ドワーフ・ドヴェルガーの概略

ドワーフは今日では「小人」を意味する一般名称となっている感じがありますね。
古くは童話『白雪姫』に登場する7人の小人が有名ですが、最近ではJ・R・R・トールキンの『指輪物語』をはじめとするファンタジー小説などに数多く登場します。

ドワーフの起源は北欧神話に登場する「ドヴェルガー(dvergr)」であると言われています。
北欧神話でドヴェルガーとは小人族のこと。

北欧神話で天地が創造されたとき、ドヴェルガーもまた原初の巨人ユミルから生まれたとされています。

天地を創造した後、オーディンをはじめとする神々は、ユミルの肉塊に群がって大地を動き回るウジ虫のことを思い出します。
そして、ウジ虫たちに人間の知力と姿を与えました。
ウジ虫たちは人間と似た格好をすることになりますが、彼らは岩の部屋や小さなほら穴や洞窟に住むようになります。
こうして、小人であるドヴェルガーが誕生しました。

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と、誕生したのはいいですが、ドヴェルガーは元々はウジ虫だったとは…
となると、『白雪姫』に登場する7人の小人も、元をたどればウジ虫!?というようなことを想像してしまうのですが(^^;
まぁ、さすがにこれは考えすぎだとは思いますが、そんなことを想像したときもありました。

ただ、これは、神話の文献の一つである「スノリのエッダ」の『ギュルヴィたぶらかし』に載っている一節で、他の文献には詳しい記述がありません。
「巫女の予言」という書では、ブルミルの血とブラーインの骨から小人の王を作ったとあり、そのときに小人のなかで一番偉いモートゾグニルと2番目に偉いドゥリンが生まれて、この2人がたくさんの小人を作ったと語られています。
ここに出てくるブルミルとブラーインは、ユミルの別名と考えられています。

というわけなので、ウジ虫からドヴェルガーが出来上がったのかどうかは正確には分からず、スノリさんが付け加えたお話という可能性もあります。
「スノリのエッダ」についての詳しい説明はこちらをご覧ください→「スノリのエッダ」と「古エッダ」

さて、ドヴェルガーの出自はどうであれ、北欧神話では彼らはなかなかに重要な役割を担っています。

例えば、オーディンが持つ槍のグングニル。
これはドヴェルガーが作ったものです。

さらには、トールの持つミョルニルの槌。
これもドヴェルガーの作品です。

その他、フレイの持ち物となった黄金の猪やフレイアの首飾りもドヴェルガーたちが作ったものです。

このように、ドヴェルガーは腕利きの鍛冶屋・職人として描かれており、これは世界各地で見られる小人にも共通するところがあります。