモンをつくる酵素があるのみとされています。
そして産卵後の周囲の温度が低温であれば、この酵素が活性化して、産まれる生体はオスになります。
逆に温度が高くなってしまうと酵素が死んでしまい、そのままメスのホルモンが働いて、産まれる生体はメスになるというわけです。
ウミガメの場合、この境い目の温度となるのが約29℃ということです。
温度依存性決定とは以上のような仕組みになっていますが、実はウミガメだけでなく爬虫類で広く見られる現象だったりします。
特にカメやワニ、トカゲなどがその例として有名です。
地球の温暖化でウミガメが大変なことに…
以上の説明から、温度が高くなればウミガメはメスが産まれる割合が高くなるのは分かりますね。
とすると、懸念されるのは、地球の温暖化。
地球の温暖化によって、メスが多くなることが予想されていました。
ところが…
最近の調査によると、ウミガメのメスの割合が異常に高く、予想をはるかに上回るものだったとのこと。
オーストラリアで比較的若い個体を調べたところ、その割合は何と99%だったそうです。
その他のウミガメの繁殖する地域でも、若い個体だと90%以上がメスであり、少し気温が低い地域であっとしても、その比率は約7割だったという報告があります。
そのため、このまま地球の温暖化がすすめば、ウミガメは絶滅してしまうと危惧されています。